NASAやアメリカ軍も重視する! 最強チームを作る「フォロワーシップ」は次世代リーダー必須スキルだ。

どうすれば組織の中で頭角を現し、出世できるのか? どうすれば組織に大きく貢献できるのか? 今は若手でも、近い将来必ずリーダーになりたいと思う人なら、だれでも一度は考えるであろうこのテーマ。

このテーマに向き合ううえで理解しておくべきなのが “フォロワーシップ” というものです。実は、フォロワーシップは近年さまざまな分野で注目を浴びているもの。これを理解し実践すれば、組織により効率的に貢献でき、自分の存在感をアピールすることができます

今回は、そんなフォロワーシップを通じ、たとえ経験が多くなくても組織に大きな貢献ができるようになる方法をご紹介します。

フォロワーシップとは何か

フォロワーシップとは、リーダーシップの対となる概念。チームをボトムアップ的に支え、成果を最大化することを指します。

組織では、往々にしてリーダーばかりが注目され、論じられがち。書店には、ビジネスパーソン向けにリーダーシップを身につけるためのノウハウを説いた多くの啓発本が陳列されています。しかし、組織には当然のことながら、組織を支える働きがあります。その働きにフォーカスした概念がフォロワーシップなのです。

フォロワーシップは、特定の役割(ポジション)の人によるアクションではありません。例えば、平社員によるフォロワーシップもあればCEOによるフォロワーシップもあります。組織を支えるのだからといって、組織構造の下部にあたる人だけがフォロワーシップを担うわけではないのです。

このことを分かりやすく説明しているのが、2006年にラグビーの名門・早稲田大学ラグビー蹴球部の監督に就任し、2007年度より2年連続で部を全国優勝に導いた中竹竜二氏です。中竹氏は、リーダーシップとフォロワーシップの定義について以下のように述べます。

リーダーシップとは「引っ張ること」、フォロワーシップとは「支えること」と、「アクション」として説明することにしています

(引用元:AllAbout|フォロワーシップとはなにか

実は、中竹氏は早大ラグビー蹴球部の監督に就任するまで監督経験がありませんでした。そのうえ、前任の監督はカリスマ的な人物。中竹氏は「日本一オーラがない監督」と揶揄されていたといいます。そんな中竹氏が監督として実践したのが、フォロワーシップです。中竹氏はフォロワーシップを実践することによって、監督の強いリーダーシップにより勝つチームではなく、選手たちが自ら課題を解決し自らを強くすることで勝つことができるチームを育てました。そうして部は、中竹監督時代に二度の全国優勝を成し遂げたのです。

中竹氏が選手の自律性を引き出すために実践したという、このフォロワーシップ。なぜフォロワーシップは重要で、どうすれば実践することができるのでしょうか。

なぜ、フォロワーシップが注目されているのか

フォロワーシップが重要であると言われる理由は、以下の2つです。

1. 結局は誰しもがフォロワーであるから

例えば、マネジメント層のひとりである課長は、ある特定のチームのリーダーですが、課長の上には部長や社長がいます。また、アメリカ合衆国の大統領は、最高権力者であると同時に国民の従者という立場も持ちます。このように、一見リーダーに見える人もフォロワーの性質を合わせ持っています。

究極的には、どんな立場の人でも全員がフォロワーです。時期や役割によって、リーダーとフォロワーの配分が上下するだけだと言えます。これが、フォロワーシップの重要性が世間から認識され始めていることの大きな理由です。

この考え方は、アメリカのエリート教育においても徹底されています。これまでに大統領を何人も輩出してきた米国陸軍士官学校ウエスト・ポイントでは、

フォロワーシップを発揮するものだけが次のリーダーになれる

(引用元:小倉広(2014),『迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ』,ゴマブックス.)

と言われており、入学1年目の学生がフォロワーシップを叩き込まれることでよく知られています。リーダーになるための基礎は、他者を支えること。ウエスト・ポイントのエリート候補者のような、後に大きなリーダーシップを求められるようになる人であっても、フォロワーシップを身につけることは大切なことなのです。

2. リーダーシップだけでは物事はうまくいかないから

組織においてはリーダーシップにばかりに焦点があたるもの。ですが、リーダーシップだけでは組織はうまく回りません。先ほどの中竹氏は、組織には以下の4つの力が働くと言います。

【1】リーダーのリーダーシップ 【2】フォロワーのリーダーシップ 【3】リーダーのフォロワーシップ 【4】フォロワーのフォロワーシップ

(図は筆者にて作成)

図のオレンジ色の矢印はひっぱる力(リーダーシップ)緑色の矢印は支える力(フォロワーシップ)です。どちらの矢印も、メンバー・リーダーの双方のポジションから発生します。そして、このどれかひとつの力が欠けるだけで、組織はアンバランスになってしまうのです。リーダー・フォロワー双方のリーダーシップとフォロワーシップがなければ、チームワークは成立しません

このことがよく理解できる例をひとつ紹介します。宇宙飛行士の若田光一氏が、NASAで夏山登山の訓練に参加した際のエピソードです。若田氏は、その訓練中に高熱を出してしまいました。訓練では1人も欠くことはできないという前提があるため、全員で登頂するか引き返すかの2つの選択肢しかありません。そのとき若田氏は、周りのメンバーに一部荷物を持ってもらったり、他のメンバーよりも睡眠を多めに取らせてもらったりして助けられたのだそう。このようにしてメンバーが高熱の若田氏を支えた結果、チームは登山成功というミッションを達成したのです。

これは、リーダーもフォロワーも皆が高熱の若田氏を支えたからこそできた、ミッション達成でした。この支えがなければチームワークは成立していなかったと言えます。また、若田氏自身もチームのミッション達成のために、困難な状況を投げ出さず大変な体調でも何とか管理し、チームを支えたと言えるでしょう。

フォロワーシップを身につけるためのTips

では、私たちはどうすればフォロワーシップを身につけることができるのでしょうか。リーダーとフォロワーの両方の立場における、フォロワーシップの身につけ方を考えてみます。

フォロワーとしてのフォロワーシップの身につけ方

フォロワーは、リーダーが示した方向性やヴィジョンを叶えるために、タスクを実行しなければなりません。そこで、フォロワーができるフォロワーシップは、次の2つです。

リーダーが何を目指していて、チームのためにいま何を欲しているかを考えること そのために求められることを粛々と実行すること

具体的には、リーダーとの積極的なコミュニケーションにより、リーダーから多くの情報を得るべきです。その情報からリーダーが何を求めているのかを把握すれば、フォロワーとしての仕事の精度は高まっていきます。ビジネスパーソンとして当たり前に大事とされるリーダーへの報連相(報告・連絡・相談)も、フォロワーシップという観点からみると重要なことだということが分かりますね。

ここでひとつ注意すべきことがあります。それは、フォロワーのフォロワーシップを「服従」と混同してはいけないということ。チームのゴールに向かって貢献したいと思う心を持ったうえで、リーダーの指す方向性を実現していくことに貢献することがフォロワーシップなのです。そのことをよく心得ておけば、この先自分がリーダーになった際、どのようなリーダーシップを発揮すればいいのかを考えることもできるでしょう。

リーダーとしてのフォロワーシップの身につけ方

リーダーとしてのフォロワーシップとは、メンバーを支えるということ。ですから、メンバーの仕事の能率が挙がるような施策を実施するなどしてメンバーが動きやすい環境を作り、メンバーを信頼して仕事を任せましょう。そのためには、リーダーの立場で考えている課題をメンバーに伝え、理解してもらうことが重要です。リーダーには、積極的にメンバーとのコミュニケーションをとり、チームの方向性やヴィジョンについて全員が理解を深める場を作ることが求められます。それが、メンバーの自主性を引き出すことにつながるのです。

*** 今はまだリーダーの役割を持たない一メンバーであっても、フォロワーシップを発揮することでチームでの存在感を増すことはできます。フォロワーシップを心得ることは将来リーダーになるために重要なことですし、すでにリーダーの立場にある人にとっても同様です。

ご自分の組織には4つの力がきちんともれなく働いているか、足りないのはどんな種類の力で、自分ならどのように力を発揮できるのか。ぜひご自身にあてはめて考えてみてくださいね。

(参考) Forbes JAPAN|今、リーダーに求められている「脱リーダーシップ論」とは 電通報|最強チームの仕事術『リーダーシップからフォロワーシップへ』 リ・カレント|フォロワーシップになぜ着目するのか? BizHint powered by BizReach|フォロワーシップ All About|フォロワーシップとは何か 小倉広(2014),『迷ったときのリーダー論 ―あなたがピンチを脱する15のコツ』,ゴマブックス. NIKKEI STYLE|「NASA流」極限訓練で学んだこと 若田光一 JAXA宇宙飛行士 Harvard Business Review|他人を出し抜くのではなく、失敗を共有する パイロットとして叩き込まれた哲学―JAXA宇宙飛行士・大西卓哉

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