バランスボールに座って勉強するってアリなの?

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バランスボールに座って勉強することには、オフィスチェアよりも姿勢が整ったり、集中力が高まったりなどの効果があります。Googleのように先進的な企業や教育施設では、椅子代わりにバランスボールが導入されているケースもあるほどです。

バランスボールをうまく使えば、パフォーマンスを高めることができますよ。バランスボールに座って勉強するメリット&デメリットを解説しつつ、使うときのコツや、おすすめの商品をご紹介します。

バランスボールで勉強するメリット

バランスボールでの勉強には、以下のようなメリットが期待できます。

姿勢が改善される

少しでも身体が傾いていると、バランスボールに安定して座れません。そのため、ボールに腰かけると、身体が自然とバランスをとろうとし、正しい姿勢が維持されやすいのです。

姿勢が正しいと、背骨が体重を支えてくれるので、筋肉へのムダな負荷が軽減します。“座り疲れ” や、腰痛・肩こりを予防できるでしょう。

横浜あくわ整骨院の藤井真也院長によると、猫背をはじめとする悪い姿勢は、立っている状態の2倍近い負荷を腰にかけてしまうそう。勉強で腰を痛めないよう、姿勢を保つのにバランスボールを使ってみるのもアリですね。

集中力が向上する

姿勢が整えば、勉強に集中しやすくなります。日本姿勢教育協会会長・碓田拓磨氏によれば、背すじが伸びた正しい姿勢だと、心身を活動的にする「交感神経」が優位になり、勉強などへの意欲が高まりやすいそう。逆に、姿勢が悪いと自律神経のバランスが乱れ、心身が不調を起こしかねません。

それに、猫背の姿勢だと肺が十分に広がらず、呼吸が浅くなるため、酸素不足で脳が働かなくなってしまうかもしれません。学習のパフォーマンスを最大化するには、正しい姿勢で座ることが大切なのです。

体幹を鍛えられる

バランスボールに座ると、バランスをとるためインナーマッスル(身体の内側にある補助的な筋肉)が働きます。インナーマッスルが鍛えられれば、体幹が安定して姿勢が矯正される、筋肉量が増えて代謝が上がり太りにくくなるなどのメリットがあるのです。

運動不足を解消したい方や姿勢を直したい方は、勉強の際に座る椅子をバランスボールに変えてみては?

身体を動かしやすい

身体や脚を動かしやすいのも、バランスボールならではのメリット。座ったままポンポン跳ねたり、あぐらをかいたり、脚を立てたりと自由に動けるので、椅子に比べ “座り疲れ” しにくいでしょう。

座ったまま脚を伸ばしたり、股関節を広げるたりと、軽いストレッチも可能です。長時間じっと座って勉強するのがつらいなら、椅子をバランスボールに替えてみるといいかもしれません。

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バランスボールで勉強するデメリット

一方、バランスボールに座っての勉強にはデメリットもあります。

疲れてしまう

バランスボールの不安定さが、メリットではなくデメリットを生む場合も。常にバランスをとる必要があり、背もたれもないので、自分の力のみで身体を支え続けねばなりません。長時間座っていると、くたくたに疲れてしまうこともあるでしょう。

普通の椅子も用意しておくか、定期的に休憩を挟むことで、「バランスボール疲れ」に備えてください。

気が散る

常にゆらゆらするバランスボールの上では、気分が落ち着かず、勉強に集中しづらい場合もあるでしょう。慣れてしまえばあまり気にならないはずですが、どうしてもバランスボールが合わなかったり、船酔いのように気持ち悪くなったりする人もいるかもしれません。

しばらく使ってみて、どうしても落ち着かない・集中できないと感じたら、普通の椅子に戻しましょう。

身体を痛める

バランスボールは、正しい姿勢で座ることで初めて効果を発揮するフィットネス器具。使い方が悪いと、身体への負担が軽くなるどころか、むしろ重くなりかねません。特に腰痛をおもちの方などは、医師や整体師と相談して使いましょう。ケガなどのリスクを小さくするには、身体に合った大きさのボールを選ぶことも大切です。

勉強中にバランスボールを使いたいと考えている方は、以上の点にご注意ください。

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勉強にバランスボールを使うポイント

バランスボールに座って勉強してみたい方は、以下の点を意識してみてください。

正しいサイズを選ぶ

バランスボールを購入するときは、自分に合った直径のものを選びましょう。高すぎる/低すぎる椅子と同様、バランスボールのサイズが合わないと、姿勢が崩れやすくなります。

ヨガインストラクターの森和世氏によると、座ったとき膝が90度に曲がるサイズがベストだそう。おおむね、以下のサイズなら膝が90度になります。

  • 身長150cm未満→直径45cm
  • 身長150~165cm→直径55cm
  • 身長165cm以上→直径65cm

空気の入れ具合に注意する

ボールに入れる空気の量も重要です。森氏によれば、空気をたくさん入れるほど、上に座ってバランスをとる難易度がアップするそう。ボールがパンパンに膨らんでへこみにくくなり、お尻を乗せにくいためです。まずは空気を少なめに入れ、慣れたら増やしていくといいでしょう。

バランスボールの弾力は、商品によっても異なります。クッションのような「ソフトタイプ」や、本格的なトレーニングに使う「ハードタイプ」などがあるので、自分のレベルや体格に合わせて選びましょう。

正しい姿勢で座る

「フィットネスYouTuber」として活動する高稲達弥氏によると、バランスボールに座るときは、骨盤を立てるよう意識すべきとのこと。お尻をグッと後ろに突き出し、腰を垂直に伸ばすようなイメージです。

骨盤が立ったら、その垂直線上に胴体や頭を乗せるイメージで座りましょう。体重が骨盤や背骨でしっかり支えられ、身体への負担が小さくなります。反対に、骨盤が後傾した姿勢(猫背)では、上半身の重みが偏り、肩や腰に余計な負荷がかかるので注意してください。

高稲氏によると、「脚を骨盤の幅に開く」「股関節・膝・足首を結んだ面が垂直になるようにする」こともポイントだそうですよ。

◆バランスボールの正しい座り方

  • 脚を骨盤の幅に開く
  • 膝を90度に曲げる
  • 股関節・膝・足首を結んだ面が垂直になるようにする
  • 骨盤を立てる
  • 骨盤の上に胴体と頭を垂直に乗せる

「ゆらゆら体操」をしてみる

勉強中にリフレッシュしたくなったら、バランスボールに座ってできる「ゆらゆら体操」にトライしてみましょう。

最もシンプルなのは「骨盤前傾・後傾体操」。腰に手を当て、お尻を前後に動かすだけです。運動生理学者の谷本道哉氏らによれば、前屈と同様のストレッチ効果が得られるそうですよ。

バランスボールの上なら骨盤を大きく動かせるので、高い運動効果を得られます。バランスボールを使ったリフレッシュ術として、ぜひ勉強の合間に試してみてください。

◆バランスボールでの「ゆらゆら体操」(『マイナビ文庫 お腹がやせる「体幹」体操』より)

  • 骨盤前傾・後傾体操:
    腰に手を当て、お尻だけ前後に動かす。1往復約4秒
  • 骨盤左傾・右傾体操:
    腰に手を当て、脚を大きく広げてお尻だけ左右に動かす。1往復約4秒
  • 骨盤回し体操:
    腰に手を当て、脚を大きく広げてお尻だけ回転させる。1周約4秒

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勉強中に使えるおすすめバランスボール

最後に、勉強中に使えるバランスボールをご紹介しましょう。初めてのときは、バランスボール用空気入れも合わせてご購入ください。

スタンダードな「セラバンド SDSエクササイズボール」

前出の高稲氏がすすめるバランスボールは、株式会社D&Mの「セラバンド」。フィットネスクラブでも使われているスタンダードな製品だそうです。3,000円~4,000円程度と手頃なので、初めての方は、セラバンドシリーズを購入するといいでしょう。

台座つきで安定「東急スポーツオアシス フィットネスクラブがつくったバランスボール」

ボールを固定できる台座つきの商品もあります。バランスボールが安定するため、勉強中の椅子として使うなら特におすすめです。

優れたデザイン性「山崎実業 シーティングボール」

デザイン性が高いのが、日用品を手がける山崎実業株式会社の「シーティングボール」。カバーが布製なので、勉強部屋やリビングにマッチしやすく、インテリアのようにも見えます。表面が布なので、ゴム製のボールに比べてホコリがつきにくいのもメリットです。

バランスボールと椅子が一体化「バランスボールチェア」

バランスボールと椅子のいいとこどりが「バランスボールチェア」。キャスター&背もたれつき台座にボールを乗せることで、バランスボールの利点を残しつつ、椅子のような安定感が得られます。普通のバランスポールと違い、ときどき背もたれに身体を預けて休憩できるため、勉強で長時間座っていても疲れにくいはずです。

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バランスボールを正しく使えば、勉強の効率アップや健康維持など、さまざまな効果が期待できます。ご紹介したポイントを踏まえ、自分に合ったバランスボールを適切な方法で使ってみてください。

(参考)
All About|バランスボールの効果と初心者向けの使い方・体幹トレーニング
プレジデントオンライン|正しい座り方は、「背筋ピン」ではなく「お尻をグイッ」
横浜あくわ整骨院|座ると腰が痛い
All About|バランスボールのサイズと選び方、効果的なおすすめトレーニング
YouTube|【歪み改善】バランスボールへの正しい座り方&骨盤エクササイズ(第1部)
谷本道哉・石井直方(2014),『マイナビ文庫 お腹がやせる「体幹」体操』, マイナビ出版.

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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