あなたは寝る前に「やることリスト(ToDoリスト)」を書き出しますか? 明日やることを寝る前に書いておくと、不安がとりのぞかれ、早く眠りにつけるという研究結果が出たそうですよ。でも、やたら時間をかけたり、自分を追い詰めたりするような「やることリスト」では意味がありません。自分にとって“よい”ものにしていきましょう!

ToDoリストで入眠が早くなる

米ベイラー大学睡眠神経科学・認知科学研究所の、Michael Scullin氏率いる研究チームは、夜寝る前に、翌日にやらなければならないこと(ToDoリスト)を書いておくと、早く眠りにつける可能性が高いという研究内容を、「Journal of Experimental Psychology」1月号に掲載された論文で明らかにしました。

健康な大学生57人が被験者となり、寝る前にToDo リストを書くグループと、最近成し遂げたことの日記をつけるグループに分け、「睡眠ポリグラフィー」と呼ばれる検査装置を用いて観察したところ、ToDoリストグループのほうが入眠までの時間が短かったそう。

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書き出せば「不安」はしぼむ?

Michael Scullin氏らによると、不安を書き出すと眠りにつきやすくなること自体は、これまでの研究ですでに明らかにされていたのだとか。書き出すことで、頭の中の不安が軽減されるからです。

NLP(神経言語プログラミング)の専門家である松島直也氏も、著書『ストレスをためない技術』の中で、不安や苛立ちのもとになる「気になる要素」を、とにかく書いてしまうことをすすめています。

だいたい“気になること”は、頭の中だけで考えていると思い込みも手伝い増幅する一方。しかし、書いてみると「なんだ、この程度か」と感じるそうです。つまり、不安は頭の中だとパワフルですが、外に出てしまえば力を弱めるということ。同氏いわく、「不安要素を書き出し目で見て確認してみると、単なる要素のひとつに過ぎなくなる」とのこと。

いってしまえば「やらなければならないこと」も気がかりの種で、心を落ち着かせない一種の不安要素。それを外に出し、ただの要素にしてしまえば明日の自分を客観視でき、安心できるのかもしれません。

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成功者はToDoリストを書き出さない?

しかし、一方では成功者があまりToDoリストづくりに言及していないという話もあります。そして、ToDoリストの41%は未完に終わるという調査結果もあり、ストレス要因になるという見方もあります。その理由は、完了していない業務が、より頭から離れなくなるから。

心理学でいう「ツァイガルニク効果」は、達成できなかったことや中断した物事のほうが、達成できたことよりも記憶に残りやすい現象ですが、それを基準に考えると「寝る前に『明日やること』なんて書いたら余計眠れなくなる」という話になってしまいます。

とはいえ実際に、寝る前に「やることリスト(ToDoリスト)」を書くと入眠時間が早くなるという研究結果が出ているのです。これは、どうしてなのでしょう。

“よい”やることリストをつくろう

Michael Scullin氏らの研究で被験者になった大学生らは、事前に実験であることを認知しており、なおかつ行動が収入(いわゆる生活)に直結する社会人でもないため、気負いのないシンプルな「無理のないToDoリスト」を作成したと考えられます。でも実は、それこそが「“よい”やることリスト」なのです。

松島直也氏は、自分の不安要素になっている「気になること」をすべて書き出したら、「自分ではどうにもならないもの」と「いま心配しても仕方ないもの」を見つけ、それを書いた紙をシュレッダーにかけてしまうようすすめています。そうすれば、もうそれを気にかけなくていいと考えるようになり、気持ちをリセットできるからです。

それに近い内容を、数多くの著書がある理学博士の堀正岳氏も述べていました。同氏は“よいToDoリストをつくるポイントとして、

1.「やらなくてはいけないこと」に限定する
2.プレッシャーにならないよう優先度はつけない
3.ToDoリストを不安のリストにせず具体化する

といった3つの項目を挙げています。やることリストを書くことによって、その内容を肥大化したり、無理な優先順位や不明確さで、不安を与えたりしないことが重要だということ。

ちなみに、カナダの名門大学5校が争奪戦を繰り広げたという天才少年、大川翔くんも、夜「やることリスト」をつくってから寝るそう。大川くんいわく、「ToDoリストといってもメモにすぎない。自分が分かればいい」「時間をかけずにパパッと書く」「つくること自体が目的じゃない」といいます。そして、これによりムダな時間がなくなり、自分の時間をグンと増やせるのだとか。とても気負いのない印象です。

“よい”やることリストはストレスフリー

以上を踏まえると、安眠と安心をもたらすような「“よい”やることリスト」とは、自分の頭の中の気がかり(やること)を、自分が理解しやすい書き方で目に見えるかたちにしたうえで、不安要素を排除してしまうということ。

もちろん書き分けるでも、書き出してシュレッダーにかけるでもよし。

要は、「ToDoリスト」「やることリスト」とはいいながら、「今日の自分を心地よく、明日の自分をスムーズにするための方法」なのです。

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ToDoリストと身構えず、「やることがたくさんあるから、ちょっと書き出してみよう」というシンプルな発想から始めてみるといいかもしれませんね。

(参考)
HEALTH PRESS|明日の「やることメモ」を書くとぐっすり眠れる~寝る前のTo-Doリストが不安を減らす
ITmedia エンタープライズ|ストレスをためない技術:ストレスを書き出すことで自分の頭を空っぽにする
日本経済新聞|成功者は「ToDoリスト」を使わない
PRESIDENT Online|よいToDoリストを作る3つのポイント
大川翔著(2014),『ザ・ギフティッド 14歳でカナダのトップ大学に合格した天才児の勉強法』,扶桑社.