チャンスをものにする「行動力」は4つの習慣で高める。“心の回復力” なくして永遠に行動はできない

星渉さん「行動力を高める4つの習慣」01

どんな物事も、チャンスを活かすには「行動力」が必要ですが、それは「欲しい行動力を明確にすることから始まる」と、作家・ビジネスコンサルタントとして活躍する星渉(ほし・わたる)さんは言います。

行動力という言葉はとても抽象的で、ただ「行動力が欲しい」と思っているだけでは、いつまでも手に入れることはできません。大切なのは、行動力のエンジンとなる「心の回復力」なのです。

構成/岩川悟、辻本圭介 写真/櫻井健司

「行動力が欲しい」と言っているから、いつまで経っても変われない

ピンチを、力強くチャンスへと変えていける──。そんな「行動力」があったらいいなと思う人は、たくさんいると思います。

ただ、はっきりしているのは、最終的に「行動できる人」になれるのは、自分にとっての行動力がなにを指しているかをわかっている人だけです。

それこそ人によって行動力は、「新しい物事にチャレンジすること」であったり、「まわりがなんと言おうと決断できる力」であったりするでしょう。あるいは、転職するのが行動力かもしれないし、いまのパートナーと別れることが行動力なのかもしれません。

そもそも、行動力という言葉はとても抽象的で、範囲も広く、手に入れたいと思っても、そもそもいまあるのか、ないのかすら明確に測定できません。だからこそ、自分にとって手に入れたい行動力はなにかを、最初に明確に設定する必要があります。

そして、仮に自分がいま欲しい行動力が、「悩まずに即断・即決できること」だとしましょう。このように、自分が欲しい行動力が明確になれば、即断・即決できるようになるにはなにをすればいいか? という次の問いが浮かんできます。これこそ、自分が欲しい行動力を明確にすることが必要な所以です。

欲しい行動力をはっきりさせなければ、先に進めないのです。あなたの欲しい行動力は、どんな行動力ですか?

星渉さん「行動力を高める4つの習慣」02

心の回復力なくして、永遠に行動はできない

ところで、行動力にもスタミナがあることを、あなたは知っていますか? 瞬間的に動けたとしても、途中で心が折れてしまっては、自分の目標や夢を達成するのが難しくなるのは言うまでもありません。

そこで必要になるのが、心の回復力(レジリエンス)です。心の回復力が強い人はどんな人なのか、科学的にわかっています。4つの特徴があり、1つめはまず「挑戦」しているかどうかが関係します。

日常において、常に挑戦ができている人は、心の回復力が強くなると言われています。挑戦といっても、小さなことで構いません。いつもと違うルートで会社へ行ったり、ランチに入ったことがない店で食べてみたり。なにか新しい行動を設定し、それを自ら実行できる人は、心の回復力も養われていきます。

自分に対して、なにか小さな挑戦を設定し毎日クリアしていくのもいいでしょう。たとえば、他人になにかをしてもらったとき、ただ「ありがとう」と言っていたのを、これからは目を見て「ありがとう」と言うようにするのはどうでしょうか?

こうした小さな挑戦をクリアしていくトレーニングを、日常生活のなかで楽しみながら続けることで、心の回復力はどんどん強くなっていきます。

星渉さん「行動力を高める4つの習慣」03

「ありがとう」と言えるチャンスには、すべて「ありがとう」と言う

レジリエンスを高める2つめの要素として、「感謝」する習慣が、科学的に指摘されています。

他人に感謝できる人は幸福度が高く、多様な人間関係を有する傾向があります。友だちの数がただ多いだけではなく、さまざまな人と接する経験を通して、ピンチのときにも自分で立ち直れる力が養われるのです。

そこで、意識的に「ありがとう」と口に出すなど、なにかを人にやってもらったら、必ず感謝することを意識してください。私の場合、お礼を言うときは、必ず「名前+ありがとう」のかたちで伝えています。

仕事では、秘書から連絡がくるたびに、「○○さん、ありがとうございます」と伝えます。1日に何度もチャットでやりとりをしますが、最初の文言は、必ず「○○さん、ありがとうございます」で始め、そのあとに用件を続けます。

つまり、必ず「○○さん、ありがとうございます」と始めることを、ルール化しているわけです。日常でも、「お皿を洗ってくれてありがとう」「買い物に行ってくれてありがとう」と、感謝できるチャンスにはすべて、意識して「ありがとう」と口に出しています

そう考えると、1日のなかで感謝できる場面は、本当にたくさんあることに気づかされます。

1日5回「ありがとう」と言うだけで、心の回復力は高まる

感謝は心のなかでするのもいいですが、できれば口に出したほうが相手に伝わるのでよりいいでしょう。

そこで、まずは1日5回、誰かに対して「ありがとう」と伝えるトレーニングをしてください。ありがとうという言葉は、使っているようで、意外と使っていない言葉のひとつだからです。

かつての私も、日本一の個人投資家と言われた故・竹田和平さんが、1日3,000回ありがとうと言っていたと知り、反射的にありがとうと口をついて出てくるようにトレーニングしようと考えました。毎朝約40分の準備中に、「ありがとう」と1カ月言い続けたことがあります。

すると、もう最初の60回くらいで、ろれつが回らなくなりました。そのとき、「ありがとうって、意外と言い慣れていない言葉なんだ……」と気づいたのです。

その後、諦めずに1カ月言い続けたところ、いまでは完全に体に記憶され、なにかあれば反射的に口から出るようになりました。いまでは、どんな人でも場所でも、普通に「ありがとう」と伝えられるし、お店でお釣りを返されたときなども、「ありがとう」と反射的に出てきます。

そのくらいになれば理想的ですが、まずは1日5回、意識的に感謝の気持ちを誰かに伝えてみてください。

続けていると、どんどん心の回復力も強くなっていくはずです。

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1カ月前どんなことを心配していたかなんて忘れている

心の回復力を高める3つめの要素は、「楽観的な思考」ができるかどうかです。つまり、気持ちの切り替えがうまく、たとえ嫌な出来事があっても、「大丈夫」「たいしたことないよ」と思えるかどうか。

もともとポジティブな性格の人なら、使う言葉を変えるだけでできるでしょう。嫌な出来事が起きても、「まあいいか」と言うようにルール化すればいいからです。

でも、なかなかそうは思えない人もいると思います。そんな人は、「不安や心配事の記録をとる」トレーニングをしてみてください。そして、1カ月ごとに見返します。すると、心配事のほとんどは実際には起きていないとわかるはず。多くの場合、本当は起きないことを、大きくとらえすぎてしまっているだけなのです。そうして記録を見て自分で納得できて初めて、「心配しすぎることに意味なんてないんだ」と思うようになり、切り替えがうまくなっていきます。

皮肉なことに、1カ月前になにを心配していたかなんて、ほとんど覚えていません。つまり、不安や心配事はほぼ起きないのに、そのことを忘れてしまうから、次々と新しい不安や心配事が出てくるわけです。

過去に不安に思ったことをすべて記録しておけば、それらが起きていないとわかり、気持ちを切り替えやすくなります。自分の目で確かめ、体感することを続けていけば、少しずつ「楽観力」が養われていくでしょう。

「ありのままの自分」を知ると、他人に振り回されなくなる

心の回復力に影響を与える4つめの要素は、「ありのままの自分」でいられるかどうかです。

ありのままの自分でいるとは、「自分は自分でいい」と思える気持ちをもつことです。自分を他人と比較せず生きている人は、気持ちの切り替えも上手な傾向があります。

自分は自分でいいと思えるのは、自分はなにが好きで、なにを大切にして生きているかを知っているからできることです。逆に、なんでも他人と比較してしまう人は、自分自身を知らないから他人と比較してしまうのです。

よくSNSで他人の投稿を見て、「ただの自慢じゃないか」と腹が立ったり、「なんか幸せそうだな」と落ち込んだりする人がいますが、これも自分のことを知らないから心が騒いでしまうのです。

自分はなにをしているときがいちばん幸せなのか? それをよく知っていれば、他人がなにをしようが、比較してショックを受けることはなくなるでしょう。

「ありのままの自分なんて好きになれない」という人もいます。でも、そんなときは、「そもそも、ありのままの自分を知っているのかな?」と考えてみることも必要でしょう。好きになれていないのは、「まわりから見られている自分」「まわりから評価されている自分」の姿であって、それを本当の自分だと思い込んでいる可能性があります。

ありのままの自分は、「素の自分」というより、「幸せだと感じる瞬間の自分」だととらえると、見え方も変わってくるのではないでしょうか。

星渉さん「行動力を高める4つの習慣」05

※今コラムは、星渉 著『神メンタル 365日ストレスフリーで生きる方法』(プレジデント社)をアレンジしたものです。

【星渉さん ほかの記事はこちら】
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【プロフィール】
星渉(ほし・わたる)
1983年生まれ、宮城県出身。株式会社Rising Star代表取締役。大手企業で働いていたが、東日本大震災を岩手県で被災。生死を問われる経験を経て「もう自分の人生の時間はすべて好きなことに費やす」と決め2011年に独立起業し、心理療法やNLP、認知心理学、脳科学を学びはじめる。それが原点となり、個人の起業家を対象に「心を科学的に鍛える」を中心に置いた独自のビジネス手法を構築。わずか5年間で、講演会、勉強会には7200人以上が参加し、手がけたビジネスプロデュース事例、育成した起業家は623人にのぼる。ゼロの状態から起業する経営者の月収を、半年以内に最低100万円以上にする成功確率は、日本ナンバーワンの91.3%。数千人規模の講演会を実施し、海外でも大規模なイベントを行うなど、グローバルに「好きな時に、好きな場所で、好きなシゴトをする個人を創る」ための活動をしている。著書には、『神メンタル 「心が強い人」の人生は思い通り』『神トーーク 「伝え方しだい」で人生は思い通り』、前野隆司氏との共著『99.9%は幸せの素人』(すべてKADOKAWA)などがある。

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