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忙しい現代人、なんでもかんでもできる限り早く終わらせたいと思っていますよね。記憶することに関してもそう思っている人が多いかと思います。
しかし、一発で覚えようと思っても中々覚えられないものですよね。
でもこのことは当然のこと。そもそも、人間は一発で覚えられるようにはできていないのです。

ではどのようにすれば、できるだけ時間をかけず効率よく記憶することができるのでしょうか。
今回はそのことについて書きたいと思います。

そもそもなぜ一回では覚えられないのか

人間に限らず、動物は何かを一回で覚えることが苦手です。脳が無駄な記憶を排除し、生きるために必要な記憶のみを保持しようとするからです。暗記1回目では、脳は「この情報は偶然頭に入ってきたのかも」と考えて排除してしまいます。4回くらい繰り返すと、脳が「これは偶然じゃない、生命にかかわる重要なことなのかも」と勘違いし、やっと記憶が長期記憶へと変わっていきます。こうして初めて覚えたといえますね。

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急がば回れ 繰り返し覚えよう

上にも書いた通り、脳を勘違いさせて、記憶を定着化するためには4回くらい繰り返し学習する必要があります。これは人間が動物である以上、仕方のないことなのです。
このように何回も繰り返し覚えることを、心理学では分散学習といいます。
この分散学習、効率よく行う方法が研究されています。最近の研究によれば、忘れかけたときにもう一度覚えなおすと、より記憶が定着化する、ということがわかっています。つまり、効率よく記憶を定着化させるためにはあえて忘れかける必要があるのです。
今までは、忘れかけた時に「あんなに勉強したのに……」と悲しい気持ちになっていた人も今日からは、「忘れかけた今こそ記憶を定着化させるビッグチャンスだ!」と、むしろうれしい気持ちになってください。ポジティブな心持ちは記憶力にも影響します。

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分散学習を実践する

効率的に分散学習を実践する方法を話していきます。
まず一回目の記憶するときには、普通に記憶しようと努力します。この時に、記憶しづらかったり、すぐ忘れそうだな、と思う項目がある場合にはそこに付箋などを貼っておき、目印にします。
2回目からは、付箋を貼ったところから先にやります。
こうすることで、より忘れかけているものを先に記憶し、1周目から頭に残り、忘れかけるのにも時間がかかるものは後の方に記憶することができるので、より効率的に記憶することができます。
さらに系列位置効果という心理学的効果によれば、人間は、初めの方のことと、終わりの方のことの方が中盤のことよりも強く頭に残るということなので、ここで挙げている方法はそういう意味でも効率的であると考えられます。
もし4回繰り返しても覚えられなかった場合には、さらに5回目や6回目をやりましょう。
回数をこなせばこなすほど、記憶は強固なものになるので、たとえ5回目6回目をやることになったとしても、落ち込む必要はありません。

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いかがでしたか。結果だけみるとわりと当たり前のことを言っているように感じる人もいるかと思います。
今回の勉強方法が、すでに自然と身についていて実践している人もいるでしょう。そういう人たちは、その勉強方法は心理学的にも合理的な方法であることが知られているので安心して続けてください。今まで実践していなかった人はぜひ一度試してみてください。これからの勉強の一助になることを祈っています。

参考文献
山元大輔著(2003),『図解雑学 記憶力』,ナツメ社.
水野りか,分散学習の有効性の原因,教育心理学研究,1998,vol.46,no.1,p.11-20
水野りか, 作業記憶容量の個人差に応じた効果的な分散学習方式の開発, 認知科学,2001,vol.8,no.4,p.431-441,(http://ci.nii.ac.jp/naid/130004491296)


早稲田大学先進理工学部物理学科所属。横浜サイエンスフロンティア高校卒業。大学では理論物理学を中心に日々勉強に励んでいる。