全然勉強しない社会人が衰えさせる「3つの力」。幸福を感じたい人に必要なのは勉強だった!

全然勉強していない社会人が衰えさせてる3つの力01

「勉強したほうがいいとは思うけど、やる気が出ない」
「仕事が忙しいので、勉強の優先度は低い」
「業務を通して学ぶことが多いので、勉強は不要だ」

さまざまな理由や考えで、勉強していない社会人は多いのではないでしょうか。しかし、いつまでも勉強しないでいると、脳の成長、収入、幸福度などに悪影響が生じる可能性も……。

全然勉強しない人は、とても大切な3つの力を衰えさせてしまいます。それはいったい何か、ご紹介しましょう。

1. 勉強しないと「社会で生き残る力」が衰える

AIの普及や技術の進歩とともに、個人の能力が以前よりも試されるようになったいまの時代。勉強し続ける社会人と、言い訳ばかりして勉強しない社会人とでは、大きな差が出ます。

グロービス経営大学院教員の加藤剛広氏は、「常にアンテナを張って新しいことを学び続ける人」と「いまの仕事にしがみついたまま何も学ばない人」を比較し、後者のような人は時代に取り残されても仕方ないと述べます。

テクノロジーの進化で消える仕事もあれば生まれる仕事もあるなか、新たなことを学ばなければ、自分の市場価値を高めることは不可能。これからの社会で生き残る力は、間違いなく衰えてしまうでしょう。キャリアや働き方の選択肢が狭まり、あまり希望しない仕事を続けざるをえない事態に陥りかねないのです。

なかには、「勉強しなくてもとりあえずどうにかなっているのに、勉強してなんの役に立つのか……」という人もいるかもしれません。しかしそのような人でも、「頭なんてよくならなくていい」と思っているわけではないはず。

教育学者の齋藤孝氏は、勉強は「自分を広げること」だと語っています。受験やテストのような明確な目標がない場合は、新しい知識を得ることで頭の働きをよくするために、勉強をすればいいとのこと。仕事をしていれば知識や経験はある程度増えますが、思考力は自然と身につくものではないからです。頭のよさや思考力が、この先も生き残り続けるために不可欠であることは、言うまでもないでしょう。

労働者派遣事業の株式会社VSNが、全国のビジネスパーソン(20~50代)を対象に実施した調査では、全体の44%がキャリアチェンジを考えていると回答しました。「いまのままじゃいけない」と考えている社会人は多くいることがわかります。転職したいと思ったときに転職できる。幅広い選択肢から希望のキャリアを選べる。そんな人になれるよう、勉強し続けたいものですね。

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2. 本を読まないと「脳の健康」と「稼ぐ力」が衰える

「時間がない」とか「疲れている」といった理由で、本を読まない社会人は少なくないでしょう。ですが、読書も立派な勉強です。本を読むことが私たちに与えてくれる好影響をふたつ紹介します。

ひとつは脳の健康。イエール大学が発表した論文によると、読書を1週間に3時間半程度している人は、読書をまったくしていない人に比べ、認知症になる可能性などを示唆する認知スコアが高い(高いと認知症になりにくい)ことが判明したそう。脳の健康を保つために、読書がいかに大切かよくわかります。

もうひとつは稼ぐ力。年収の高さと読書量も関係性が深いようです。総合人材サービスのパーソルキャリア株式会社が実施した調査によると、月に1冊以上本を読む人の割合は

  • 平均年収層(調査時の2019年は432.2万円):55.4%
  • 年収1,000万円層:63.4%

とわかったそう。また、特にビジネス書を読む人の割合は年収1,000万円層に多く、平均年収層の約3倍いたのだとか。

本を読んで勉強することは、脳の健康にも収入にもメリットがあるのです。逆に言えば、まったく本を読まないと、これらのメリットをみすみす手放すことに。読書の習慣がない人は、興味がもてそうな本を早速探してみてはいかがでしょうか。

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3. 学び続けないと「幸福になる力」が衰える

学ばない人は、メンタルヘルスを損なっているかもしれません。研究で、学びは幸福度にもポジティブな変化をもたらすとわかっているのです。

学会誌International Journal of Lifelong Educationに掲載された研究結果によると、大人が新しいことを学ぶと、メンタルヘルスが向上し、幸福感も上がるのだそう。収入アップにつながる勉強が幸福度を上げるということは、以前からさまざまな研究で示されてきたそうなのですが、近年では収入に直接関係ない学びも間接的に幸福度を高めてくれることがわかってきたようです。

たしかに、できなかったことができるようになったり、わからなかったことがわかるようになると、達成感があって嬉しい気持ちになりますよね。成長は自信にもつながりますし、興味のあることに集中して組めば、ストレス発散にもなるでしょう。

新しいことを学ぶ喜びや、何かができるようになった達成感は、「もっと学びたい!」という意欲にもつながります。脳科学者の久保田競氏によると、何かを達成したときに分泌される神経伝達物質「ドーパミン」は、やる気を高め、新たな目標を目指して次のチャレンジをしたくなるという好循環を生んでくれるのだそう。

「勉強する気が湧かない」という人は、仕事を頑張ることに力を入れすぎるあまり、興味のあることへの学びをおざなりにしてしまっているのかもしれません。仕事に関係なくてもいいので、まずは、少しでも興味がもてることを学んでみませんか? そうすればきっと、少しずつ進歩することに脳が喜びを覚え、勉強意欲を徐々に底上げできるはずです。

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脳医学者推薦。忙しい社会人におすすめの勉強法

勉強から遠ざかりがちな忙しい社会人にとって、効率の良さは重要なポイント。モチベーションを保つためにも、「学んだことがちゃんと身になっている」「自分は進歩している」という実感をもちたいですよね。

そこで、脳医学者の瀧靖之氏が紹介する、脳の性質をふまえた「大人におすすめの勉強方法」を4つピックアップしてお伝えします。

  1. まずは、簡単で薄い参考書から
    脳をよく働かせるには、脳にストレスをかけないことが大切。いきなり分厚くて難解な参考書で勉強しようとせず、薄い参考書で学習内容の大枠をつかむといいそうです。その後の過程で「いまどのあたりまで進んでいるか」がわかるようになり、脳がストレスを感じづらくなります。

  2. 予習を大切に
    脳には、見聞きしたことのある事柄を好ましく思う「ファミリアリティ」という性質があるそう。講座やセミナーの前に少しでも予習をしてポイントを把握しておけば、その内容に対して脳が好感を抱くので、学びが脳に定着しやすくなるのだとか。

  3. 3日連続で復習し、1ヶ月後におさらいを
    脳には、よく使う記憶は効率よく思い出せる性質があるそう。何かを覚えたいときは、連続して記憶を振り返ることが有効だと言います。加えて、1ヶ月後に再度思い出すことで、記憶がさらに定着するのだそう。

  4. 論理的思考は「朝」、暗記は「夜」がベスト
    朝は思考回路がクリアなので、長文読解など、論理的思考が必要な勉強に適しているそうです。また、脳はその日に吸収した情報を睡眠中に整理するため、暗記は寝る直前にするのが効果的なのだとか。

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社会人が勉強しないことの弊害をお伝えしました。勉強習慣がないままでは危険ですよ。興味あることから少しずつ、学んでいってくださいね。

(参考)
Science Daily|Language learning makes the brain grow, Swedish study suggests
Journal of Neuroscience|Musical Training Shapes Structural Brain Development
Wiley Online Library|Books are Forever: Early Life Conditions, Education and Lifetime Earnings in Europe
PR TIMES|日本初、ハイクラス人材のキャリア戦略プラットフォーム「iX(アイエックス)」が 今どき1,000万円プレイヤーの「読書事情」を徹底調査
NCBI|A Chapter a Day – Association of Book Reading with Longevity
Upskilled|The mental health benefits of learning a new skill
Taylor & Francis Online|Good for your soul? Adult learning and mental well‐being
Taylor & Francis Online|Adult education, mental health and mental wellbeing
日経xwoman|「推し」で毎日が輝く!報酬系ホルモンドーパミンとは?
WOMAN SMART|脳のパフォーマンス最大に 脳医学者お薦めの勉強法
リサーチ・リサーチ|キャリアチェンジに関する意識調査(20~50代ビジネスパーソン対象)
STUDY HACKER|「勉強し続ける人」だけが得る力。「全然勉強しない人」は生まれもった素質でしか勝負できない
BUSINESS INSIDER|大学はゴールではない。学び続ける人が生き残れるたった一つの理由とは

【ライタープロフィール】
Yuko
ライター・翻訳家として活動中。科学的に効果のある仕事術・勉強法・メンタルヘルス管理術に関する執筆が得意。脳科学や心理学に関する論文を月に30本以上読み、脳を整え集中力を高める習慣、モチベーションを保つ習慣、時間管理術などを自身の生活に取り入れている。

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