“脳内物質のアンバランス” が頭の働きを悪化させている。「脳がさえる」4つの最高習慣はこれだ!

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「なんとか仕事はこなしているけれど、頭は思うように働かないし、集中力がすぐ切れてしまう」なんて悩みを抱えていませんか?
「SNSは暇さえあれば開くけれど、人に直接会うのは少し億劫だ」なんて気持ちになっていませんか?

心理療法セラピストで『脳が冴える最高の習慣術』著者のマイク・ダウ氏によると、このような症状は「ブレイン・フォグ」と呼ばれているとのこと。脳(ブレイン)に霧(フォグ)がかかったような状態を指し、これを抱える人は年々増えているそうです。

今回は、ブレイン・フォグから抜け出すためにするべきことをご紹介します。上記の症状に心当たりのある場合は、ぜひ参考にしてみてくださいね。

「ブレイン・フォグ」はなぜ起こる?

注意散漫、倦怠感、不安などは、ブレイン・フォグによって引き起こされるもの。マイク・ダウ氏によると、脳内化学物質のアンバランスが原因となっているそうです。

私は、長年にわたって複雑な脳について研究し、セラピストとして働くうちに、1つの結論に到達した。私たちの食事や睡眠、仕事のしかた、生活のしかたのせいで、重要な3つの脳内科学物質(セロトニン、ドーパミン、コルチゾール)の量が不安定になり、その結果として、脳がオーバーフローしたり、飢えたり、詰まったり、乱れたりしているのだ。

(引用元:マイク・ダウ 著, 坂東智子 訳(2017),『脳が冴える最高の習慣術』, 大和書房.)

脳にダメージを与える生活によって、脳内科学物質のバランスが慢性的に悪くなり、その結果、頭の働きが悪くなってしまっているのです。

ライフスタイルを改めることによって、気分をよくする脳内科学物質であるセロトニンとドーパミンが高く保たれ、ストレスホルモンであるコルチゾールを低く抑えることが可能になります。さっそく、私たちが日常のなかで改善できる生活習慣を見ていきましょう。

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1. 座ってばかりの生活を改める

仕事で1日中パソコンの前に座り、電車に乗って帰宅し、ソファに座ってテレビを観る……このように、ほとんど体を動かさない生活を送るビジネスパーソンは多いはず。体を動かさないことは、脳への血流を減らし、酸素や栄養素が不足する原因となります

さらに、座ってばかりで体を動かさないことは、脳に毒素がたまってしまう「リーキー・ブレイン」のリスクも高まると言われています。リーキー・ブレインとは、「血液脳関門」という脳の防御システムが破られてしまい、毒素が脳に入りやすくなっている状態。これらの、脳に芳しくない状況が、ブレイン・フォグを招いているのです。

対策は、できるだけ座り続ける時間を減らし、定期的に体を動かすこと。マイク・ダウ氏は、1時間ごとに6分ほど、歩行程度の軽い運動を行なうことをすすめています。仕事中は1時間ごとに、トイレに行ったり新しい飲み物を取りに行ったりするのがよいでしょう。

会社でも、家のなかでも、こまめに立ち上がって動くことを意識したいですね。

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2. 睡眠が足りていないことを自覚する

十分な睡眠がとれていないと、コルチゾールなどのストレスホルモンが増え、ドーパミンの量が減少してしまいます。ドーパミンの量が少ないと、意欲や集中力が低下してしまうのです。さらに、コルチゾールの濃度が慢性的に高いと、セロトニンがレセプターと結合する、つまりセロトニンの脳への到達を妨げることも確認されています。

では、睡眠時間は、何時間程度が理想なのでしょう。睡眠の治療や研究を行なっている秋田大学大学院の三島和夫教授によると、適切な睡眠時間については個人差があるものの、さまざまな研究結果から6~8時間が目安といわれているそうです。

とはいえ、「自分は6時間寝ているから大丈夫だ」と安心しきるのは早計かも。ペンシルベニア大学の調査によると、6時間睡眠を2週間続けた被験者グループは、2日間睡眠をとらなかったグループと同じくらいパフォーマンスが低下するという結果が出ているそう。さらに、被験者たちのほとんどは、自分のパフォーマンスが低下したことを自覚できていなかったのだとか。

知らず知らずのうちに、寝不足の負債がたまってしまうのは怖いですよね。日々、睡眠時間と、その日の体調(集中力がいつもより高いか低いかなど)をメモして、自分にとって適切な睡眠時間を探すのがおすすめです。

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3. デジタルの使い方を見直す

スマートフォンは常に手元にあり、メールやSNSの通知が鳴るとすぐに反応してしまう……。現代人のほとんどが、このような状態に陥っているかもしれません。

Instagramの「いいね」やLINEのメッセージ通知は、脳内のドーパミンの量を増やしてしまう作用があります。つまり、中毒性があるということ。「新しい通知が来ているかもしれない」という期待をしながらスマートフォンを開く際の脳内のドーパミンの状態は、スロットマシンに熱中するギャンブラーと変わりないのです。

さらに、スマートフォン(もしくはパソコンの通知)を気にしながら仕事をすることはマルチタスクを招きます。ワシントン大学のデビッド・メイヤー博士によると、マルチタスクを行なうことで生産性は40%低下し、ミスも増えてしまうそう。

また、SNSを頻繁に使うことは、集中力を低下させるだけでなく、ネガティブな感情を生み出すという側面もあります。ペンシルベニア大学の研究によると、Facebook・Snapchat・Instagramを頻繁に使用することには、孤独感を強める作用があるそう。逆に、SNS利用を控えることで、孤独感が解消され、幸福度が増すということもわかっています。

いますぐにSNSの利用をやめるのは難しいかもしれませんが、スマートフォンの通知はオフにして、決めた時間にだけチェックするなどの対策がおすすめです。どうしても、スマートフォン画面を開いたタイミングでSNSをチェックしてしまう場合は、アプリを削除して、パソコンでのみ閲覧することにするのもよいでしょう。

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4. 血の通った人間関係を大切にする

SNSのおかげで、しばらく会っていない友だちとも常につながっていられるようになりました。しかし、オンライン上でつながることは、孤独の解消にはつながりません。International Journal of Adolescence and Youthに掲載された、若者に関する研究によると、SNSを利用する時間や頻度が多いほど、不安やうつを抱えやすいということがわかっています。逆に、利用時間や頻度を減らすと、精神状態が改善するということも判明。

ソーシャルメディアがなかった頃に比べ、私たちは実際に対面で会うことが減っているかもしれません。毎日、たくさんの人に会い、オンラインでは無数の人とつながっていたとしても、実際に心を通わせて会話をすることがないと、孤独感はいっそう増すでしょう。

実際に会って血の通った人間関係を築くことは、精神面だけでなく、脳にもよい影響があります。800人以上の高齢者を数年間、調査した研究によると、孤独感は認知機能の低下を招くうえに、アルツハイマー病の発症率を2倍に高めることがわかったのだとか。人とのつながりは、知力を保つことにも重要なのですね。

何年も会っていないような友だちが楽しそうな写真を投稿しているのを見ても、孤独感を強めるだけです。それよりも、本当に仲のよい友だちに電話をしたり、会ってお茶をしたりするほうが、つながりを感じることができ、メンタルも脳機能も向上するでしょう。

***
毎日の細かい習慣が、頭がさえなくなる原因をつくっているかもしれません。集中力の低下や仕事のミス増加に悩まされている人は要注意。ぜひライフスタイルを見直してみてください。

(参考)
マイク・ダウ 著, 坂東智子 訳(2017),『脳が冴える最高の習慣術』, 大和書房.
Semantic Scholar|What is brain fog? An evaluation of the symptom in postural tachycardia syndrome
Thrive Global|Everything You Need To Know About Brain Fog (And How To Eliminate It)
NHK|6〜8時間が理想?睡眠不足解消につながる理想的な睡眠時間とは
American Psychological Association|Multitasking: Switching costs
Help Guide|Social Media and Mental Health
Taylor and Francis Online|A systematic review: the influence of social media on depression, anxiety and psychological distress in adolescents

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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