本当に大切なものはなに? TO DOリストでは見えない「なすべきこと」の見つけ方。

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あれもこれもやらなければいけないけど、何からどう手をつけて良いのか分からない……日々色々なことに追いまくられる忙しい日々を過ごしている人は多いと思います。目の前にやらなければならないことが山積していると、課題をこなすことで精一杯になってしまい、充実した生活を送ることはできません。ではどのようにすればこのような状況から脱出できるのでしょうか。

badge_columns_1001711本当に大切なものに気付こう

経営者のバイブルとも言われる大ベストセラー『7つの習慣』の著者スティーブン・コヴィーは次のように述べています。

誰でも毎日、多くの物事に対して「イエス」か「ノー」を選択している。正しい原則を生活の中心に置き、人生のミッションを自覚していれば、そのつど効果的に判断をする知恵を持てるようになる。

(出典『完訳7つの習慣ー人格主義の回復』)

つまり、自分のミッションさえきちんと分かっていれば、優先順位をどうつけるか、などの様々な決断は難しくないということ。「それが分からないから困っているんだ」と言いたくなりますが、この本の中に書かれている表を活用すると驚くほど簡単に物事の優先順位を確認することが出来るのです。早速見てみましょう。

badge_columns_1001711時間管理表を作成してみる

フランクリン・コヴィー氏は時間管理について以下のように述べています。

時間管理の本質は、優先事項を決め、それらを中心に計画を立て、実行することである。優先事項を決めるにはまず、自分の価値観や最大の関心事を深く探り、明確にしなければならない。

最初に時間管理表を作ってみます。まず大きく十字を書き、横線は時間を表しますに左端は「緊急」、右端は「緊急ではない」という感じです。縦線は課題の重要性です。上に行くほど「重要」で、下は「重要ではない」です。いかがでしょうか、図のようになりましたか。

seven-habit1

(出典 フランクリン・プランナー

この図を見ると一見、左上の「必須」が重要でそれ以外は二の次、と思うでしょう。ところがフランクリン・プランナーの考えは違います。この図の中で最も大切で優先すべきなのは右上の「生産性とバランス」と考えます。

(第II領域に取り組めば)効果性は驚くほど高まり、逆に危機や問題は対応できる程度まで減少していくだろう
最も「時間管理のマトリックス」は、行動や出来事を重要度と緊急度の2つの軸で分類するものです。これによって自分の行動を見直し、本来やるべきである第II領域(緊急ではないが重要なこと)に注力することを目的としています。

出典:Franklin Planner

一般的に考えたら、「緊急かつ重要」な第I領域こそが最優先課題で、そこを着実にこなすためにこのマトリックスがあると思うでしょう。しかしコヴィー氏が最重要視したのは、緊急ではない第II領域。この設定にこそ、フランクリン・プランナーの本質があります。コヴィー氏は以下のように考えました。

「緊急かつ重要」な第I領域は、誰に言われなくとも必死に取り組んでいるはず。だからそこにこれ以上注目を払う必要はない。 私たちは、緊急性が無いものは計画すらせず日々の中に埋没させてしまうが、「人とより良いコミュニケーションを取る」「自分に新しいチャレンジをする」などの第II領域が充実することこそが、人生にとって重要である

つまりこのフランクリン・プランナーは、第II領域のプランを実行させるためのもの。単に、私たちが日々追われている仕事をスムーズにこなすことが目的ではないのです。 同じようにプランを練るのでも、仕事のto do listをこなしていくことだけを目的にするより、自分の楽しい計画を実行するためのプランづくりの方がよほどわくわくしませんか?

Portrait Of Happy Businesspeople

badge_columns_1001711モチベーションはなぜ大切なのか?

私たちが色々な仕事をなし得るために重要になるのがモチベーションです。モチベーションが高ければ自ら楽しんで進めることができるため、たとえハードな内容であってもあまり苦になりません。 モチベーションは、私たちの行動にどのような影響を及ぼすのでしょうか。

心理学のデシはSOMAというゲームを使って面白い実験をしました。指示した内容は、3次元の絵を何種類か用意してブロックで同じ形に作るというシンプルなもの。しかし、ここで行った本当の実験は、ある被験者のグループには「終了後に謝礼を払う」と告げ、残りのグループには何も伝えなかったこと。彼らの態度に何か差は起きたのでしょうか?

デシは一定の時間が経過後、「ゲームを終了して、少々こちらでお待ちください」と告げ、部屋を出て行きました。すると、謝礼を貰う予定の被験者はピタリとゲームを止めてしまった一方、何も告げられていない被験者はゲームを続けていたのです。 この実験は、インセンティブを与えるとそれを得ることが目的となってしまい、自分の行動に対する興味関心が失われてしまう結論付けています。

badge_columns_1001711「自分がやりたいこと」がわかるとモチベーションも高まる

昔から人に何かをさせる手法として「飴とムチ」という言葉が使われいます。しかし、先ほど紹介した心理学の研究によればあまり効果がないと証明されました。上司や会社にやらされている感があるとモチベーションも上がりませんよね。それでは「やる気が出る」ためには何が必要なのでしょう? 現在、最先端のモチベーション研究では、課題に自発的にとりくむ「内発的動機づけ」と、自分が自分の行動の主人公となる「自律性」の重要性が確認されています。子供の時に時間を忘れて何かに没頭したのがまさにこの内発的動機付け。 つまり、自分自身で行動の基準を決め、自分の生活を自分でコントロールできていると感じることが重要なのです。

*** いかかでしたか。自分の内側から湧き出る「やりたいこと」を理解すればやるべきことが見えてくるはず。皆さんの毎日は多くの決断で成り立っています。フランクリン・プランナーは、あなたの頭の中を整理するのにきっと役に立つはず。その上で、「重要だけれど緊急ではない」ことを実行するために全てのプランを練る、ということを忘れずに。 さぁ、カフェに行ってナプキンの裏に時間管理表を書いてみて今日1日を始めてみませんか。

Covey, Stephen R. (1989) The Seven Habits of Highly Effective People, NY: Simon & Schuster,フランクリン・コヴィー・ジャパン訳(2013)、『完訳7つの習慣ー人格主義の回復』、キングベアー. Deci, Edward L. and Richard Flaste (1995), Why We Do What We Do: Understanding Self-Motivation, NY: Penguin. フランクリン・プランナー


某私立学校勤務。慶應義塾大学・大学院にて中世英文学を学ぶ。その後、ジョージア大学大学院でインストラクショナル・デザイン を修了、Phi Kappa Phi(全米優等学生会)に選出される。外資系IT企業、大学研究員を経て現在に至る。レゴ・シリアスプレイとインターナショナルバカロレア英文学AとTOKの資格を持ち、学習科学に基づく学びを実践・研究している。

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