脳は新しいことがお好き!? 「頑張りすぎて疲れた脳」はこうすれば回復する

燃え尽き症候群01

「やる気が起きない」
「朝、なかなか起きられない」
「人と関わるのが億劫」
「仕事をしたくない」
思い当たる方は、もしかしたら「燃え尽き症候群」かもしれません。

燃え尽き症候群は、パフォーマンスや自己肯定感の低下を招くリスクがあり、仕事にもプライベートにも悪影響を及ぼします。今回は、「燃え尽きそう」あるいは「燃え尽きてしまった」人が回復する方法をご紹介します。

「燃え尽き」は脳の状態を変えてしまう

それまでモチベーションを高く保っていた人が突如としてやる気を失ってしまう「燃え尽き症候群」には、さまざまな原因が存在します。

燃え尽き症候群に関する研究の第一人者でもある、カリフォルニア大学のクリスティーナ・マスラッチ教授いわく、「個人が職場に対して感じるミスマッチが燃え尽きの原因となりうる」とのこと。仕事に関する次の6つの要因うち、1つでも違和感を覚えるものがあったら要注意だそうです。

  • 価値観
  • 仕事量・労働時間
  • コントロール感のなさ(裁量が少ないなど)
  • 報酬(ストレスに対して見合っているか)
  • チーム感(コミュニティに参加していると感じられるか)
  • 公平性(正当に評価されているか)

 そして、燃え尽き症候群の怖さは、脳や体を物理的に変化させてしまうところにもあります。カロリンスカ研究所の心理学研究チームによると、職場で起こる燃え尽き症候群は、脳の神経回路に影響を及ぼし、長期にわたって神経性の機能障害を起こす可能性があるのだそう。具体的には以下が挙げられます。

  • 脳の扁桃体が肥大することで気分の変動が激しくなり、不測の事態が起きたときに強いストレスを感じやすくなる
  • 認知機能をつかさどる前頭前野が薄くなる
  • 集中力と注意力が弱まり、新しいことを学ぶ能力が低下する
  • シナプスなど脳の神経細胞をつなぐ部分が弱まって神経回路網の働きが低下することで、ワーキングメモリーの衰えや発想力の減退が起こる

深刻な影響が及ぶ前になんとかしたいもの。以下で具体的な方法をご紹介しましょう。 

燃え尽き症候群03

1. 新しいことを学ぶ

脳を回復させるカギとなるのが「神経可塑性」という能力。たとえば、脳梗塞で指を動かす脳領域が損なわれた場合には、リハビリテーションを実施することで神経可塑的変化を誘導し、失われた機能を取り戻せる場合があります。神経可塑性を促進することで、脳損傷後の回復を促せるのです。

燃え尽きた脳を回復させるために、私たちが個人的に実施できるのが「新しいことを学ぶこと」。常に新しいことを勉強することで、私たちの神経回路は変化しやすい状態になります

学ぶのは、仕事以外のことでもかまいません。たとえば、音楽が好きな人はギターを始めてみてもよいでしょう。また、個人的な目標を設定して達成することで、「やる気のもと」とも言われる神経伝達物質ドーパミンにも作用します。相乗効果が期待できるでしょう。

燃え尽き症候群06

2. 報酬システムをつくる

新しいことを始めようと決意したものの、「やっぱりまだやる気が湧かない」という人もいるかもしれません。そんな場合は「報酬システム(=やる気を起こす仕組み)」をつくりましょう

たとえば、「資格の勉強をしたい」と思うものの行動に移せないのであれば、お気に入りのカフェでおいしいラテを飲みながら勉強する。「筋トレを始めたい」のにジムに行くのが憂鬱な人は、ランニングマシンで走っている最中はタブレットで好きなドラマを観る。

こうすると、脳は「それをすると報酬が得られる」と学習します。その行動に対する抵抗が薄れていくわけです。そして、しだいに報酬そのものよりも「行動(勉強やダイエット)」や「成果を出すこと」に快を感じるようになり、自然と動けるようになるのです。

やる気が起きないうちは、人参をぶら下げる方式を使ってみるのもよさそうですね。

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3. ボーッとする

「ボーッとすること」も有効です。考え事などから意識を背けたり、宙を見て空想したりすることは脳にとてもよく、記憶力・認知機能・ワーキングメモリ・クリエイティビティなどに好影響を与えることがさまざまな研究からわかっています。

たとえば、神経科学者アリエル・タンビニ氏が実施した研究によれば、被験者に2枚の写真を暗記してもらった直後にボーッとする時間を設け、その最中の脳の動きを計測したところ、脳の複数箇所が活性化して記憶が強まることが判明しました。

また、別の研究によれば、ぼんやりしたり空想したりする人は、そうでない人に比べてワーキングメモリが高いのだそう。ワーキングメモリが高い人は、複数のことを同時に考えるのが得意で、知能も高いとされています。

さらに、ジョージア工科大学の心理学教授エリック・シューマシャー氏は、ぼんやりする時間の長い人のほうがクリエイティビティが高いと言います。同氏は実験で、被験者に「日中にボーッとする時間がどれくらいあるか」というアンケートをとり、同時にクリエイティブ能力と知性を測るテストを受けてもらいました。すると、ボーッとする時間が長い人ほどテストのスコアが高かったのだとか。

いつも緊張感高く考え事をするよりも、息抜きをとって放心する時間を意識的につくるほうが、脳にとってもいいようです。

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やる気が湧かない……。仕事が憂鬱……。それは頑張りすぎて燃え尽きている(あるいは燃え尽きそうになっている)からかもしれません。上手に脳を回復させることも意識してみてください。

(参考)
Science of People|How to Fight Burnout and Get Unstuck in 11 Empowering Steps
かせ心のクリニック|燃え尽き症候群(バーンアウト症候群)
Association for Psychological Science|Burnout and the Brain
日本脳科学関連学会連合|脳は傷ついても回復する? 
CogniFit|Neuroplasticity 
doterra|Achieving Your Goals: Why You Need to Reward Yourself
EHS Today|Dopamine May Determine Whether You're a Go-Getter or Slacker at Work
Wikipedia|ドーパミン
JOLSID|Neuroscience provides a Creative Hack for Productivity
Live Science|Do You Daydream? You May Be Smarter and More Creative Than Your Peers

【ライタープロフィール】
Yuko
大学卒業後、外資系企業に就職。現在は会社を辞め、ライター・翻訳家として活動中。趣味は散歩、ヨガ、カフェ巡り。

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