理解も記憶も速くなる。“本当に使える” 速読術を学べ! 宇都出雅巳さんセミナー潜入リポート

勉強やビジネスの世界で活躍する “その道のプロ” をお招きし、セミナーや講演会を提供する、StudyHacker発のプラットフォーム『StudyHacker Square』。その第3弾のセミナー『理解も記憶も速くなる 本当に使える「速読術」集中講座』が東京の品川にて開催されました。

講師としてお招きしたのは、『どんな本でも大量に読める「速読の本」』(だいわ文庫)や『サクッと読めてアウトプット力を高める 集中読書術』(総合法令出版)など、速読術に関する著書を多数お持ちの、トレスペクト教育研究所代表 宇都出雅巳さん。これまで10を超える速読術を学んだものの “本当に使える” 方法に出会えなかった宇都出さんが、ご自身の実践研究を通して開発した本の読み方とは……?

長期の訓練は必要なし、特別なテクニックも必要なし。たくさんの本をもっと気軽に読めるようになる “今日から使える” 速読術を学ぶべく、StudyHacker編集部がセミナーに潜入いたしました。

一般的な速読術のワナ

速読と聞くと、多くの人は「特別な訓練が必要なのでは?」と考えるのではないでしょうか。視線を速く動かすための「視点移動訓練」、視野を大きくするための「視野拡大訓練」。一度に大量の文字情報を取得する技術を身につけるべく、ハードな訓練を積まなければいけない。そんなイメージが強いですよね。

でも宇都出さんは、「いくら視点を速く移動できても、視野が拡大できても、見ているものがただの “黒いシミ” であっては意味がない」と語ります。一度に見ることができる文字量をどれだけ増やしたところで、そこに文字としての認識、さらには理解が伴っていなければ、それは単に字面を追っているだけ。そのため、速読できる本も、すでに知っている簡単な本に限定されてしまうことになります。実際、ほとんどの速読教室では「難しい本は速読できません」と言うのだそう。でも、私たちがビジネス書や専門書を読むのは “新しい知識を得るため” であるはず。これでは本末転倒ですよね。

逆に、速読は諦めてゆっくりじっくり読めばいいのかというと、そういうわけでもないようです。確かに私たちは、ゆっくりじっくり本を読んでいると、なんとなく理解が進んでいるような気分になります。でも実際にはそれほど理解できていないことが、認知科学の研究でも明らかになっているのです。また、脳で一時的に記憶を保存する領域 “ワーキングメモリ” の容量は非常に限られているため、この読み方では、せっかく得た情報も結局は流れ出ていってしまうのだそう。

では、どうすればいいのでしょう? その解決策こそが、宇都出さんが開発した「高速大量回転法」なのです。

本当に使える速読術「高速大量回転法」とは?

この高速大量回転法、文字通り “とにかく速く読んで” “たくさん繰り返す” という速読術です。

本のタイトルが書かれた表紙、本の全体構造が集約されたもくじ、著者の主張がまとめられたまえがきやあとがき、本文中の見出しや太字、そして徐々に本文へ――大きなところから細かなところへ、ざっくりと高速で繰り返しながら、少しずつ少しずつ入り込んでいきます。わからないところは積極的に飛ばして問題なし。とにかく止まらないことが鉄則です。

「え、そんな方法?」と思われるかもしれませんが、脳科学的にも非常に理に適った本の読み方なのですよ。たとえば皆さん、以下の文章を読んでみてください。

鉄のくさりを両手で握って、行ったり来たりを繰り返す。最初はゆっくりとしているが、次第に速くなる。しかし、ゆっくりでも速くても、リズムはつねに一定である。立つこともできるし、座ることもできる。並んですることもある

(引用元:石黒圭 (2010),『「読む」技術 速読・精読・味読の力をつける』, 光文社. )

何について書かれた文章か理解できましたか? 今の状態では、ちょっとわかりづらいですよね。実はこれ、「ブランコ」について書かれた文章です。このことを踏まえて、もう一度読んでみてください。——どうでしょう、内容が頭の中にすっと入ってきたような気がしませんでしたか? あらかじめ大枠がわかっていたほうが、文章の理解もしやすいはずです。

知識を整理しようとしたら、それは階層構造にならざるをえません。前から順番にではなく、階層構造に沿ってトップからボトムへと読み進めていく。このほうが、理解も記憶も圧倒的に捗るのです。

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今すぐわかろうとしなくていい。繰り返せば、何回も出会えるから

この高速大量回転法を実践するうえで、宇都出さんは「今すぐわかろうとせずに読むことが大切」と語ります。

わからないところを飛ばしながら読む。慣れるまでは少し気持ち悪さを感じるはずです。特に、子どものころからの読書習慣により “前から順番にゆっくりじっくり” という読み方が身に染みついている人は、はじめは違和感を拭えないかもしれません。「わからないところを飛ばすなんて……」と、不安を感じる方もいるでしょう。でも先に述べた通り、その “じっくり読み” は、単に理解したような気分にさせるだけなのです。

この高速大量回転法の大前提は “繰り返し” です。今はわからなくても、繰り返せばまた出会えます。2回、3回、4回と繰り返すうちに、「わからない」が「わかる」に変わるときが来るかもしれません。こう考えると、わからないところを飛ばす怖さも軽減するような気がしませんか?

今すぐわかろうとせず速く読むコツのひとつとして宇都出さんが紹介してくださったのは、意識の矢印を自分ではなく本に向けること。意識の矢印が自分に向いていると、わからない箇所にとらわれてしまうのはもちろん、書かれている内容に対して「自分はこう思う」などと感情が揺れ動き、読むスピードも遅くなってしまうのだといいます。わからない箇所は「わからない」と受け止める。とりあえず「なるほど」と共感する。こうすることで、速く読み進めることができるようになりますよ。

*** 以上、セミナー内容をほんの一部だけご紹介しました。

速く読むからたくさん繰り返せる→たくさん繰り返せるからどんどん速く読める→速く読むからたくさん繰り返せる→…… 本の高速大量回転で、この相乗効果が実現します。高速大量回転法についてもっと詳しく知りたい方は、ぜひ宇都出さんのインタビュー記事もご覧ください。

“ざっくり&繰り返し” こそが最強の本の読み方である——「高速大量回転法」生みの親・宇都出雅巳さん特別インタビュー【第1回】 読書にも勉強にも! “高速大量回転” のやり方とは?——「高速大量回転法」生みの親・宇都出雅巳さん特別インタビュー【第2回】

そしてStudyHacker Squareでは、今後もセミナーや講演会を積極的に開催していきます。詳しい情報は、Facebookグループ『StudyHacker Square』にて随時配信していきますので、ぜひグループに参加しておきましょう!

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