人から仕事のアドバイスを求められたり、悩み事の相談を受けたりするのは、往々にして嬉しいもの。そして、相談に乗ったからには、きちんと相手の悩みを解消し、「相談してよかった」と思われたいものです。しかし、受けた相談に対して、きちんと話を聞き、効果的なアドバイスができているかというと、自信のない方もいらっしゃるのではないでしょうか。

実は、相談に乗るにも、大切にしたいポイントがあるのです。そこで今回は、効果的な助言の仕方や、相談の乗り方についてご紹介します。

ダメな相談の乗り方

そもそも、「相談に乗る」というのは簡単なことではありません。相談の乗り方について学ぶ前に、まずはやってしまいがちな「ダメな相談の乗り方」を見てみましょう。自身がやってしまってはいないか、確認してみてください。

・褒めすぎる
相談をしてきた相手が部下や後輩であれば、些細なことでも褒めたくなりますよね。筆者も部活やアルバイト先の後輩はついつい甘やかしてしまっていました。しかし、褒めすぎてしまった結果、自分を過信したり、甘えたりしてしまうようになることもしばしば。失敗しても「自分が悪いのではなく周りが悪い」と考えさせてしまう原因にもなります。

・一般論を言う
「普通は〇〇だよね」「みんなは〇〇しているよ」などといった一般論はつい口から出てしまいがちですが、相談者が求めているのはあくまで助言やアドバイスであって業務命令ではありません。一般論を言われても「そんなこと分かっている」としか思えないのです。

・途中で遮る
相談に乗っているうちに、自分にも経験のある悩みのような気がしてきて、つい「あー、それってこういうことでしょ。分かるよ」などと遮ってしまってはいませんか? 話を遮られると相談する気も失せますよね。まずは相手の話をすべて聞いてからでなければ、相手に合わせたアドバイスなどできません。

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相談に乗るうえで大切にしたい3つの態度

では、どのような態度で相談に乗れば、相手の役に立てるようになるのでしょうか。今回は、相談に乗るプロともいえる心理カウンセラーの話の聞き方に倣ってみましょう。アメリカの臨床心理学者のカール・ロジャースは、カウンセラーの態度として次の3つが重要だと述べています。

1. 自己一致
相談した時、相手の態度に裏表があったり、自分の価値観を隠したままだったりしては、信頼することができませんよね。ロジャースによると、カウンセラーは、必要以上に良く見せようとするのではなく、ありのままの姿で来談者の前に存在していることが重要なのだとか。

特に相手が後輩や部下だった場合には、悩みや弱点を隠そうとするかもしれませんが、そういった部分も出し、取り繕うことのない姿勢で話しを聞くのが大切なのです。

2. 無条件の肯定的尊重
相談内容によっては、明らかに本人に非があったり、間違ったことを言っているように感じたりすることもあるかもしれません。しかし、だからといってすぐに「それはおかしい」などと意見しては、相手が「否定された」と感じてしまうおそれがあります。審判的、批判的な態度で接するのではなく、相談者を無条件に受け入れることが、相談に乗るうえでは大切なのです。

一人一人が異なった考え方を持っていることを理解し、相手がどのような意見を持っていても、まずは肯定的に受け止め、その考え方を尊重しましょう。そうすることで、相手もぐっと話しやすくなり、より悩みの根本や要因を見つけやすくなります。

3. 共感的理解
相手の身になって相談に乗ることはもちろん重要なのですが、その際にあくまで自分を見失わないようにしなければいけません。共感しすぎて自分もつらくなったり、自分の悩みに重ねたりしては、相手に合わせたアドバイスはできなくなってしまいます。

だからといって、まったく共感しないのもよくありません。特に、話の途中で時計を見たり、相手を否定するような考え方をしたり、話を聞き終わる前に説教を始めたりといったような、「相手の立場に立てていない態度」には要注意。相談に乗る際には、相手の立場になって考えつつ、自分を保てなければいけないのです。

相手の悩みを解決するために行動するのはあくまで相手自身であり、自分がやるべきことと相手のやるべきことの境界線を明確にするようにしましょう。そうすれば、悩みに共感しつつ、効果的なアドバイスができるはずですよ。また、具体的なアドバイスでなくても、「こんなふうに考えているんだね」といったように相手の感情を代弁することで、相手自身も自分のことを振り返るきっかけになります。

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上手に相談を受けるコツ

上記の3つの態度を大切にすることで、より相手の話を深く聞き出し、相手に合わせたアドバイスができるようになります。上手に相談に乗れるように、さらに気を付けると良いポイントをご紹介します。

1. まずは肯定する
人によって悩みは様々ですが、なかにはどう考えても相談者が悪いとしか思えないものや、あまりに些細な内容のものもあるでしょう。それでも「そうは言っても」「でもさ」などといった否定的な言葉から始めると相手の話す気持ちを削いでしまいます。どんなにくだらない悩みに思えても、相手にとっては一大事。まずは、否定の言葉をぐっとこらえて「なるほど」「考え方は間違っていないと思うよ」などの肯定の言葉をかけましょう。

また、肯定と同時に「大変だったね」「偉かったね」などの称賛や共感も見せることが大切です。悩み相談はあくまでガス抜きの場。すっきりした状態で次のステップに向かってもらうためにも、自分から見て好ましい言動や継続してほしいと感じた言動があったら積極的に褒めると良いでしょう。

2. 「私は」をつける
「〇〇するといいと思うよ」という言葉だけでは、相手は他に選択肢が与えられていないような気持ちになってしまうかもしれません。「(他の人は違うかもしれないけど)私は〇〇するといいと思うよ」といったニュアンスを用い、あくまで自分個人の意見であること、自分の意見は選択肢の1つに過ぎないことを提示することで、相手の負担にもならず、選択の自由が与えられているように感じます。

3. 考える時間を与える
相談者が黙りこんでしまっても、催促せずに相手が何かを思い出したり考えたりするのを待ってあげることが大切です。話を遮らないよう、相手の話が終わるのを待つことによってヒアリングできる量も増えますし、聞いてくれているという安心感で相手もリラックスすることができます。

沈黙が長くなると気にしてしまうかと思いますが、相談を受けるということはあくまで相手のための行為であることを認識し、ぐっと我慢して待ちましょう。

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悩み相談は、あくまで相談者のために時間を割く行為です。自分の能力を高く見せようとしたり、自分の意見を押し付けたりするのではなく、相談者と共にじっくりと考えてモチベーションを引き出せるような言葉をかけることが重要です。

相談者が話しやすいように、「昔こんな失敗したことがあってさ」と自分が過去に悩んでいたことを開示するのも良いですね。上手に相談に乗り、相談者と良い信頼関係を結びましょう。

(参考)
リクナビNEXTジャーナル|後輩の相談を受けるときに意識したい4つのコツ
All About|悩んでいる人の話を聴くコツ
マイナビニュース|部下のやる気を出させるのが下手な上司、上手い上司の違いとは?
株式会社ボディ・マインド・バランス|上手なアドバイスの仕方・3つのポイント
プロカウンセラー池内秀行公式サイト|ロジャースの傾聴の3条件