みなさんは、普段、率先して意見を言えますか? それとも、周りの様子を伺ってから発言する方ですか?
もし、みなさんが自分の意見を抑えて周りに合わせているのなら、その行動は会議の生産性を下げているかもしれません。せっかく集まって会議をするのなら、より良いものにしたいですよね。
今回は、会議において建設的な反対意見を述べる「チーフ・チャレンジャー」の役割についてお伝えしたいと思います。
チーフ・チャレンジャーの必要性
会議や話し合いにおいて1人はいてほしい存在であると言えるのが、チーフ・チャレンジャー。
なぜなら、チーフ・チャレンジャーがいることによって前提や仮説の間違いを正したり、隠れたリスクを明らかにしたりすることが可能となるからです。また、なあなあになってしまっているチームの雰囲気に緊張感を与えることもできます。
あなたの組織の「チーフ・チャレンジャー」、つまり率先して異議を唱える役目を負ってくれるのは誰だろう? あなたが検討中の選択肢に疑問を投げかける人はいるだろうか。自分の見解と相容れず熟慮していなかった選択肢、想像すらしていなかった選択肢に目を向けさせてくれるのは誰だろうか。さらにその人物は、あなた自身の考えにも異議を唱えてくれるだろうか。
(引用元:DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|集団浅慮、執着、確証バイアス… 思考の誤りを正す「チーフ・チャレンジャー」)
反対意見を言われると、つい自分を否定されてしまったように感じて悲しくなってしまう人も中にはいらっしゃるかもしれません。
しかし、落ち込む必要はないのです。会議では、どの意見が正しいのかを決めるのではなく、チーム内共通のゴールへ向けてより良い案を練ったりするためのもの、と考えると反対意見であってもスムーズに受け止めることができるでしょう。
反対意見を言っても嫌われない人に
チーフ・チャレンジャーは、会議や話し合いに必要な存在ではありますが、人によっては嫌われてしまう可能性もあります。
良い人としてのイメージとチーフ・チャレンジャーとしての自分を両立させるためにはどうすれば良いのでしょうか?
グローバリンク代表取締役の大串亜由美氏は、下記の3つのステップを踏むことが大切だ、と言います。 1.賛成できる点を具体的に示す 2.こちらの懸念を表明する 3.提案する
例えば、「英語力を向上させるためには」というテーマで「英語の問題集を100冊やる」という意見が出たとします。 しかし、あなたはその意見を机上論だと考えました。ですが、その気持ちをそのまま相手に言ってしまうと、チーム内の空気が険悪になってしまう可能性がありますよね。
この場合、下記のように提案してみるのです 「英語の問題をたくさん解くという意見は賛成です。その方法をクリアしようと考えると、1つ不安な点があります。英語力をつけるには、100冊となると全てを定着させるのに時間がかかり過ぎてしまうのではないか、ということです。そこで、1冊の問題集を繰り返し解くという案を考えました」
3つのステップを踏めば、相手を全批判することなくテーマに沿って建設的な意見を言うことができるでしょう。
意見の相違がアイデアを刺激する
チームにチーフ・チャレンジャーが1人でもいると、他のメンバーも刺激されてより良いアイデアが生まれやすくなるという実験結果があります。
被験者を「対照群」、「ブレーンストーミング」、「討論」の3つのグループに分け、共通のテーマに沿ってアイデアを出させたところ、チーフ・チャレンジャーがいる討論チームは、他のチームよりも平均して25%も多くアイデアを出していたのだとか。
質の高い意思決定は、ただ1つのアイデアをこねくり回しているだけでは決して生まれません。さまざまなアイデアを吟味してようやく作り上げるものです。
アイデアを多く出せば出すほど、一時の感情や気分に流されることなく最良の判断をすることができますよ。
みなさんも、相手と意見が異なることを恐れず建設的な意見を出すチーフ・チャレンジャーになれるようぜひ3つのステップを試してみてください。
(参考) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|集団浅慮、執着、確証バイアス… 思考の誤りを正す「チーフ・チャレンジャー」 DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|対立を避けるだけの「いい人」はチームにいる意味がない DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|ピクサーの「プラッシング」、伝説の経営者スローンに学ぶ「健全な批判の効果」 nikkei BPnet|【3】会議で反対意見を言う時には?