週のうち、お休みが2日で勤務日が5日。それが一般的な働き方です。でも、お休みが2日ではいまいちやりたいことができない、もっと自由な時間が欲しいと感じたことはありませんか? ほんとうに、おやすみが3日になったらどうなるでしょう。
もちろん、全体の仕事の量が4日分に減ればそれで解決なのですが、生産性をあげて4日で5日分の成果を出すという考え方もあります。時間を制限することで、逆に生産性がたかまるということもよくあることですし、非現実的な話でもありませんね。
近年では、「労働生産性」の話だとか、「諸外国に比べて日本人の生産性は低い」なんてことがよく言われます。そこで今回は、日常的な仕事や勉強の「生産性」をあげる試みとして、「週休3日制」を考えてみましょう。
週休3日制とは?
週休3日制とは、1週間のうち3日仕事を休むことであり、多様化する働き方スタイルの1つです。
2016年、ヤフージャパンが数年以内に全社員に導入を検討しているというニュースが流れましたが、実は日本IBMやユニクロではすでに取り入れられており、決して実現不可能な制度ではありません。
そしてこの制度の目的の1つは、労働時間そのものを制限することによる、生産性の向上にあります。
では、生産性とは具体的に何を指すのでしょうか? ベストセラー『生産性』の中で伊賀泰代さんは、生産性をこう定義しています。
生産性とは「成果物」と、その成果物を獲得するために「投入された資源量」の比率として計算されます。「アウトプット」÷「インプット」といってもよいでしょう。
(引用元:伊賀泰代(2016),『生産性』,ダイヤモンド社)
つまり、生産性とは「得られた成果」÷「投入した資源」と定義できるのです。分母である投入した資源(週の労働日数)を減らしながら、分子である得られた成果を保つことができれば、生産性は自ずと向上します。
週休3日制導入後のヤフー社員は、大まかに言って、かつて5日でこなしていた仕事を、4日でこなさなければいけなくなり、その為の工夫と本人の能力の伸長が必要になる。計算上、25%の能力アップが必要だが、これは十分可能な目標だろう。そして重要なことは、多くの人にとって、与えられなければ目指そうとしない目標にちがいない。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|ヤフーの週休3日制導入が良いことずくめである理由)
ここで言われる能力アップこそが、まさに生産性の向上と言えるでしょう。
まだまだ実践する企業こそ少ないですが、仕事に対して強制的な締切を設けることによって、ビジネスパーソンの意識改革が期待されています。
1人で週休3日制を実践しよう
では、週休3日制を自分の生活の中で勝手に実践してみたらどうなるのでしょうか。自分の生産性を25%高められるとは思いませんか?
もちろん、会社や学校は週休2日かもしれません。そこで、毎週日曜日に仕事や勉強問わず1週間のノルマが4日間で終わるようなスケジュールを組んでみてください。
原則月曜日から木曜日までがタスク処理用の日。金曜は、どうしても終わらなかった場合、もしくは緊急のタスクが入った場合のための日という意識です。営業や会議、授業など外せないタスクはあると思いますが、極力同じ日にそういったタスクをまとめてスケジューリングしてみてください。
たとえ会社や学校が週休2日であっても、擬似的な週休3日にチャレンジすることで生産性アップのトレーニングになるはずです。
1人週休3日制の前提条件
1人週休3日制を行なうには、ある前提があります。
それは得られる成果(アウトプット)を減らさないことです。せっかく投入する資源である作業時間を減らしても、成果もいっしょに減ってしまえば生産性は上がりません。
そうはいっても、今まで5日でやっていたことを4日間で完了させろといわれると難しそうですよね。しかし、そもそも私たちは4日で出せるアウトプットを5日かけて出していたという可能性はないでしょうか?
つまり、従来5日間で実行していたことから無駄な作業を省いてしまえば、同じ成果で週休3日が達成し得るということです。
コツ1:ゴールから逆算して考える
無駄を省くための3つのコツを紹介します。
まず、タスクをゴールから逆算して考えることで無駄を減らすことができます。
本やネットを見ながらだらだらとレポートや企画書を書いた経験はありませんか? 途中まで進んで、やっぱりこうするべきだったと書き直したりと行ったり来たり。これこそ時間の無駄といえるでしょう。
調べ物をして構成を考えてから、一気に書き上げたほうが早いですよね。果たすべきタスクの完成形を最初に考えた上で作業に取り掛かることで、日々の作業を効率化しましょう。
コツ2:タスクの優先順位を付ける
どんなに無駄を省いたとしても、どうしても1週間で全てのタスクが終わらないこともあります。
4日しか働かないことを認めさせるには4日で5日分の成果をあげる必要があります。自分が実行すべきタスクの優先順位を付けておきましょう。
例えば、クライアントへのプレゼンと社内の資料整理の仕事としてのインパクト(重要度)は同じでしょうか? 資料整理を無事終わらせたとしても、クライアントへのプレゼンの準備が終わらず上手くいかなかったならば本当に成果を上げられたといえるでしょうか?
成果とは自分が行うタスクのインパクトの総量とも考えられます。もちろん、全ての仕事に意味はあるのですが、場面に応じてその重要度は異なるはずです。
そのため、自分の中でタスクの重要度は整理しておきましょう。
コツ3:不必要なタスクを引き受けない
また、不必要なタスクを引き受けないことも大事です。
不必要なタスクを引き受けると時間と労力を奪われ、本来のタスクに支障が出ます。その結果、得られる成果も減ってしまうのです。
なんとなく頼まれた作業や仕事でも、自分がやる余裕があるのかを一度確かめてみてください。やらなければいけないタスクが残っているのに引き受けてしまっては、結局締切に間に合わず迷惑をかけてしまう結果に繋がりかねません。また、能力を大きく超えた仕事量は他の仕事のクオリティすら下げてしまうでしょう。
しっかりと自分がやるべきことを整理してみてください。ときには断る勇気も必要ですよ。 ・なんでもかんでも引き受けてない? 責任ある仕事のための「断る力」の身に付け方
*** 最近話題の生産性は、あなたの作業時間を限定してしまうことで一気にその効率を上げられるはずです。自分の中で週休3日制を意識して、やるべきタスクに取り組みましょう。
(参考) 伊賀泰代著(2016),『生産性』,ダイヤモンド社 森岡毅著(2016),『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方』,ダイヤモンド社 ダイヤモンド・オンライン|ヤフーの週休3日制導入が良いことずくめである理由 STUDY HACKER|生産性が上がると時間ができるのではなく、時間がないから生産性があがるのだ。 THE HUFFINGTON POST|週休3日制、Yahoo!が導入検討 ユニクロなど導入済み企業は、どんな制度にしている?