やらなければならない、けどやる気が起きなくてダラダラしてしまう……。 誰にでもある経験だと思います。
筆者の友人も寝る前の準備が面倒でついつい夜更かししてしまうと嘆いていました。 しかも彼は、夜更かしが原因で体調が悪くなってもなお、その習慣をやめられずにいました。マイナスだとわかっていてもやめられない。これはもはや人の性です。 そこで今回は、面倒なことをちゃんとやるためのコツを紹介します。
無意識のルーティンワークになるまでは時間がかかる
例えば、歯磨きやお風呂であれば、食べ終わった直後に何も考えずに洗面台や脱衣場へ向かう。 例えば、勉強であれば、部屋に入ってすぐに椅子に座り教材を机に広げる。 このように、面倒なことも日々の習慣として無意識のルーティンにしてしまえれば何の苦労もないでしょう。 しかし、脳科学の研究では行動の習慣化には200回以上の繰り返しがあって初めて出来てくるということがわかっています。 では、習慣化するまで続けるにはどうしたらよいのでしょうか。
「快」のご褒美効果で面倒事のインセンティブを
脳にはやる気を引き起こす、まさに「やる気スイッチ」のような部位(線条体の背側・尾状核など)があります。面倒なことを「よし!やるぞ!」と始めるには、そのスイッチをオンにする必要があるのです。
しかしこれだけでは長く続きません、この行動を続けることによりそれを習慣化させなければなりません。それには習慣的行動を司る部位(線条体の腹側・側坐核など)を使います。この流れがうまくいけば、ルーティン化が成功するわけですね。
やる気スイッチをオンにする為の鍵は、快楽によるご褒美効果。 イギリスのカーディフ大学の研究で、レバーを押すと砂糖水が出るという装置を付けたかごにラットを入れるという実験を行いました。 ラットはレバーを押すと砂糖水が出るということを覚え、最終的に砂糖水が出なくなってもレバーを押すのをやめなくなりました。すなわち、レバーを押すのが習慣化したということです。 このラットの場合は依存症となっていますが、人間ならばこのように行動を苦に感じなくなることで自然と習慣化することができます。例えば、お風呂上りにアイスやビールを用意しておく、家族に頼んで何かするたびに褒めてもらうなど、その行動を早くやりたくなるインセンティブを設けるのが習慣化への第一歩です。
目覚まし時計で活動のきっかけを
ダラダラしてしまってどうやっても行動を始められない、という方に筆者がおすすめするのが目覚まし時計。 食器洗いを始められない人なら流しに、お風呂が面倒という方は脱衣場に予定の時間に合わせてセットしておきます。 目覚まし時計が鳴りだしたら気になって止めに行かざるを得ないですよね。 そうして動き出せば部屋に戻ってゴロゴロしだす人はあまりいないでしょう。 何か特定の行動でない場合も、とりあえず手の届かない位置で鳴るようにセットしましょう。 それまでの状態から切り替えて活動を始める、そのきっかけを生み出すための目覚まし時計です。
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いかがでしょうか。 今回ご紹介した方法はまるで子どもや動物のしつけのように思えるかもしれません。 しかし、子どもも動物も脳の働きは全く同じで、効果に変わりはないでしょう。 馬鹿にせず、プライドを捨てて一度やってみてください。
参考文献 岩崎一郎 「何をやっても続かないのは脳がダメな自分を記憶しているからだ」 クロスメディア・パブリッシング.