プレゼンテーションやスピーチ、会議での発言など、「人前に立って話す」ことは得意ですか?
ビジネスパーソンにとってリーダーシップやコミュニケーションスキルが必須であるのはもちろんのこと、大学でのゼミやサークルでの活動に加え、インターンシップなどで社会に出ていくことの多い学生にとっても、「人前で堂々と意見を発信する」能力が求められています。
「人前で発言するのは、とても緊張する!」と感じる方は多いものですし、そうした人々であれば「人前であがってしまう性格を克服したい」と考える人がほとんどでしょう。経験を積めば緊張しなくなるとも言われますが、いくら経験を積んだとしても、人前に立たされた時の独特な緊張感は、なかなか消えてくれません。
一体どうしたら、皆が見ている前でも緊張することなく発言できるようになるのでしょうか。
今回は「人前で堂々と意見を述べる」ための、訓練法をお伝えしましょう。
心構え「発言は、自己成長の糧になる!」
堂々と発言するテクニックについて知る前に、意識しておくべきことがあります。それは、「集団の前に立って発言する」という行為は自分を成長させる、ということです。
JYFA(Japan Youth Football Academy)というジュニア・ユース向けサッカースクールのマーケティングディレクターである上林育子さんは、アメリカに留学していた大学生時代、授業のたびに発言を求められ、非常に苦労したといいます。
当時通った大学の授業では、1クラスに日本人は私だけということもよくあり、教授やクラスメートから、課題について日本人としてはどう思う?、とかならず意見を聞かれました。黙っていては点数が上がらない。わからないといえば日本人として恥ずかしい。必死で考え、それらしい意見を述べるように努めました。
(引用元:JYFA|JYFAスクエア 考える力と発言する勇気)
しかし、その辛い経験を通じて感じたのが、「思考を深め、何かを上達させる際には、とにかく自分の意見を堂々と述べることが大切である」ということだったといいます。
現在彼女がサッカーの指導を子供に対してする際には、必ず意見を問い、自分なりの回答を発言させるようにしているそうです。そのことが、子供を最大限成長させるんだとか。
このことは、サッカーを学ぶ子供にだけ当てはまることではありません。何かと発言が求められる大人であればなおさら、重要なことだと言えるでしょう。
機会があれば、前に出て発言してみてください。そうすることで、自然と思考が深められます。この姿勢は、必ずやあなたに最速の成長をもたらすはず。緊張するから、目立ってしまうからと言って、人前に出て話す機会を見送ってしまうのは、もったないことなのです。
周囲の視線ではなく「今・ここ・自分」にフォーカスしよう。
では、実際に「人前で堂々と発言する」ためには、何をしたらいいのでしょうか。
心理学を用いてコミュニケーション能力の向上のためのセミナー・講演会を行う株式会社ダイレクトコミュニケーションによれば、「公的自己意識」の高い人は、緊張したり上がったりしやすいそうです。
「公的自己意識」とは、同社の定義を借りるならば「他者との関わりの中で、自分が他者にどう見られているのかに意識を向けること」で、周囲の視線が気になる感情そのものを指しています。会議で発言できなかったり、人前に立つのが苦手だったりする人は、まさにこの公的自己意識が高いと言えるでしょう。
人前で緊張してしまうという問題を解消するために必要なのが「今、ここ、自分にフォーカスする」ことです。
周りの視線ではなく、今自分がどんな行動を取っていて、何を言おうとしているのかに注目しましょう。自分の思考や行動を無理やりでも自分自信に向けることで、少しでも緊張を和らげることができます。
会議で発言しなければならない場面であれば、周りの人の顔を見るのではなく、自分の発言を頭の中で反復する。プレゼンテーションであれば、何をどういう順番で話すのか、ということに意識を向ける。
こうした工夫によって、「今、ここ、自分にフォーカス」してみてください。
失敗しても大丈夫。プレゼンの基本は「ハッタリ」をかますこと。
確かに、自分自身に集中すれば、多少は緊張が緩和されるかもしれない。でも、噛んだり、つまずいたりしたら? みんなに笑われて、一気に集中力がなくなってしまいそう……。
こんな風に不安になる方も多いはず。
確かに、プレゼンテーションにおける「ミス」は非常に怖いものです。しかし実は、言葉や内容の多少のミスは、あまりプレゼンテーションの完成度に関係しません。むしろ、細かいミスに気を取られ、不安気な表情や態度を出すことの方が危険なのです。
コミュニケーション能力研修事業を手掛ける株式会社話し方研究所会長の福田健氏は、「プレゼンテーションで大事な要素」についてこんな風に語っています。
聞き手が初対面、もしくは馴染みのない人の場合、一瞬のうちに〈この人は信頼できるかできないか〉と判断するものは、外見なのである。 プレゼンテーションというと、つい内容や言葉での表現ばかりに意識が集中しがちである。だが、それらに先駆けて、聞き手の判断材料になるのは、目から入る、姿・態度といった、非言語コミュニケーションなのである。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|すぐれた人も視線が泳げば“信頼できない人”!?明暗を分けるプレゼンターの態度 )
みなさんにも思い当たる節があるはずです。口では正論を言っていても、背を丸めてオドオドとしている人のプレゼンテーションは、聞いても説得力を感じませんよね。逆に、多少デタラメなことを言っていようとも、堂々と背筋を伸ばし、目をらんらんと輝かせながら喋る人の言葉には、説得力があるなと思うはずです。
人前で話す時、細かいミスや間違いに気づく人はあまりいません。それより怖いのは、些細なミスに気を取られて自信のないそぶりを見せること。大事なのは緊張しようと、ミスしようと、堂々と見せる「ハッタリ」なのです。
*** プレゼンテーションのコツを紹介する情報はたくさんありますが、意外にも大切なのは、心構え、マインドセットの部分なのですね。
このコラムが、みなさんのプレゼンテーションスキル向上の一助になれれば幸いです。
(参考) JYFA|JYFAスクエア 考える力と発言する勇気 ダイレクトコミュニケーション|あがり症コラム⑤~集中を高めてあがり症を克服!~ ダイヤモンド・オンライン|すぐれた人も視線が泳げば“信頼できない人”!?明暗を分けるプレゼンターの態度