一流が「本質を見抜ける」のはなぜなのか? 洞察力の原点は “4つの習慣” にある

一流に学ぶ「本質を見抜く力」をつけるヒント4つ01

「顧客のニーズを読み取れず、得られるはずの利益を逃してしまう」
「部下を適材適所に配置できず、業務の負担を増やしてばかり」
こういったことになるのは、あなたが「本質を見抜く力」に欠けているからかもしれません。

一流のビジネスパーソンが成功しているのは、物事の本質を見抜けるからこそ。成功者たちに学ぶ、本質を見抜く力をつけるヒントを4つご紹介します。

スティーブ・ジョブズ:「失敗」から学び、即行動する

大和総研コンサルタント・吉村浩志氏は、本質を見抜いて成功した一流の例として、Appleの共同創業者スティーブ・ジョブズ氏を挙げます。ジョブズ氏は「失敗」から成功の糸口を見いだしたのだそう。

2000年頃のジョブズ氏は、動画編集にとりわけ力を入れていた。しかし、当時大きく動いていたのは音楽の市場。見落としていた事実に気づいたジョブズ氏は、iTunesを開発、2001年1月にはユーザーへの無償提供を開始した。

本質を見抜く力というと、すべてを瞬時に見通す神通力のようなものだと考える人は多いかもしれません。しかしどんなに一流でも、最初から見えない部分まで洞察できていたわけではない――そんなことがよくわかるエピソードですね。

経営コンサルタントでビジネス・ブレークスルー大学学長の大前研一氏いわく、失敗を通して気づかなかった視点や見落としていた事実に気づき、そこから検証を続けることが、洞察力の原点となるのだとか。

ジョブズ氏にならい、失敗から学べば、私たちも本質を見抜けるはず。そこで、「失敗振り返りノート」の習慣をつけてはどうでしょうか。百貨店での店舗売り上げを日本一に導いた経験をもつ、接客アドバイザーの北山節子氏がすすめる方法です。

ポイントは、事実・原因・改善点を箇条書きでシンプルにまとめること。

(例)

2月9日(水)
事実:クレーム対応を誤り、顧客を余計に怒らせてしまった。
原因:対応をマニュアルに頼りすぎた。
改善点:相手の話に耳を傾ける。ロールプレイングで練習する。

北山氏いわく、失敗を紙に書き出すと、事実を客観視できて改善点も導きやすいとのこと。失敗したその日のうちに、記録をつけることが大切だそうです。そうすれば、やがて一流のように本質を見抜き、仕事で成果を出せますよ。

一流に学ぶ「本質を見抜く力」をつけるヒント4つ02

 

ウォーレン・バフェット:「臨機応変な決断」をする

洞察力に富んだ “投資の神様” として称えられるウォーレン・バフェット氏は、「エフェクチューション」的に考える――。そう述べるのは、消費者洞察データを基軸にイノベーション支援を展開する株式会社SEEDATAの代表取締役社長・宮井弘之氏。

エフェクチュエーションとは、不確実な状況においても、時代や環境の変化を見抜き、臨機応変に重大な決断をすること。その好例が、バフェット氏の以下のエピソードなのだそう。

バフェット氏は、航空会社の株を何十年にも渡り保有していた。しかし、新型コロナウイルスの流行を見て「3~4年後に乗客が戻る見通しはない」と判断。過去の成功体験にとらわれず、2020年、ついに航空会社の株をすべて売却した。

宮井氏いわく、バフェット氏に限らず一般的なビジネスパーソンにとっても、計画や目標は覆される前提で、目の前の出来事に臨機応変に対処することが必要だそう。そうでないと、計画通りにやればうまくいくと思い込み、大きな失敗をしかねないからです。

そんな臨機応変さを身につけるには、積極的に意見を述べ、フィードバックを得ることを繰り返すのが効果的だと、人事コンサルタントで株式会社人材研究所代表取締役社長の曽和利光氏。他者からフィードバックをもらうようにすれば、対応を硬直化させかねない思い込みを自覚し、フラットな視点をもって対応できると言います。

たとえば、商品の売り上げが伸びない場合。次のような感じで、同僚へフィードバックを求めてみてはいかがでしょうか。

自分:「商品が思うように売れない……。広告内容のせいかも。どう思う?」
→同僚:「広告内容自体に、問題はないと思う」

自分「広告が、潜在顧客へ届いていないみたい。どうしたらいいかな?」
→同僚:「顧客が最も利用しているSNSを確認して、広告の出稿先を調整してみるのはどう?」

このように、新たな視点を得られれば、本質に迫るエフェクチューション的な行動がとれるかもしれませんよ。

一流に学ぶ「本質を見抜く力」をつけるヒント4つ03

酒巻久:絵画や音楽を通じて「本物」に触れる

キヤノン電子株式会社代表取締役会長の酒巻久氏によれば、本質を見抜く力とは、「シンプルで美しい本質にすばやくたどり着く力」だそう。

酒巻氏の著書『見抜く力』『60歳から会社に残れる人、残ってほしい人』では、本質へすばやくたどり着く方法のひとつに、絵画を見に美術館へ足を運ぶなど「芸術に直接触れる」ことが挙げられています。コピー作品やオンライン上で絵画を見るのと違い、「本物」のアート作品に触れるほど、感性が高まるのだとか。

赤字すれすれだったキヤノン電子を、たった6年で売上高経常利益率10%以上の高収益体質の会社へ成長させ、その利益を宇宙事業へ新規投資した実績をもつ酒巻氏。かつて、以下のようにして学びを広げていたと言います。

キヤノンに入社して数年、上司から「お前は優秀じゃない」と言われていた酒巻氏は、帰宅後や土日に専門書へ向かい、必死に勉強していた。そしてさらに心がけたのが、絵画や音楽など本物に触れて感性を磨き、知識の裾野を広げることだった。

酒巻氏が実践していた「芸術の知識を身につけること」には、「観察力が養われる」効果があります。東京藝術大学美術館元館長の秋元雄史氏によれば、作品のテーマや時代背景を読み解き、自分の感想をまとめることで、観察力を養えるとのこと。

観察力が身につくと、たとえば仕事がうまくいっていないとき、一番大きな要因は何か、その状況をどう見れば課題が明確になるのかがわかるようになるそう。そのため、芸術の知識や考え方はビジネスにおいて大きな武器になるそうです。酒巻氏の成功の背景にも、そんな「観察力」があったのかもしれませんね。

美術館に赴いて作品を鑑賞する際は、感じたことをぜひ手書きでまとめましょう。脳神経内科医の長谷川嘉哉氏は、手書きには思考をまとめたり記憶の定着を助けたりする効果があると言います。本物のアートに触れた体験を、より鮮明に記憶へ残せるはず。

たとえば、下記のようなまとめ方はいかがでしょうか。

作・高橋由一『鮭』-重要文化財(山形美術館所蔵)

  • 明治維新以後の西洋の文明を取り入れた時代が垣間見える、西洋画の先駆け的存在。
  • 油絵具を用いたリアルな描写で、皮のシワや乾燥がよく伝わってくる。
  • 浮世絵などの日本画しか見たことがない当時の日本人は、本物と間違えたのではないか。

このようにして、アートに触れる習慣が身につけば、本質を見抜く力も次第に養われるでしょう。

一流に学ぶ「本質を見抜く力」をつけるヒント4つ04

本田宗一郎:「どうすれば相手が喜ぶか」を考える

カリスマ経営者として多くの経営者に影響を与え続ける、本田技研工業創業者の本田宗一郎氏。その偉大な功績の第一歩は次のようなエピソードだったそうです。

本田氏は、「これができたら喜ぶだろうなぁ」と遠くへ買い出しに行く妻を思い浮かべながら、ホンダA型自転車補助エンジンを開発した。

このエピソードにあるとおり、本田氏の本質を見抜く力の原点はどうすれば相手が喜ぶかという考えにあります。

というのも、本田氏の著書『やりたいことをやれ』によると、どうすれば相手が喜ぶかという視点がないと、技術の探求にばかり走るから。その結果「消費者の快適な生活を助け、幸せになってもらうために商品をつくる」という本質を忘れてしまうと本田氏は指摘します。

この考えは、私たちの仕事にも大いに生かすことが可能です。たとえば、取引先へ熱心に話をしても盛り上がらず、コミュニケーションに悩んでいる場合。「笑顔で」「ハキハキと」といったトーク技術にこだわるより、次のように「どうすれば相手が喜ぶか」という視点で考えてみてください。

相手は、こちらの説明をあまり聞いてくれないようだ……

NG:こちらの熱意がより伝わるよう、さらに具体的に話を掘り下げよう

OK:相手が抱えている課題に耳を傾ける時間を増やしたほうが、喜ばれるのでは?

物事を複雑に考えなくても、「相手が喜ぶこと」というシンプルな視点に立てば、問題の本質が見えるようになりますよ。

***
ビジネスで大きな成功を収めた一流ならではの「本質を見抜く力をつける」ヒント、ぜひ参考にしてみてください。

(参考)
大前研一 (2011), 『大前研一 洞察力の原点』, 日経BP.
大和総研|転んでもタダでは起きなかったスティーブ・ジョブズ
ウォルター・アイザックソン、井口耕二  (2011), 『スティーブ・ジョブズ II』, 講談社.
日経xwoman|ミスをV字回復させて成長! 失敗振り返りノート術
幻冬舎ゴールドオンライン|偉人や成功者が持っていた思考「エフェクチュエーション」の謎
日本経済新聞|新型コロナ: バフェット氏、航空株すべて売却 「世界は変わる」
リクナビNEXTジャーナル|洞察力がある人は出世する!?仕事で活きる洞察力の磨き方
酒巻久 (2015), 『見抜く力 リーダーは本質を見極めよ』, 朝日新聞出版.
幻冬者plus|仕事以外の「教養」がない人は会社に残れない
STUDY HACKER|アートに全然興味ない人は “3つの力” が伸びない。
東洋経済オンライン|脳機能の低下を防ぐには「手書き」が有効だ
マルハニチロ株式会社|サーモンミュージアム(鮭のバーチャル博物館)
artscape|高橋由一《鮭》──吊るされた近代「北澤憲昭」
Honda|会社案内|ヒストリー
Honda|ホンダ7年史
本田宗一郎 (2005), 『やりたいことをやれ』, PHP研究所.

【ライタープロフィール】
かのえ かな
大学では西洋史を専攻。社会人の資格勉強に関心があり、自身も一般用医薬品に関わる登録販売者試験に合格した。教養を高めるための学び直しにも意欲があり、ビジネス書、歴史書など毎月20冊以上読む。豊富な執筆経験を通じて得た読書法の知識を原動力に、多読習慣を続けている。

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