「サバンナ効果」と「光の色効果」で自然に“学びたくなる”? 学習環境づくりの新たな掟

夜、家にいる時間を活用し、もっと勉強したいし、もっと本を読んで知識を増やしたい。でも、なぜか家に帰るとその気がなくなってしまう、もしくは集中できない……。そんな悩みを持つ方に、光の効果を利用した「学びたくなる環境づくり」をご紹介します。

家には「誘惑」がいっぱい

1人暮らしの方でも、ご家族と暮らす方でも、家にはお決まりのリラックススペースがあり、おやつストック場所などもあるのではないでしょうか。決まったように冷蔵庫を開け、飲み物を取り出しリビングに座っていたら、家族もやってきて何となくテレビを観はじめる、あるいは、ソファーやベッドの上に寝転んでスマートフォンを眺めはじめる……、といった流れも定番かもしれません。

もちろん、家はリラックスすべき場所。好きなように過ごし、ご家族との他愛もない会話で疲れを癒すのは当然のことです。しかし、「さあ、勉強しよう」「よし、本を読むぞ」という気持ちに、水を差さないとも限りません。

ならば、人の心理や視覚から入る刺激などをうまく利用して、勉強したくなったり、本を読みたくなったりするように仕向けてみませんか? そこで取り入れたいのが、「サバンナ効果」と「光の色効果」です。

「サバンナ効果」とは

サバンナは熱帯草原を指す言葉。アフリカのスーダン地方などが知られています。その言葉をとった「サバンナ効果」とは、人間の心理を利用した照明設計のワザです。

森の中からサバンナ(熱帯草原)を見ると、草原のほうが明るいので安心感を覚え、草原のほうへと向かいたくなりますが、草原から森を見ると、森のほうが暗いので不安になり、足が向きません。

この心理的な作用は、よく店舗の照明設計などで利用されています。店舗の奥が暗いとお客さんはなかなか入ってきませんが、奥が明るいと安心感を覚え、入りやすくなるからです。また、玄関やリビングに入ったときなど、前方奥が明るいと安心感が生まれるので、住宅などにも取り入れられています。

こんな話もありますよ。GWや夏休みなどに高速道路のトイレは混雑しがちですが、実は暗い奥にあるトイレが使われずに、前方だけが混んでいる場合も多いのだとか。そこで、近くに感じやすくなる暖色系や、遠近法を取り入れたイラストを壁に描き、サバンナ効果も利用して、奥のトイレへと導く工夫をした場所があるのだそう。その結果、まんべんなくトイレ全体が使われるようになったそうです。

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「光の色効果」とは

LEDの普及で光色をたやすく変えられるようになったことから、近年はその“光の色”への関心が高まっているそうです。生活シーンに応じて光の色を変えることに、注目が集まっているのです。

ちなみに、光の色を表す尺度は色温度。色温度を示す単位は「K」で表し、ケルビンと読みます。

例えば、たき火の光は「ろうそくの炎色」で2000K、「電球色」は2700K~3000K、日の出後数時間ごろの太陽の光は「昼白色」で5000Kです。そして、曇り空の光は「昼光色」で6200K~6700K。青空の光は12000Kです。ケルビンは数値が低いほど赤っぽくあたたかみがあり、数値が上がるほど青く涼しげになります。

その中で、読書や勉強をする際など、文字を読むのに一番適しているのが6200Kの「昼光色」なのだそうです。ただし、くつろぐためには不向きなので、調色機能がついたLEDライトを選び、読書や勉強をしたいときだけ6200Kの「昼光色」に変え、くつろぐときは2700K~3000Kの「電球色」に切り替えるといいとのこと。

“学びたくなる”環境づくりのコツ

では、ここで、「サバンナ効果」と「光の色効果」を取り入れた、“学びたくなる”環境づくりのコツをご説明します。

まずは、自分の部屋、あるいはリビングなどに切り替え可能なLEDのライトを設置しましょう。少々値が張るシーリングライト以外にも、スイッチを押す回数で光色を切り替えられるLED電球もあります。手元が明るくなれば、より文字が見やすくなるので、切り替え可能なデスクライトもおすすめです。LEDは手元を照らしても熱くならないとのこと。

そうしてLEDライトを設置したら、勉強や読書の際に、6200Kの「昼光色」に切り替えるだけ。パッと光の雰囲気が変わるので、気持ちの切り替えにも便利です。

また、部屋に入ると、ついついベッドに寝転んでしまう……。リビングではソファーでリラックスしてしまう……、という場合は、勉強をする机やテーブルの上にテキストなどを置き、デスクライトで照らしておきましょう。そうしておけば、サバンナ効果でその場所へ向かいやすくなるはず。

リビングから自分の勉強机へと誘導すべく、部屋側にある奥の壁や、机の上を、置き照明およびデスクライトなどを使い、明るくしておくのもいいかもしれません。

「光の効果」は自律神経にも影響

なお、6200Kの「昼光色」は、交感神経を刺激して、モチベーションや集中力を高めてくれるといいます。また、オレンジ色のあたたかみがある2700K~3000Kの「電球色」は、副交感神経を優位にしてリラックスさせてくれるそう。

この切り替えがしっかりなされないと、人間はいとも簡単に体調を崩してしまうのだとか。勉強や読書のあとは、サッとやわらかな「電球色」に切り替えて、気持ちをリラックスさせてくださいね。

なお、寝床の横に切り替え可能なLEDのデスクライトを置いておけば、読書をしようという気持ちも高まるかもしれませんが、眠る前に「昼光色」の白い光をたくさん目に入れてしまうと、自然な眠りを誘うホルモン・メラトニンの分泌を抑えてしまいます。眠る前の読書に関しては、あたたかみのある「電球色」や、やわらかい「温白色」がおすすめです。

*** 光の効果を最大限に利用して、“学びたくなる”環境づくりをしながら、同時にしっかりとリラックスもできる切り替え上手になってくださいね。

(参考) パナソニック株式会社 - Panasonic|LED照明 集客演出 誘導 NEXCO 中日本|美化ピカトイレのヒミツ スーモジャーナル |読書や睡眠、暮らしのシーンにふさわしい明かりはどれ? おためし新商品ナビ|『LED電球 光色切替えタイプ ダイニング向け-浴室向け』昼光色か電球色か、そんな悩みはもう過去のものに!

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