「仕事をしながらだと、忙しくて勉強が思うように手につかない......」
「仕事で疲れていて、どうしても勉強をする気になれない……」
「勉強したいことがありすぎて、休日だけでは足りない……」
学生の頃とは異なり、社会人になると勉強を始めるにもさまざまなハードルが生じてくるものですよね。
そこでこの記事では、「社会人によくある勉強の悩み」を7つご紹介し、それらの対策について詳しく解説します。
あるあるお悩み【1】勉強する時間がない
社会人にとって、勉強のために充分な時間を確保することはなかなか難しいもの。トレスペクト教育研究所代表の宇都出雅巳氏は、必ずしもまとまった時間をとる必要はなく、「5分や10分といったスキマ時間を有効に活用すること」がポイントだと説明しています。
たとえば、通勤時間にポッドキャストを聴いたり、お風呂に入っている時間を利用して動画を観たりするだけでも勉強は進むでしょう。また、手元にテキストを用意できない状況だとしても、以前勉強した内容を思い出すだけで充分勉強になると宇都出氏は伝えています。それなら就寝前の数分でもできますよね。このように、スキマ時間を有効活用すれば、コツコツ勉強する習慣が自然と身につくはずです。
あるあるお悩み【2】勉強を先延ばしにしてしまう
「今日の勉強は明日に回そう」とつい先延ばしにしてしまうこともあるかもしれません。メンタリストのDaiGo氏によると、先延ばし癖の根本的な原因は「完璧主義」にあるそう。完璧主義な人は、計画通りに実行できないとわかると「どうせできないならやらないほうがまし」と感じて、勉強に手をつけられなくなってしまうのです。
そこで重要になるのが「セルフコンパッション」。これは自分を許すことができる能力であり、セルフコンパッションが高い人ほど先延ばしをしない傾向にあるとDaigo氏は伝えています。というのも、「計画が遅れてもよい」と考えることにより、ストレスが軽減されてタスクに手をつけやすくなるからだとか。
とりあえず机に向かったりテキストを開いたりしただけでも良しとすれば、先延ばしせず勉強を進められるかもしれませんよ。
あるあるお悩み【3】平日に勉強できない
平日は仕事でどうしても勉強する気が起きないという人もいるでしょう。デジタルマーケティング事業を手がける株式会社D2Cが、全国の20~50代の社会人男女を対象に実施したアンケートによると、平日に1時間以上の勉強ができている社会人は、全体のたった2割ほどだそう。平日の勉強には、そもそも工夫が必要なのです。
そこでたとえば、「帰宅前時間」と「朝時間」を有効活用してみましょう。帰宅すると勉強する気力がなくなってしまう可能性がある一方、帰宅前にコワーキングスペースなどへ立ち寄れば、まわりの人に触発されてやる気が出る「ピア効果」で勉強がはかどるはず。また脳のエネルギーが充電されている朝に早起きして勉強するのもおすすめ。出勤前に、1時間ほど勉強する時間を設けてみてはいかがでしょうか。
あるあるお悩み【4】勉強のモチベーションが続かない
社会人は学生の頃のように決まった授業があるわけではなく、強制力があまりないため、勉強へのモチベーションがいつのまにか下がってしまう人もきっと多いはず。資格スクエア代表の弁護士・鬼頭政人氏は、簡単に勉強をやめられる状況にあると、つい学ぶのを怠けてしまうことになると指摘しています。
そんなとき、たとえば「来月半ばに資格試験を受ける」という予定を、家族や友人、同僚などに伝えてみてください。“あとに引けないプレッシャー” が自分自身にのしかかり、モチベーションを維持できると鬼頭氏は言います。「まわりへ宣言したのに達成できなかったら恥ずかしい」と感じ、勉強のやる気を失わずにすむはずです。
あるあるお悩み【5】勉強したいことがたくさんある
「勉強したいことがたくさんあって、ひとつに絞れない!」といった悩みもあるのではないでしょうか。
何がなんでもひとつに絞る必要はありませんが、それらの勉強法にはちょっとした工夫が必要。作業療法士の菅原洋平氏によると、「資格試験のための勉強」のように、短い時間で効率よく勉強の成果を出したい場合には、ひとつの勉強を繰り返して行なったほうがよいのだとか。
一方で「社会人としてのスキル向上のための勉強」のような、長期的な勉強の場合には、仕事とは関係がないことも同時並行で勉強するとよいそう。情報処理力などに関わるワーキングメモリが鍛えられ、仕事力が向上するのだと言います。たとえば、仕事に必要な業界研究やマーケティングの勉強をしながら、趣味の一環としてアートについても学んでみれば、独創的な発想力を仕事にも生かせるようになるかもしれません。
あるあるお悩み【6】疲れがたまりすぎて勉強できない
仕事で疲れていると、帰宅後や休日に勉強するのはなかなか難しいですよね。日々の仕事疲れは、自分で意識的に回復させていかなければなりません。
医学博士の裵英洙氏は、場所さえあれば必ず横になって、目を閉じて休むことをすすめています。裵氏によれば、体を横にすると全身が心臓と同じ高さになり、血液の循環が進むことで、疲労物質が洗い流される効果があるのだとか。また目を閉じることは、目と脳を休めて神経の疲れをすばやくとるのに効果的だそうです。
必ずしも眠る必要はありません。勉強する前に10〜15分ほどでも休めば、手っ取り早く疲労が回復されますよ。
あるあるお悩み【7】勉強の仕方がわからない
社会人は、勉強する環境を自分で整えていく必要があります。そんななかで、独学でもよいのか、あるいはスクールへ通うべきか、悩む人もいるかもしれませんね。
経済学者で一橋大学名誉教授の野口悠紀雄氏によれば、社会人は業務や職場での立場によって学ぶべき内容や求められる学習のレベルが異なることから、自分に必要なことだけを掘り下げて勉強する独学スタイルが合っているそう。
とはいえ、独学には強制力がありませんし、カリキュラムを組み立てるのは大変なもの。そうした問題は、インターネットを活用すれば解決できると野口氏は言います。インターネット上にはツールや教材がいくらでもあるからです。
たとえば、ブログで勉強内容を公開したりアプリを使って勉強仲間を増やしたりすることで、目的意識をもちつつ、仲間からの刺激を受けながら勉強することができるはず。アプリについては、こちらの『社会人・大学生におすすめの勉強アプリ15選。英語勉強やスケジュール管理に使える!』で挙げられているものも参考にしてみてください。
***
ここまでにご紹介した7点をまとめてみましょう。
社会人の勉強はさまざまな困難をともなうもの。充実した勉強生活を送れるよう、ぜひ工夫して乗り越えてくださいね。
(参考)
NOBETECH MAGAZINE|宇都出雅巳【第2回】忙しくて時間が無い、という発想は捨てること – 独学で成功する人・成功しない人
Mentalist Daigo Official Blog|完璧主義と自己批判が先送りの原因!
D2C|D2C EdTech Smart Lab、社会人の学びに関する意識調査
STUDY HACKER|あるある悩み「平日に勉強できない」どうすれば解決できるのか? カギは「帰宅前」と「朝時間」にあり!
東洋経済オンライン|勉強が進まない理由を「忙しい」で片付けるな
新R25|「1つの勉強をじっくり」VS「違う勉強を同時進行」…脳をうまく使った効率的な勉強法は?
PHP衆知オンライン|“疲れ”の自己管理はビジネスパーソンの必須スキルだ
NIKKEI STYLE|「独学こそ社会人に最高の勉強法」 野口悠紀雄氏
STUDY HACKER|社会人・大学生におすすめの勉強アプリ15選。英語勉強やスケジュール管理に使える!
【ライタープロフィール】
YOTA
大学では法律学を専攻。塾講師として、中学~大学受験の6科目以上の指導経験をもつ。成功者の勉強法、効率的な学び方、モチベーション維持への関心が強い。広い執筆・リサーチ経験で得た豊富な知識を生かし、効率を追求しながら法律家を目指して日々勉強中。