皇帝ナポレオンの成り上がり方が斬新だった。「次も会いたい」「この人すごい」と思われる3つの秘訣

3人の一流から学ぶ、出世できる人になるための処世術01

会社で出世したい、独立や起業をしたいなど、「何かを成し遂げたい!」という思いを持っている人は少なくないでしょう。しかし、激しい競争社会のなか、頭ひとつ抜け出るのはなかなか大変なことですよね。

そこで今回は、3人の一流たちの教えから、「出世できる人」になるための処世術を学んでいきましょう

1.フランスの皇帝・ナポレオン「コネは自力でつくれ」

ナポレオン・ボナパルトといえば、軍人として傑出した才能を発揮し、最後にはフランスの皇帝にまで成り上がった偉人として有名です。

フランスの英雄として知られるナポレオンですが、じつはもともとの血統はフランス系ではなかったことをご存じでしょうか。ナポレオンは、コルシカ島という小さな島のイタリア系の家庭に生まれました。そして、さまざまな事情により、9歳の頃にフランスへ移住してきたのです。

つまり、ナポレオンは何のコネもツテもない状態から、フランスでのキャリアをスタートしました当時の厳しい身分社会のなかで、「よそ者」のナポレオンが出世するなんてことは、普通に考えればあり得ません

しかしナポレオンはあきらめませんでした。コネがないならつくればいいと、ある大胆な行動を起こしたのです。『最強の成功哲学書 世界史』の著者・神野正史氏は次のように説明しています。

ナポレオンはすぐに机に向かい、わずか1ヵ月で『ボーケールの晩餐』という小冊子を書き上げます。(中略)「ロベスピエールのやり方でしかフランスが生き残る道はない!」という結論を記したものです。要するに、時の最高権力者ロベスピエールへの「ゴマすり」なのですが、彼がこの『ボーケールの晩餐』を自費出版した直後、彼の人生を変える事件が起こります。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|“逆境を楽しむ者が、最後に勝つ”英雄ナポレオンに学ぶ「目標設定」

つまり、当時の最高権力者に向けて、「私はあなたのことが大好きですよ」というラブコールを送ったのです。この冊子がきっかけとなり、ナポレオンはその後、まだ何の実績もなかったにもかかわらず、砲兵隊長に抜擢されることになりました

3人の一流から学ぶ、出世できる人になるための処世術02

人生を変えるきっかけが欲しいと思っている人は、ナポレオンを見習い、人脈を開拓するためのアクションを起こしてみてはいかがでしょうか。

とりわけインターネット環境が普及した最近では、SNSを通じたコミュニティや異業種交流会、オンラインサロンなどさまざまな交流の場があり、新たな人脈を得るハードルはかなり下がってきています。最初の一歩として、まずはそういった場に積極的に足を運んでみることから始めてみましょう。

ただし、ただ新しい人に会って名刺を交換するだけでは、単なる顔見知りで終わってしまうことがほとんどです。人財育成トレーナーの能町光香氏によると、人脈をつくるためには、まずは人から求められるような価値や個性をこちらから提供し、「会いたいと思われる人」になることが大切なのだそう。

たとえば、スマートフォンの最新機種について誰よりも詳しい、おいしい店をたくさん知っている、など「私と仲よくなればこんなにいいことがありますよ」というメリットを相手に感じてもらうことで、次の誘いなどにつながりやすくなるのです(ナポレオンの場合には、最高権力者ロベスピエールへの尊敬の念を全力でアピールしたことで、「会いたいと思われる」ことに成功していました)。

人に擦り寄ったり、自己アピールをしたりするのは気が引けるかもしれませんが、そのたった一時の恥が、一生の転機になるかもしれないのです。

3人の一流から学ぶ、出世できる人になるための処世術03

2. 元大阪府知事・橋下徹「案は3パターン出せ」

元大阪府知事の橋下徹氏は、自分の提案を通したいならば、まず上司の思考を想像し、その上で可能な限りの準備をするべきであるといいます。

想像力を働かせることのできる人は、仕事がうまくいきます。そして、誰からも認められます。ただし、ムダになる努力を惜しまずにできるかどうかです。(中略)自分の提案を通したいなら、まずは相手の思考回路を知ることです。そのことによって、適切な対策を講じることができます。

(引用元:プレジデント・オンライン|橋下徹「上司を忖度する時にやるべき事」

橋下氏が推奨する具体策としては、「提案は必ず3パターン用意する」というものがあります。その3パターンは「最善だと思う案」「その対極の案」「中間の案」という内訳。

たとえば「夏にふさわしいカップラーメンの新企画」を提案するとしましょう。

自分のなかでは、さっぱりとした「ゆず塩味」を発売するのが最善だと考えたとします。しかし、提案を受ける上司の側に立ってみれば、その1案だけだと「もっとほかにいい案があるんじゃないの?」と勘ぐりたくなってしまいます。そこで、1案だけでなく、「対極の案」「中間の案」も併せて提出するのです。

【最善だと思う案】
「ゆず塩味」……夏らしくさっぱりとした味わい。

【その対極の案】
「背油たっぷり豚骨味」……“さっぱり” とは対極の “こってり”

【中間の案】
「煮干し醤油味」……“さっぱり” と “こってり” の中間。

橋下氏によると、提案の際には3案を用意するべきなのは「比較優位」という考え方に基づいています。比較優位とは、「複数案のなかからもっともマシなものを選ぶ」という考え方です。提案が1案しかないならば、比べる対象がない以上、「この案は優れているのかどうか?」を判断する基準があいまいになってしまいます。

たとえば、たった1人しか生徒がいない学校で、A君という生徒が80点を取ったとします。しかし、ほかの生徒と比較できないので、先生たちはA君が優秀な生徒であるとも優秀でないとも判断できないはずです。でも、ほかに複数の生徒がいれば、彼らとの差を基準にしてA君の優秀さを判断することができますよね。

これが比較優位の考え方です。もし、ほかの生徒がみんな50点ならば、A君はとても優秀だということになります。反対に、ほかの生徒がみな100点ならば、A君は劣等生扱いをされるでしょう。提案の場合もこれと同じです。複数の案を比較することで、どの案が最もベターか判断しやすくなるのです。

上の例の場合、“こってり” としたほかの2つの案に比べれば、“あっさり” とした「ゆず塩味」はずっと夏にふさわしそうに見えます。つまり、ほかの2案と対照させることで、「ゆず塩味」はその魅力が際立ち、相対的に高い評価を得ることが期待できるのです。

どうしても実現したい企画などがある場合には、ぜひこの「3案の原則」を使い、本命の企画が持つ魅力を効果的に伝えてみましょう。

3人の一流から学ぶ、出世できる人になるための処世術04

3. カリスマ編集者・箕輪厚介「置かれた場所で、最大限楽しめ」

堀江貴文著『多動力』、落合陽一著『日本再興戦略』をはじめ、数々の大ヒット本を世に送り出してきた敏腕編集者・箕輪厚介氏。箕輪氏は、積極的なアクションによってキャリアを切り拓いてきた自身の経験から、「目の前の仕事を全力で楽しむ」ことの大切さを語っています。

「置かれた場所で咲けないやつは、好きなことでも開花しない」っていうのは真理だと思いますよ。結局、好きなことを仕事にしようが、そうでなかろうが、仕事の根幹はすべて一緒だと思うんです。仕事とは「自分で企んで、自分で動かす」こと。こうして主語が「自分」になっているかどうかが重要で。

(引用元:type|【幻冬舎・箕輪厚介】「置かれた場所で咲けないやつは、好きなことでも開花しない」“好き”を見つけたいと焦る20代への助言 ※太字は筆者が施した)

箕輪氏は新卒で双葉社に入社すると、編集ではなく広告営業の部署に配属されました。業務内容は既存の顧客を回るルート営業が中心だったので、当時の箕輪氏は退屈し、いまいちやりがいを見出せなかったのだそうです。

そこで箕輪氏は「どうすれば仕事が楽しくなるか?」と考え、なんと勝手に新規開拓の営業を始めてしまうことに。その結果、受注額はしだいに増えていき、しまいには数千万円単位の大きな仕事まで舞い込むようになりました。不本意な仕事にも全力で取り組み、楽しいものに変えていこうと努めた結果が、その後の華々しい活躍につながったのです。

3人の一流から学ぶ、出世できる人になるための処世術05

仕事の楽しさ(快感や意欲)を司っているのは、ドーパミンという神経伝達物質です。『奇跡のホルモン・スイッチ――潜在能力を引き出す』の著者で薬剤師の加藤雅俊氏によると、このドーパミンは、目標を立ててそれを達成したときに多く分泌されるのだそうです。反対に、目的や変化のない暮らしを続けていると、ドーパミンはしだいに出にくくなり、無気力な人になってしまいます。

この理論に基づけば、かつての箕輪氏が「仕事がつまらない」と思っていたのは、現状維持でかまわないルート営業では向かっていくべき目標がなかったからだったと考えられます。そこで箕輪氏は、「新規開拓」という目標を自分で設定することで、生き生きと働き始めることができたのです。

箕輪氏ほど極端な行動は難しくても、自ら目標を立てたり、新しいチャレンジをするという方法は取り入れることができそうです。たとえば「この作業を15時までに終わらせる!」という時間目標や、「今月は営業の売上1位を目指す!」といった数値目標を自分の中で立て、その目標を強く意識することで、仕事への意欲が沸き起こり、結果にもつながりやすくなるはず。

そうした「自分で企んで、自分で動かす」姿勢こそが、仕事のやりがいや成果に直結していくのです。

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今回ご紹介した3人に共通するのは、どうすれば成功できるかをひたすら考え、積極的に行動に移すという点でした。いまある現状を嘆く前に、「どうすれば打開できるか?」と常に思考し、戦略を練ったうえで立ち向かうことが、一流のキャリアをつかむための極意のようです。

(参考)
ダイヤモンド・オンライン|“逆境を楽しむ者が、最後に勝つ”英雄ナポレオンに学ぶ「目標設定」
All About|人脈の作り方…成功者は知っているその意味とコツ
ダイヤモンド・オンライン|“人生という試合で最も重要なのは、休憩時間の得点”ナポレオンの成功哲学とは?
プレジデント・オンライン|橋下徹「上司を忖度する時にやるべき事」
type|【幻冬舎・箕輪厚介】「置かれた場所で咲けないやつは、好きなことでも開花しない」“好き”を見つけたいと焦る20代への助言
東洋経済オンライン|「やる気スイッチ」ドーパミンを増やすコツ

【ライタープロフィール】
佐藤舜
大学で哲学を専攻し、人文科学系の読書経験が豊富。特に心理学や脳科学分野での執筆を得意としており、200本以上の執筆実績をもつ。幅広いリサーチ経験から記憶術・文章術のノウハウを獲得。「読者の知的好奇心を刺激できるライター」をモットーに、教養を広げるよう努めている。

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