自分のスマートフォンの連絡先一覧を確認して欲しい。あるいはチャットアプリでもいいし、SNSでも構わない。「ともだち」は何人いるだろうか。
実は、人間の脳の容量から考えて、友人の数は「150人」が限界だと言われている。思い浮かべてみて欲しい。あなたには「ともだち」が何人いるだろうか。今日は、人間がどうやって社会を発展させてきたのかを考えながら、脳の仕組みに迫りたいと思う。
友人の数は「150人」が限界だった!?
1992年、イギリスの文化人類学者であるDunbar氏が興味深い発表をした。なんと、人間のコミュニティは150人程度が「ちょうどいい」というのだ。
彼は霊長類の脳の大きさと、そのコミュニティにおける個体数に注目。
例えばオマキザルの一種「タマリン」という小さなサルでは5個体、ニホンザルなどが含まれる体の大きな「マカク属」では40個体、という風に、脳の大きさに比例して群れの個体数も増えていくことを発見した。
これを当てはめるヒトでは150個体に及ぶ。この数は動物が安定的な共存に必要な個体の数なのだという。そう、人間の脳のサイズでは、150人程度のコミュニティが一番「ちょうどいい」のだ。
でも、と疑問を抱く人がいるかもしれない。学生時代の友人や会社の同僚を含めたら、そんな数はとっくに超えているじゃないか、と。
確かに。今ままで人生での知り合いを合計したら、かなりの数になるだろう。しかし、ここでDunbar氏が言っているのは「安定的に共存するのに必要な人数」だ。小学校の同級生と毎日、会うわけではない。今現在、交流を持つ人の数で考える必要があるのだ。
急速に広まるSNSでの人間関係を私たちはどう考えるべきか
さて、そのことを踏まえた上で現在の社会を考えてみて欲しい。 インターネットというヴァーチャルな空間がますます実感を持つようになった今日。SNS上での人間関係や「いいね!」の押し付け合い、なんとなく疲れてしまった人も多いのでは?
人間の脳は、そんなに多くの人と知り合うようにできていない。ネット上の人間関係がきっかけの事件が増えているのも、ひょっとしたらそれが原因なのかもしれない。
筆者は別に、SNSが悪だと言っているのではない。人間の脳の性質上、そういうことがあるに過ぎない。
冒頭の質問で、あなたは一体何人と答えただろうか。 もしヴァーチャルな人間関係に疲れているなら、ぜひ考え直してみて欲しい。
参考 SCIENTIFIC AMERICAN|Social network size linked to brain size