最新研究が証明「空腹だと勝負強くなる」――ランチ前には “これ” をするべき

ランチが入った茶色い袋と青りんご

「腹が減っては戦はできぬ」という言葉は、私たちが仕事の手を止めて「食べること」を正当化してくれます。ところが、どうやら腹が減っても戦うことはできるようです。それどころか、負け知らずになる可能性もあるのだとか。

意外な最新研究をもとに、ランチ前のビジネス戦略・スキルアップ戦略を紹介しましょう。

空腹時はパフォーマンスが下がるのか? 上がるのか?

脳神経外科医の菅原道仁氏によると、ブドウ糖をエネルギーにしている脳は血糖値の低下に敏感なのだそう。そのため、血糖値の低下を感知するとすぐさま「空腹ですよ」とサインを出し、私たちがエネルギーを補給するよう「お腹が空いた」感覚を与えます。

そんなときビジネスパーソンのあなたは、仕事に支障が出ないよう脳に栄養を与えるべく、チョコレートやアメを口に放り込んだり、食事を早めたりするかもしれません。

しかし、菅原氏によれば、低血糖が続くと内臓の中性脂肪が分解されて糖がつくり出されるので、すぐにエネルギーが不足してしまうことはないとのこと(※健康体の場合)。脳から出たエネルギー補給の指令にすぐ従わなくても、そのあとのパフォーマンス低下につながるわけではないのです。

それどころか、攻めのビジネスなら空腹時がもってこいかもしれません。その理由を最新の研究とともに説明しましょう。

ヘルシーでおいしそうなサンドイッチ

お腹が空いた! 何か食べたい!――そんなときこそ驚くべきパワーが!?

攻めるなら空腹時をねらえ!

理化学研究所や東京大学などの研究チームは、ゼブラフィッシュ(インド原産の淡水性熱帯魚)が空腹状態で闘争すると、エサを食べた状態で闘争するよりも、勝負を諦めにくく、負けにくくなることを発見したそうです。

魚と人間は同じ脊椎動物で、脳の構造や機能に相同性(共通の祖先に由来)が見られるのだとか。ちなみに、ゼブラフィッシュの遺伝子数は2万6,000個で、その70%が人間と共通しているのだそう。

ゼブラフィッシュの画像ゼブラフィッシュの雄を2匹同じ水槽に入れると、ほとんどの場合は攻撃し合い、最終的には勝者と敗者に分かれる。このように闘争行動がハッキリしていて観察しやすいことから、動物の社会的闘争行動を調べるためのモデルとして用いられる。

じつは以前の研究で、脳内における神経の興奮が伝わっていくパターンが「勝者」と「敗者」では違うことがわかっていました。すると今回の研究で、絶食させたゼブラフィッシュについて、「闘争を行なう前」から「勝者の興奮伝播パターン」が増強されているとわかったそう。

この神経経路はすべての脊椎動物の脳に備わっているため、人間の社会的闘争行動の変化にも関与していると考えられるそうです(2020年6月23日付のオンライン科学雑誌『Cell Reports』に掲載)。

つまり、空腹時は粘り強くて負けにくい。弱みを見せず、粘り強く攻めていきたい商談やミーティングは、ランチ前がよさそうです。

学ぶなら空腹時をねらえ!

空腹時に分泌されるグレリンは、食欲を増進する働きがあるホルモンです。STEAM教育協会が主催する「科学検定」の科学ニュースでは、そのグレリンが新しい脳細胞の成長を促し、脳細胞を老化から守る働きがあると紹介しています。

英スウォンジー大学医学部准教授のジェフリー・デイビース(Jeffrey Davies)氏ら研究チームが、培養したマウスの脳細胞にグレリンを与えたところ、神経発生(脳細胞の分裂と増殖)を引き起こす遺伝子や成長因子のスイッチが入ったのだとか。

さらにデイビース氏らのチームは、パーキンソン病による脳の細胞死をグレリンが救うことも発見しました。実際に、パーキンソン病による認識機能障害をもつ人々は、同障害のない人に比べて、血中のグレリン濃度が低いそうです。

また、別の研究でマウスにグレリンを投与したところ、学習効果と記憶テストの成績が上昇したそう。

つまり空腹時には、脳が成長し、若返り、頭がよくなるわけです。資料に目を通す、文献を読む、読書をする、もしくはスキルアップのための勉強をするちょっとしたタイミングは、空腹時をねらってみてはいかがでしょう。

昼食の前に資料や文献に目を通すビジネスパーソンの様子

「大切な意思決定」は空腹時を避けたほうがいい

ただし、空腹時には避けたほうがいいこともあります。神経精神薬理学の研究では、空腹時に意思決定を行なわないことが最善であると示されました。

ヨーテボリ大学(スウェーデン)のカロリーナ・スキビッカ(Karolina Skibicka)氏によれば、空腹時にグレリン値が高いレベルまで上昇してしまうと、脳が衝動的に行動するため、理性的かつ合理的な決定を下しにくくなるのだそう。

重要で難しい意思決定は、空腹時を避け、落ち着いてから行なうのが得策です。

ちなみに前出の菅原氏によれば、食事をすると(休息を促す自律神経の)副交感神経が消化器を動かし⇒副交感神経の働きが活発になってリラックス感が高まり⇒その結果、眠くなってしまうそう。

もしも昼食後に意思決定を行なわなければならない場合は、少なめの食事、あるいは腹八分目を意識することを強くおすすめします。

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なお、あまりにもお腹が空いた場合はイライラして集中力を保てなくなる可能性もあるので、その際は状況に応じてナッツなどを食べたり、食事をとったりしてくださいね。「ちょっとお腹が減ったなぁ」ぐらいの段階なら、すかさず攻めて、学びましょう!

(参考)
理化学研究所|腹が減っては戦に負けぬ  
Women's Health|科学が証明! お腹が空くとイライラするのは当たり前 
科学検定|【科学ニュース】“空腹ホルモン”が脳細胞の成長を促進!?  
AFPBB News|ゼブラフィッシュの全ゲノム配列解読 
菅原道仁 著(2017),『成功の食事法: 脳神経外科医の自分を劇的に変える食欲マネジメント』, ポプラ社.
Wikipedia|相同

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