多くの人にとって、仕事は人生のなかで大きな割合を占めていますよね。つまり、職場の人間関係が、幸せに直結する可能性は高いわけです。しかし、現状は上司や同僚との関係に悩み、ストレスを感じている人が多いのではないでしょうか。
そうした状況をふまえ、本記事では職場の人間関係を円滑にして、幸福度を高めている人々の特徴を4つ紹介します。
笑顔で挨拶するだけで、評判も上々に?
出勤したとき、職場で同僚とすれ違うとき、会議に入るとき、あなたは笑顔で挨拶していますか? この小さな習慣が、職場の人間関係によい影響を与える可能性があります。笑顔は他者に好感を与えるだけでなく、評価を高める効果もあるそうです。
2001年に発表された、Jörn P.W Scharlemann氏(当時オックスフォード大学動物学部)らの研究では、笑顔が信頼にプラスの影響を与えると明らかになりました。*1
また、笑顔の研究者で知られるロン・ガットマン氏は、2011年のTEDトークでペンシルベニア州立大学の研究について言及しています。笑顔でいると好感がもてる・礼儀正しい人に見えるだけでなく、有能に見えることがわかったのだとか。*2
もしかしたら笑顔でいると、他者に気を配る余裕が見え、自己管理もできていているように見えるのでしょうか。それが仕事にも影響すると想像させるわけです。
いずれにせよ、好感度が高く、信頼できて有能な人となれば、周囲の人々から支持されるのは間違いありません。それで人間関係がうまくいくなら、日々の挨拶に笑顔を取り入れてみてはいかがでしょう。無理なく笑顔の習慣が身について、いまの環境が少し心地よくなるはずです。
言葉選びがうまい人は、人間関係もうまくいく?
職場で同僚や上司と話すとき、あなたは相手に合った言葉を選べていますか?
たとえば――家族のように職場の人間と仕事をしたい人もいれば、仕事と私生活をしっかり区別したい人もいます。あるいは、なんでも密に細かく話したい人もいれば、概要を端的に話したい人もいるでしょう。つまり、人にはそれぞれタイプがあるのです。
イントランスHRMソリューションズ株式会社 代表取締役の竹村孝宏氏は、こうした背景をふまえて次のように述べています。
同じ言葉でも話す相手によっては、不快にさせたり、嬉しい気持ちにさせたりします。職場で好かれる人は、上司や部下、周りの人それぞれの立場や性格に合わせて、うまく言葉を選ぶことができます。
竹村氏の言葉を参考に例を挙げましょう。たとえばあなたがミスをして、先輩や同僚に助けてもらったとします。そのとき、あなたが相手に対し――
「ご迷惑をおかけして、本当に申し訳ございません……」と言うのが当然だと思う人もいれば、「おかげで助かりました! 本当にありがとうございます!」と言われると、嬉しく感じる人もいるわけです。*3
こうした違いを理解して言葉を選べたら、相手にも、その人の価値観や人柄を大切にしようとしていることが伝わるのではないでしょうか。
逆を言えば、好かれにくい人は、自分の主張や、単なる敬語の使い分けしか考えていない可能性があります。そうならないよう、日常的に相手の立場や性格を考慮したコミュニケーションを心がけてみてください。
短くこまめな報告で、人間関係が良好になる?
上司に「報告しろ」と言われたり、「いちいち報告するな」と言われたり……。結局、いつ・どれぐらい報告すればいいのか、わからなくなることはありませんか? そんな方々のために、ひとつの結論を述べましょう。
報告は “こまめに短く” がおすすめです。
『20代が仕事で大切にしたいこと』(ダイヤモンド社,2023)の著者で、株式会社サイバーエージェント専務執行役員の飯塚勇太氏によれば、「2週間に一度、14行の報告よりも、1行の報告を毎日もらったほうが、上司はありがたいもの」なのだとか。
同氏いわく、返信の必要がない、短い報告は負担にならないとのこと。また情報の鮮度も損なわれにくいとして、こまめな報告を推奨しています。*4
たしかに相手の立場になって考えると、口頭や、長文による報告よりも、毎日サラッと1行で送られてくるタイムリーな報告のほうが、目を通しやすく頭にも入りやすいですよね。あとで内容を時系列で確認できるのも、お互いに安心です。
- 相手に負担をかけないこと
- 相手を不安にさせないこと
これらが大きな鍵になりそうです。
批判を受け入れると、信頼できる人に?
職場で厳しい指摘を受けたとき、どのように対応していますか? 素直に受け入れ、自分の成長につなげているでしょうか。
職場の人間関係を良好にするには、批判を積極的に受け入れる姿勢が必要です。批判を恐れずに成長の機会ととらえることで、周囲からの信頼を得ることができるからです。
組織心理学者の Tasha Eurich 博士は、2018年にこう述べています。
leaders who ask for critical feedback are seen as more effective by superiors, employees, and peers, while those who seek primarily positive feedback are rated lower in effectiveness. *5
(批判的なフィードバックを求めるリーダーは、上司、従業員、同僚から、より有能であると見られているが、肯定的なフィードバックを求めるリーダーは、有能だと評価されない)
つまり、他者からの耳が痛い言葉を、積極的に取り入れる人ほど信頼されるわけです。そうした姿勢のなかに、よりよくしていこうとする気持ちが見えるせいかもしれません。
しかし、誰だって否定的な意見をもらうのは嫌なもの。批判を受け入れすぎて、立ち直れなくなったら大変です。Tasha Eurich 博士はそんな事態も想定し、批判されてもすぐに反応したり、すべて鵜呑みにしたりせず、
- 批判されたら自分のよい側面も思い出してみる
- 批判した人以外の意見も聞いてみる
- 一部の信頼できる人だけに批判を任せてみる
といった方法も紹介しています(参考元:同上)。ぜひ無理のないかたちで挑戦してみてくださいね。
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今回は、職場の人間関係がうまくいっている、幸福度が高い人の特徴をまとめてみました。その特徴を完璧にまねるというより、自らを改善しながらストレスを軽減し、より充実した毎日を過ごすためのヒントを見つけましょう。
※引用箇所の和訳は筆者が補った
*1 ScienceDirect|The value of a smile: Game theory with a human face
*2 TED Talk|Ron Gutman: The hidden power of smiling
*3 日経クロステック|職場で好かれる人の5つの特徴とは?
*4 ダイヤモンド・オンライン|【いちばん大事なのはどれ?】ベテラン社員も知らない「報・連・相」の正解
*5 Harvard Business Review|The Right Way to Respond to Negative Feedback
Shinya
大学では経済学を専攻。集中力があり、長時間、長期間にわたって勉強し続けることが得意。現在は、資格試験に向けて効率的な勉強法の情報を収集中。心理学にも関心があり、コミュニケーション力の向上を目指してさまざまなメソッドを学び、実践している。