初対面で「頼もしく自信のある人」に見せるコツ。アイコンタクトは「1分間あたり32秒以上」

自信に満ちあふれているイメージ

「自己肯定感」という言葉はすっかり世間に浸透しましたが、「自分に自信をもてない人が多い」ことが背景にあるかもしれません。自信は、人生を歩んでいくうえでの重要なキーワードのひとつです。自信をもっていると周囲から思われる人は、「この人に重要な仕事を任せよう」と役割を託され、そうして成果を挙げられれば自身の人材価値を高めることにもつながります。そこで、初対面の場でも「頼もしく自信がある人」に見せられるコツを探ってみます。よりよい自己表現を研究するパフォーマンス学の第一人者・ハリウッド大学院大学特任教授の佐藤綾子先生が、心理学的見地からポイントに挙げたのは、「目」でした。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

【プロフィール】
佐藤綾子(さとう・あやこ)
1947年1月20日生まれ、長野県出身。1969年、信州大学教育学部卒業。ニューヨーク大学大学院パフォーマンス研究科卒業(MA)、上智大学文学研究科卒業(MA)、同博士課程修了。立正大学大学院心理学専攻、博士(パフォーマンス学・心理学)。日本大学芸術学部教授を経て、ハリウッド大学院大学特任教授、一般社団法人パフォーマンス教育協会理事長、株式会社国際パフォーマンス研究所代表。自己表現力養成セミナー「佐藤綾子のパフォーマンス学講座®」主宰。パフォーマンス学の第一人者として、累計4万人のビジネスリーダーや国会議員のスピーチ指導を行なう。『55歳から「実りの人生」』(サンマーク出版)、『できる人・好かれる人になる「見た目」と「話し方」のコツ34』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『人生がうまくいく笑顔の教科書』(ごきげんビジネス出版)、『1秒オーラ 好意はなぜ発生するのか』(集英社)、『10秒で好かれるひとこと 嫌われるひとこと』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『成功はPQで決まる』(学研プラス)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

「目は口ほどにものを言う」は真理である

私が行なった実験では、人は15m離れている段階から相手を認識していることがわかりました。しかも、その段階ですでに人の第一印象は決まります。

アメリカの心理学者であるティモシー・ウィルソンの研究によると、相手を認識した最初の1秒のあいだに得られる情報はその9割以上が視覚情報であり、それらから第一印象が決まると言います。つまり、第一印象は、ほぼ「見た目」で決まるのです。

ただし、15m離れている段階で私たちが認識できる視覚情報は限られています。それだけ離れていると、表情などははっきり認識できないからです。そのため、相手との距離が15m〜5m程度までのあいだでは、姿勢や歩き方がその人の印象を左右する大きな要素となります(『15m先からでもあなたの印象は決まる。第一印象を一瞬でよくする2つのポイント』参照)。

見方を変えると、5m以内の距離に近づいた段階になると、表情が重要になってくるということです。なかでも人の印象を大きく左右するのが、「目」です。日本には「目は口ほどにものを言う」という言葉がありますが、英語にも「Eyes talk」という同様の意味を表す言葉が存在します。

「目は口ほどにものを言う」は真理であると語る佐藤綾子先生

「あなたに会えて嬉しい」という気持ちを意識し、目に力を入れる

これらの言葉は、心理学的見地から見ても真理と言えます。たとえば、目に力が入っていない無表情(学問的には「中立(ニュートラル)」と呼ばれる表情)は、心理学で言うと「服従欲求」の発信を意味します。考え方によっては、自分を能力が低い人間に見せ、相手を油断させたいようなときには役立つ表情と言えるかもしれません。

でも、仕事で会う相手に、「頼りなさそう……」とは思われたくはありませんよね? できれば、「自信がありそう」「この人とならいい仕事ができそうだ」と思われたいものです。

そう思われるためには、いわゆる「目力」を入れてください。具体的には、上眼瞼挙筋という上まぶたの筋肉に力を入れます。上まぶたを強く引き上げ、目を大きく見開くのです。そうして相手をしっかりと見つめ、「こんにちは!」と快活に話し始めましょう。

さらに、「あなたに会えて嬉しいです」という気持ちを意識すると、なお効果的です。喜びの感情を脳が意識することで、口の両サイドにある小さな筋肉である口角挙筋が上に引っ張られ、自然と口角がわずかに上がるからです。

相手はあなたの力強い目により「この人は自信がありそうだ」と思ってくれますし、口角がわずかに上がったことによる上品なスマイルが相手からの好感度を上げてくれます。

「あなたに会えて嬉しい」という気持ちを意識し、目に力を入れることについて語る佐藤綾子先生

話している時間の半分以上はアイコンタクトをする

先に、「相手をしっかり見つめる」とお伝えしました。目と目を合わせる、いわゆる「アイコンタクト」も、他者からの印象を大きく左右します。

ふたりで話しているとき、相手がずっと目を合わせずに視線をそらしていたらどう感じますか? 「この人は自信がないのかな」といったことだけでなく、「私に興味がないのかもしれない」などネガティブな印象をもたれかねません。

自信がない人ほど、目が泳いだり目を伏せたりします。対して、自分に自信をもっているビジネスパーソンは、総じてアイコンタクトが強いのです。アメリカのトランプ前大統領はその典型かもしれません。会見の場でも、質問をした記者としっかり目を合わせますから、力強く自信に満ちあふれている印象をもちますよね。

なお、私の実験研究では、2者間の対話時間中におけるアイコンタクトの時間は、1分間あたり32秒が平均でした。平均以上であれば好印象をもたれやすいと考えられますから、会って話している時間の半分よりも長い時間、目を合わせておくのを心がけましょう。

ただし、瞳孔(いわゆる黒目の中心)をじっと見つめ続けるのは避けたほうが無難です。その理由は、心理学において「視線恐怖」と呼ばれる圧迫感を相手が覚えるからです。

相手に圧迫感を与えずにアイコンタクトをするには、目の周囲も含めて見ることを心がけましょう。視線の動きを追うアイカメラという特殊なカメラを使って私が行なった実験では、両目の面積すべてのほか、鼻の縦2分の1の箇所と両目の外側の3点を結んだ逆三角形の範囲に視点があれば、相手はアイコンタクトを保っていると感じるとわかっています。じっくり見つめる必要はなく、以下のイラストの範囲内に視線を向けていれば問題ありません。

圧迫感を与えないアイコンタクトの範囲の図

ただ、注意してほしいのは、ここで紹介したのはあくまでも第一印象をよくする方法だということです。たとえば相手からの本当の信頼は、ここに書いたテクニックだけで得られるものではありません。強い信頼を生むのは、「この人はいつも正直で誠実だ」「こんな仕事で助けてくれた」など、長い時間をかけて積み重ねる実績にほかなりません。

初対面で「頼もしく自信のある人」に見せるコツを教えてくださった佐藤綾子先生

【佐藤綾子先生 ほかのインタビュー記事はこちら】
15m先からでもあなたの印象は決まる。第一印象を一瞬でよくする2つのポイント
1分間に34秒。日本人は笑顔が少ない? 他者との会話を盛り上げる表情筋の鍛え方

できる大人の「見た目」と「話し方」

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  • 作者:佐藤綾子
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