【書評】『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』

みなさんはミニマリストと呼ばれる人たちのことをご存知でしょうか。 ミニマリスト、それは持ちものを必要最小限にする「最小限主義者」のこと。

 

『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』

佐々木典士 著 ワニブックス 2015年

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ミニマリストから学ぶ、「モノを捨てる」こと事で見えてくる「幸せ」の本質とは一体なんなのでしょうか。今回は、『ぼくたちに、もうモノは必要ない。』(佐々木典士 著 ワニブックス刊)をご紹介します。

badge_columns_1001711モノが増えるのはなぜ?

ミニマリストの筆者も、以前はモノが捨てられず「汚部屋」で生活を送っていたそう。彼はモノを減らすためには、まず増える理由を考えるのが肝要であるとしています。

なぜ人はモノを増やしていくのか? それは、人が「慣れ」を感じてしまうから。

人が刺激を刺激として、神経ネットワークで検出するためには「差」が必要。(中略) かつてどうしても手に入れたいと願い、手に入れたモノ。そのモノに満足し続けられないのは、この「差」がないと神経が判断してしまうからだ。変わり映えがせず、当たり前にあるモノ。刺激の「差」を検出できないから、慣れて当たり前になって、最後はそのものに「飽き」ていく。

ではなぜ、飽きているのに捨てないのか? それは、所有するモノによって承認欲求を満たすためだと断じます。

時間もエネルギーも「自分」と化したモノに奪われるようになる。(中略) そうしてかつて自分の道具だったモノが、自分の主人になっていく。モノはもう機能のために使われるモノでも、「自分の価値を伝えるモノ」でもなくなる。(中略) 自分自身と同じにまで高められたモノの価値、同じどころか自分の主人にまで高められたモノの価値を一度見直す必要がある。(中略) さあ、「自分の価値を損なう」モノは、思いっきり手放そう!

 

 

Fresh.

badge_columns_1001711モノを減らす時の心構え

筆者は著書のなかで、「捨てる方法最終リスト55‼︎」なるものを紹介しています。 これは単に整理を目的としたテクニック集ではありません。 「捨てる」ということが逆に、多くのことをもたらしてくれるという考え方のコツを教えてくれました。そのうちのいくつかを紹介したいと思います。

◯捨てられるか「悩んだ」時点で捨てられる 悩むのは、そもそも悩んでいるどちらの選択肢にも同じくらいの価値があるからだ。どちらを選んでもほとんど同じなら、さっさと決断した方が清々しい。モノを減らしたいなら悩めた時点で捨てる方を選択する。絶対に捨てたくないモノ以外は大抵捨てられる。そして捨ててもなんとかなる。

 

◯本当にもったいないのは「自分の気持ち」 まだ使えるモノをただ捨てるのは確かにもったいない。買ってはみたものの、どうしても使えず手放してしまう。これももったいない事だろう。 だが本当に「もったいない」のはモノを持ち続けることで、損なわれている「自分の気持ち」だ。気に入っていないがもらったプレゼントなので、捨てるのが悪い気がしてしまう。まだまだ使えそうなので、もったいないという罪悪感がある。そのせいで、今日も、明日も、これからも持ち続け、ずっとあなたの気持ちはそこなわれ続けなければいけないのだろうか?それこそが「もったいない」ことである。

 

◯捨てたから、忘れない ぼくが今までにもらった手紙は、すべてスキャンして実物は手放した。東京で一人で暮らし始めたぼく。これから暮らし始める街に、初めて一人で降り立つため、母が羽田空港から街までの「乗り換え案内」を手書きで書いてくれた。母はどういう思いでぼくを東京に送り出してくれたのだろう?その乗り換え案内も持っている時はその存在を忘れていた。手紙の山に埋もれていて、見返せなかったからだ。捨てる段階になって、初めて大切に思えた。もう手元にはない。捨てることと忘れることはイコールではない。捨てたからこそ、忘れられないものがある。

私も振り返ってみると、捨てられないモノの多くは思い出を感じるものばかりでした。 けれど「捨てる」ことは、その思い出と決別してしまうことではなく、心に深く留めておく機会なのかもしれません。

Young elegant business woman with papers

badge_columns_1001711ミニマリストになって気づいた幸せの価値

筆者は、ミニマリストになって感じることのできた「幸せ」の本質を読者にこう伝えている。

幸せになることはできない。 幸せははその都度「感じる」しかできないのだと思う。

筆者はこれまで「モノ」を持つことで人と比べてしまい、「幸せ」を感じるどころか、惨めであったと赤裸々に述べています。しかしミニマリストになったことで、時間に余裕ができ、生活を楽しめるようになり、なによりすべての今に「感謝」できるようになったそうです。

ぼくはモノをたくさん捨てた。 そして今、毎日幸せを噛みしめながら、生きられるようになった。 誰しもが幸せになりたいと願っている。だが、そう願って手にしたモノは、ほんのわずかの間しかぼくたちを幸せにしてくれない。 ぼくたちは幸せについて、あまりに無知である。 増えすぎたモノを減らすことは、幸せについてもう一度、考えてみること。

筆者は、ミニマリストになることは、幸せを感じる「手段」であるとし、大切なのは減らした後に見えてくる「大事なモノ」を追求し続ける事だと述べています。 あなたも「モノ」を減らす事で、普段なかなか気づけない「日常にある幸せ」を感じ、生活が、そして生き方までもが変わっていくのかもしれません。

 


明治大学経営学部経営学科に所属。桐蔭学園高校卒業。海外旅行好きが高じて、昨年一年間アメリカに留学。やらないでする後悔よりやってする後悔。自分の好きな事に素直に生きていたい。野球歴10年。毎日が勉強。

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