1日の仕事を終えて夜に帰宅する頃には、心身ともに疲れきった状態であるに違いありません。カバンを放り投げてソファにダイブし、テレビやスマートフォンを観ながら寝るまでごろごろ——こんな夜時間の過ごし方をしている人も多いのではないでしょうか。
でも、はたしてそれが良い過ごし方と言えるでしょうか。デキる人は、翌日に備えて「1日をリセットする夜習慣」を持っているのです。例えば、順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者である小林弘幸氏は、帰宅したら必ず以下のことをするのだそう。
わたしの場合であれば、帰宅したらとくに喉が渇いていなくても、コップ1杯の水を飲みます。この1杯の水がとても大切で、これによってリセットの儀式がはじまるのです。
(引用元:StudyHacker|帰宅後の過ごし方が翌日のパフォーマンスを左右する。心身に十分な休息をもたらす「リセット法」【小林弘幸『カリスマの言葉』第6回】)
そして、丁寧に汚れを落とした靴を靴箱に入れ、スーツにブラシをかけてクローゼットにしまう——この一連の儀式を30分かけて行ない、1日の仕事をリセットするそうです。
明日の仕事の良し悪しは、今日の夜の過ごし方で決まります。翌日の仕事に備える「夜のリセット習慣」を3つご紹介しましょう。
【1】荷物が多いままなのは非効率。「カバンの中身」をリセットしよう
同じファーストクラス搭乗者であっても、機内に持ち込む手荷物の量で “本当の一流” かどうかがわかる——長年CAをやっていると、こんな鑑識眼が身につくそうです。なんでも、ファーストクラスに乗り慣れた本当の一流は、ビジネスクラスからアップグレードしてきた “なんちゃって一流” に比べて、手荷物が少ないのだとか。
「“超一流”の方々は、身のまわりのものを選択し、要不要の仕分けができる人が多いのです。ビジネスクラスの方々はとかく大きなバッグを持ち込みがち。機内では絶対必要なものさえあれば十分なのですが、なぜかPCはじめ、あれこれとビジネス関連書類などを大量に持ち込まれ、フライト中も常に“超多忙”のご様子が見て取れます……」
(引用元:プレジデント・オンライン|超一流の習慣「手荷物はカバンひとつ。機内は貴重な読書タイム」)
手荷物をスリムにすることの大切さは、決して飛行機搭乗時に限定した話ではないはずです。皆さんのなかにも、カバンの中身を整理することなく毎日を過ごしている方はいないでしょうか。買い物のレシート、飲みかけのペットボトル、鼻をかんだティッシュ、ぐちゃぐちゃに折れ曲がった資料、途中で読まなくなった本などなど……。本当に必要な物を探す際に手間がかかりますし、荷物が重いままでは身体にも負担になります。
ということで、帰宅後はカバンの中身をリセットしましょう。
1:箱の中に、その日鞄に入っていた荷物を全て出す(30秒) 2:毎日必要なもの(財布や定期など)をしまい直す(30秒) ※荷物を出す際に、毎日必要なものは分けておくと手際よくしまい直すことができますよ。 3:【A】明日も必要なもの、【B】明日は必要ないものを仕分ける(1分) 4:【C】今日は使っていないが明日必要なものを用意する(1分) 5:【A】と【C】を鞄にしまい、【B】を片づける(1分30秒) 6:最後に、忘れ物がないか確認する(30秒)
(引用元:StudyHacker|「荷物が多い」は非効率! 身も心も軽くなる、“デキる大人” のための『鞄リセット習慣』)
カバンの中身は、意識して整理しないと “捨てそびれた物” “なんとなく持ち歩いている物” であふれ返ってしまいます。ぜひ、毎日リセットして翌日を迎えることをおすすめします。
【2】“感情のリセット” で自律神経を整える「3行日記」
「仕事でミスをしてしまった……」「プライベートで嫌なことがあった……」「明日を迎えるのが憂鬱だ……」こんな気持ちを抱えたままベッドの中に入ったところで、うまく寝つけるでしょうか。もし、気になって気になって睡眠に影響が出てしまうのであれば、翌日のパフォーマンスが下がってしまうこと必至です。
そんなときは、夜に “3行だけ” 日記をつけて感情をリセットさせましょう。順天堂大学医学部教授で自律神経研究の第一人者である小林弘幸氏は、寝る前の「3行日記」をすすめています。
寝る前に1日を振り返って、(1)今日、一番失敗したこと(もしくは、体調が悪かったこと、嫌だったこと)、(2)今日、一番感動したこと(もしくは、うれしかったこと)、(3)明日の目標(もしくは、今、一番関心のあること)を、それぞれ1行ずつでいいから書くのです。
(引用元:THE21オンライン|メンタルを安定させるメモ・手帳の使い方とは?)
小林氏によれば、日記を書くことには「自律神経のバランスを整える」効果があるのだそう。人が活動している日中に優位になる交感神経と、睡眠中や食事中など休んでいるときに優位になる副交感神経。入眠時は後者の副交感神経を優位にしなければいけませんが、ストレスを感じていたり考え事をしすぎたりすると交感神経が刺激されてしまうため、スムーズな入眠ができなくなります。
ゆっくり丁寧にペンを運んでいると、1日の自律神経の乱れがリセットされます。また、『イヤなこと→良いこと→目標』という流れで書くことで、効果的にモチベーションを引き上げていくこともできます
(引用元:同上)
ちなみに、デジタル機器の光も交感神経を刺激してしまうため、スマートフォンやパソコンで日記をつけるのはおすすめしません。手にペンを持ち、自分自身と向き合いながら日記を書き、1日の感情をリセットしましょう。
【3】心を整える「マインドフルネス」
もうひとつ。夜寝る前にできる、心を整えてリセットする手軽な方法があります。それが、瞑想をはじめとする「マインドフルネス」です。「瞑想なんて眉唾物だ」と侮るなかれ、その効果は医学研究で実証済みです。
アメリカ睡眠医学会が発表した研究から、瞑想には不眠症を治す効果があることが明らかになった。その研究では病気を抱える人に2ヵ月にわたって瞑想してもらう実験を行い、寝つくまでの長さ、トータルの睡眠時間、トータルの目が覚めている時間、眠りについた後で目が覚める回数、睡眠効率、睡眠の質、気分の落ち込みが改善したことが実証された。
(引用元:ダイヤモンド・オンライン|すぐ眠るためのマインドフルネス・入門編)
ちなみに、瞑想に最も適した時間帯は “朝目覚めてすぐ” か “夜ベッドに入る直前” なのだそう。ビジネスパーソンにとって最重要の資本である “身体” の調子を整えるうえで、睡眠は必要不可欠。先ほどご紹介した3行日記以上に、こういったマインドフルネスは直接的に睡眠の質を改善してくれるに違いありません。
習慣化コンサルタントの古川武士氏は、「今ここ」に集中するマインドフルネスをすすめています。
ストレスマネジメントの観点で言えば、未来の不安や過去の後悔から抜け出すには外的環境を変えるよりも、「今この瞬間に浸る」ことのほうがいい。「今この瞬間に浸る」とは、まさにある一定のゾーンに入って雑念がない状態です。
(引用元:プレジデント・オンライン|雑念のない時間が多い人ほど、幸福に近づく)
例えば、深呼吸をしながら「鼻から吸った空気を足へ送る」「鼻から入ってきた空気がつま先まで回り、再び鼻から出ていく」といった感覚を意識してみてください。雑念に囚われた自分がいつのまにか解放されていたことに気づけるかもしれません。
*** 何事も、その日のうちにリセットする。こうすることで、翌日を新たな気持ちで迎えられるようになりますよ。
(参考) StudyHacker|帰宅後の過ごし方が翌日のパフォーマンスを左右する。心身に十分な休息をもたらす「リセット法」【小林弘幸『カリスマの言葉』第6回】 プレジデント・オンライン|超一流の習慣「手荷物はカバンひとつ。機内は貴重な読書タイム」 StudyHacker|「荷物が多い」は非効率! 身も心も軽くなる、“デキる大人” のための『鞄リセット習慣』 日経BP社|カバンの中身は毎日出す! デキるビジネスパーソンの収納術 THE21オンライン|メンタルを安定させるメモ・手帳の使い方とは? 朝日新聞Reライフ|自律神経が整えば「眠りの質」はぐっと良くなる ダイヤモンド・オンライン|すぐ眠るためのマインドフルネス・入門編 StudyHacker|日記の効果を最大限得る! 夢の実現、仕事の成功に直結する、日記の効果的なつけ方