ギター、ピアノ、バイオリン、ドラム……。楽器演奏が好きという人は少なくないでしょう。曲をうまく演奏できたときは、本当に楽しくて嬉しいですよね。しかし、楽器演奏は単なる趣味・娯楽にとどまるものではありません。実は、楽器を演奏することで脳に非常に良い影響がもたらされるのです。
楽器演奏により向上する能力とは?
楽器の演奏を練習すると、ただ単に演奏が上達するだけでなく、スピーチや言語、記憶、IQや共感の能力まで向上するといわれる。楽器のトレーニングには、特に若いときに行うと、脳の聴覚と運動をつかさどる領域がより発達するという報告もある。実際に、プロの演奏家の灰白質(聴覚や視空間情報処理を扱う領域の周囲に情報を送る)の量は、普通の人より多くなっている。また、音楽のレッスンを積んだ人々は、読み上げられた単語を覚えるなどの聴覚記憶と聴覚的注意力が優れ、レッスンを受けていない人に比べてボキャブラリーが多く、読解力も高いという。 (引用元:X BRAND|COURRiER Japon 「脳トレ」より効く6つのヒント 今日から始める記憶力UP法)
また、チューリッヒ大学の心理学者Lutz Jancke氏は、楽器演奏はIQをおよそ7ポイントも増加させると述べています。約68%の人のIQは、85~115の間に収まると言われています。その範囲の幅は30しかありませんから、7ポイントのIQ増加がいかに大きなものか分かります。
スピーチや言語、記憶、IQや共感の能力、そして聴覚記憶と聴覚的注意力まで。楽器を演奏することで、様々な能力アップが期待されるのですね。
天才物理学者として知られるアインシュタインも、バイオリンの名手でした。ひょっとすると、バイオリンが相対性理論などの偉業を生んだと言えるのかもしれません。
楽器演奏では脳の全体が使われている
なぜこんなにも楽器演奏は、脳に良い影響をもたらすのでしょうか。 オーストラリアとイギリスで小中学校の音楽教育に取り組むAnita Collins氏によれば、脳科学者らの研究で、楽器演奏中は全身運動しているときと同じように脳が活動し多くの情報を同時に処理していることが明らかになっています。
また、楽器を演奏しているときは脳の全体が働き、さらに右脳と左脳の間で情報の行き来が絶え間なく行われています。このメカニズムが様々な良い影響をもたらしているのです。
聴くだけでも良い
楽器演奏は脳に良いかもしれないけれど、楽器を演奏するのは苦手、というあなた。音楽を聴くだけでも脳は活性化します。上述の研究によると、音楽を聴くときの脳は、広い範囲にわたって火花が飛ぶかのように脳全体が活性化することが分かっています。STUDY HACKERの記事「やっぱり音楽は脳に効く! 新しい曲を聴かなくなった人は要注意!?」でも、音楽を聴くことによる脳への好影響について紹介されていますので読んでみてくださいね。
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いかがでしたか。 どんな楽器を演奏するときでも、脳の働きは活発化するそうです。 子供の頃楽器を習っていたり、部活で演奏をしたことがあったりしても、成長するにつれて楽器に触れる機会が無くなってしまった、という人もいるのではないでしょうか。もちろん、今まであまり演奏したことがないという人でも遅くありません。ぜひ、楽器演奏で楽しく脳トレに取り組んでみませんか?
(参考) X BRAND|COURRiER Japon 「脳トレ」より効く6つのヒント 今日から始める記憶力UP法 PICK THE BRAIN|The Surprising Thing You Should Learn to Raise Your IQ, Improve Memory and Language Fluency Wikipedia|知能指数 ANITA COLLINS|ABOUT