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いつも決断することを避けて、他人に合わせ、流されて生きてきてしまった。その結果、本当の自分や、自分が何をしたいのか、ということがわからなくなって気が付けばいつも口をつくのは不安や周りへの不満ばかり……。

そんな人にぜひ知って欲しい力、grit。成功者が共通して持つと言われるこの力はどのようなものなのでしょうか。
「脳に手遅れはない」のだそうですよ。

成功者が共通して持つgritという力

心理学者のAngela Lee Duckworth(アンジェラ・リー・ダックワース)氏は、成功者が共通してもつある能力を指摘します。それは、才能でも努力でもなく、grit(気骨、意志力)という要素です。彼女は、この言葉を以下のように定義します。

「グリット」とは、物事に対する情熱であり、また何かの目的を達成するためにとてつもなく長い時間、継続的に粘り強く努力することによって、物事を最後までやり遂げる力のことです。

[引用元:logmi|成功者が共通して持つ「グリット」という能力–才能でも、努力でもない第3の要素とは?]

彼女は、27歳で経営コンサルタントを辞めて小学校教諭になり、その時に「成績の良い生徒と最下位の生徒のIQの数値にあまり差がない」ことに気がつきました。そこから、なぜ成績優秀な子とそうでない子が分かれるのか、卒業できる子とできない子が出てくるのか、ということに興味を持ち、心理学者となって様々な研究、調査を行い、このgritという要素を見出したのです。

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随処作主  (ずいしょにしゅとなる)  <臨済録>

では、実際にgritを身に着けるにはどうすればいいのでしょうか。

「随処に主となれば立処(りっしょ)皆真なり」

[引用元:<今月の禅語> 随処作主  (ずいしょにしゅとなる) <臨済録>]

これは、臨済宗の開祖である臨済義玄禅師が修行者に対して諭した言葉で、「いつどこにあっても主体性を持って行動し、その場その時を一所懸命に生きていけば、人生に翻弄されることなく自在に自分の人生を生きていける」といった意味の言葉です。法句経の

「おのれこそおのれ自身の主(あるじ)である。おのれこそ自身の拠りどころである。おのれがよく制御されたならば、人は得がたき主を得る」

[引用元:同上]という言葉に通じるところがあり、どちらも「自分自身を持て」という教えです。

誰かに合わせたり流されて生きる人生は、自分で考えなくていいし、角も立たないしでその場は楽をして生きていけます。けれど、いつかはふと、これからどうすればいいのかと、わからなくなる日がやってきます。

自分で決めてその人の言う通りにしたはずなのに、失敗を人のせいにしたり「自分が本当にしたかったことはこんなことじゃない!」と不満を覚え、でも何がしたいのかも分からない。こんな人生の迷子状態になってしまうのは、自分自身で最初に悩んで決断する行程を面倒臭がって、重大な選択を他人に任せてしまったから。

自分自身で決めないということは、いざという時に責任転嫁ができて楽かもしれません。しかし常に不満を持って人のせいにするため、自省することも忘れてしまいます。そして何より重要なのは、「自分の人生を生きていない」ということです。

「決断」から逃げない

あなた自身が後悔のない人生を送るには。自分で悩み、決断することを面倒くさがらないように、避けないようにしましょう。
その時は辛く大変な作業でも、自分で決めたことなら、責任を持ってやり遂げようとする気持ちも湧きますし、後悔もすることはないでしょう。

他人に流されて生きていく人生を辞めるだけで、自分自身を生きている実感と、生活への満足感を得ることができるようになるはずです。そしてこの随処作主の教えこそ、gritを身に着けるために必要不可欠なんです。
そもそも、何か大変なことをやり遂げるためには、スタート地点として「自分で決めた!」という事実が欠かせません。自分で決めたことだからこそ、高いモチベーションを維持して言い訳なしに自分でやり遂げることができるのです。

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脳に手遅れはない

これまで他人に流されて生きてきたから、もう今更変えられない。そう考える人もいるかもしれません。しかし、どうやらそんなことはないようです。
脳科学者の茂木健一郎さんは、「現時点で脳科学が確実に教えてくれる唯一のことがあるとすれば、それは、『脳に手遅れはない』ということだ」と言います。

歴史上有名なあの人も、スロースターターだった!

福澤諭吉は自叙伝である『福翁自伝』の中で、自身は14、15歳になるまでろくに本を読んだこともなく、その年でやっと読んだのは「孟子の素読」。そして洋学、そもそもアルファベットに接したのはさらに先の19歳と3か月の時のことだったんだそうです。その後の活躍を見れば、勉強を始めた時期に、遅いも早いもないということは明白なのではないでしょうか。
さらにスロースターターとして有名なのは、歩いて測定して日本地図を完成させた伊能忠敬。彼は本業を引退した後、50代半ばからこの地図を作り始めます。人生50年と言われた江戸時代にです。

これらの例は、まさに「脳に手遅れはない」という現代の脳科学の知見と合致して、私達を励ましてくれるのです。

何歳になっても、何かを始めることに遅いということはありません。これまで他人に流されて生きてきたけれど、「自分で決断する人生」を始めることは、今からでも十分に間に合うということです。

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いかがでしたか。
自分自身で悩み、周囲の意見を時には振り切って決断を下すことは、怖いことかもしれません。でも、その辛さを乗り越えた先には、今までと違う人生が待っているはずです。「随処作主」とgritというキーワードが、その手助けになってくれるのではないでしょうか。
最後に、『プロジェリア(早老症)』という世界で350人しかいない難病を患い、17歳で”老衰死”されたSam Bernsさんが、明るく充実した人生を過ごす秘訣として遺した言葉を引用します。

ときには勇敢でなければいけませんでした。そしてそれは簡単なことではありません。くじけそうなときもあったし、嫌な日を過ごすこともありました。でも勇敢であることは、簡単であるべきではないと悟ったのです。私にとって、それが前進するための鍵でした。

[引用元:logmi|17歳で”老衰死”した早老症の少年が遺した、幸せに生きるための3つの哲学]

参考
logmi|成功者が共通して持つ「グリット」という能力–才能でも、努力でもない第3の要素とは?
<今月の禅語> 随処作主  (ずいしょにしゅとなる) <臨済録>
logmi|17歳で”老衰死”した早老症の少年が遺した、幸せに生きるための3つの哲学
茂木健一郎|2011|小学館|脳の王国


京都大学文学部所属。長野県立松本深志高校卒業。ぱんだとししまいがとても好き。在学中は京都でしか見られないししまいを見てまわりたい。