スタンフォードもMITも。世界のトップ大学はなぜ「演劇」を教育に取り入れるのか。

東日本大震災や、まだ記憶に新しい2016年4月に起きた熊本地震など、予期せず起きた自然災害に遭った時、皆さんは的確な判断、行動を取ることができますか? もしものために準備をしておいても、とっさの事態には対応しきれないこともあるでしょう。自然災害に限らず、日常生活や仕事をしていく中で予期しない出来事が起きた時、冷静に対応したり、機転を利かせてサッと対処できたらいいですよね。

今回は、とっさの事態における対応力の鍛え方について考えてみたいと思います。

教育に取り入れられているアクティブ・ラーニング

“アクティブ・ラーニング”という言葉をご存知ですか? 1991年にアメリカで提案された教育方法についての考え方で、日本語では「能動的学習」と訳されます。文部科学省が出している用語集による説明は次の通り。

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。

(引用元:文部科学省|用語集

多くの学校で授業に組み込まれているプレゼンテーションやディスカッション、ディベートなどもアクティブ・ラーニングのひとつです。これは、主体的に学ぶことにより、これから先に訪れるであろう困難な状況に対応できる力を養うことが期待されています。つまり、アクティブ・ラーニングを意識することは、“対応力を鍛えること”に繋がるのです。

実際に授業に取り入れられている演劇

マサチューセッツ工科大学やスタンフォード大学といった世界の一流ビジネススクールでは、アクティブ・ラーニングを重視した教育の一環として「演劇」の授業が取り入れられています。演劇は、幕が上がれば下げることができず、台詞を間違えたり、何かトラブルが起きても、中断せずに進行させなければいけません。実際に、場数を踏んでいるプロは非常に対応力が高いのだそう。人形浄瑠璃文楽の公演では、停電が起こった時にそれをあたかも演出と思わせるほど自然に演技を続けていくのです。

人形浄瑠璃文楽の初春公演が開催中の国立文楽劇場(大阪市中央区)で14日、昼公演の終演直前に舞台照明が停電するトラブルがあった。(中略)突然の停電だが、太夫の豊竹嶋大夫さん(81)、三味線の豊澤富助さん(58)ともに、そのまま語りと演奏を続け、裏方や手が空いている技芸員たちが、懐中電灯で人形に光を当てて幕引きまで演じきった。(中略)大きな混乱はなく、演出で暗くなったと思っていた客もいたという。

(引用元:Hatena::Diary|演劇×劇場×文化施設建築2014-01-16

暗闇のなかで演技や演奏を続けるという判断をした演者の方々だけでなく、懐中電灯で照明を代用するという発想も素晴らしいものですよね。こうした彼らの対応力は、演劇によって培われたものだといわれ、機転を鍛えるために最適な方法のひとつなのです。 AdobeStock_101877321

即興劇をやってみよう

演劇の授業を取り入れているマサチューセッツ工科大学などで、さらに具体的な方法として実践していることが「即興劇」です。これは、相手の台詞を受けて、それに合う自分のセリフを短時間で考えなくてはならないため、想定外に対する対応力だけでなく、発想力も鍛えることができます。また、短時間で相手に対して回答をしなくてはならない状況は、日常会話とも似ているため、コミュニケーション能力を向上させる手段のひとつとしても使うことができるそうです。

やることは単純で、お題をひとつ決め、それに沿って与えられた役を演じるだけ。過去にマサチューセッツ工科大学で出されたお題には「シェイクスピアの『ヘンリー五世』のセリフを覚えて演じる」や「3日間に渡って、ボスニアの平和維持を想定したシミュレーションを行う」など、多種多様なものがあるそうです。予想できないことへの対応力を鍛えるために行うので、身近なことではなく経験しそうにないことをお題にしてみてもいいかもしれません。

即興劇を実践することが難しいという方は、「If thenプランニング(条件付き実行計画)」を実践するのもおすすめ。「もし相手が○○○と言ったら×××と返す」や「○○が起きたら××をする」といった "構文" をいくつも考えておくのです。こうすることで、とっさの事態が起きた時に条件反射で対応することができるようになるのだそう。ぜひ試してみてください。

(参考) G-Edu|グローバル教育気になるキーワード Vol.04 アクティブ・ラーニング 東洋経済ONLINE|海外ビジネスエリートはなぜ演劇を学ぶのか Hatena::Diary|演劇×劇場×文化施設建築2014-01-16 東洋経済ONLINE|錦織圭「ナイス、卑怯!」で育てられた戦略脳

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