大量インプットの意外なコツ。「集中しなくていい」「すぐに役立つか考えなくていい」納得の理由

佐々木俊尚さん「大量インプットの意外なコツ」01

テレビなど旧来のメディアのほか、インターネットを介して次々と大量の情報が飛び込んでくるいま、何をどのようにインプットするかは社会人の課題のひとつです。しかし、時間も集中力も限られているなか、どのように大量のインプットをこなせばいいのでしょうか。

作家・ジャーナリストとして、日々大量の情報に触れている佐々木俊尚(ささき・としなお)さんは、意外にもインプットに集中力は必要ないと語ります。

構成/岩川悟 取材・文/清家茂樹 写真/石塚雅人

集中せず短時間でできるのが、現代社会のインプット

集中しないとインプットできない——。そのように感じるばかりか、なかには悩んでいる人もいるかもしれません。しかし、「インプットに集中力が必要だ」と思うのは完全に間違いだというのが、私の考えです。

「集中」は、たとえばじっくりと1冊の本を読む、長い時間が必要な仕事をするといった作業に必要とされるもの。しかし、現代社会におけるインプットは、そのようなものではありません。

いま、社会人がインプットしようとする情報の多くは、ウェブメディアが発信しているものでしょう。以前であれば、雑誌の記事にも、1本で1万字を超えるようなものもたくさんありました。しかし、ネットニュースが主流となり、読み流すように多くの記事に触れるスタイルが浸透したいまは、800字や1,000字程度の短い記事が大量に流れている状況にあります。

800字というと、昔ながらの400字詰め原稿用紙でいえばわずか2枚に過ぎません。その程度の文字を読むのであれば、時間も集中力もそう必要とされないはずです。

佐々木俊尚さん「大量インプットの意外なコツ」02

 

インプットすべき情報のふるい分けにも集中力はいらない

もちろん、そんななかでも比較的長めの記事を読むこともあるでしょう。長い記事を実際に読むときには、たしかにある程度の集中力が必要とされます。しかし、インプットとは、記事を読むことだけを指すのではありません。

インプットをいくつかの作業に分けて考えてみましょう。情報をインプットするには、インプットするべき情報をピックアップする作業が欠かせません。

私の場合、まずは多くの記事の見出しだけをチェックします。そのなかで、扱っている物事自体は同じでも、異なる視点によって書かれた複数の記事に目を通すようにしているのです。

ある新製品の発表があったとしたら、異なるメディアから発信された「新製品が発表された」という同じ内容の記事をいくらたくさん読んだところで、それは意味があるインプットとは言えませんよね。新製品の発表を扱いながらも、ほかのメディアにはない視点をもって書かれた独自の記事ならば、それは必ず見出しに表れていますし、そんな記事こそが読むべき記事だと思うのです

そのようにふるい分けしていくと、100の見出しをチェックしたとしたら、読むべき記事はせいぜい5とか10くらいのもの。そうすれば要領よく読むべき記事をピックアップできます。

そして、記事の本文を読むのは、見出しをチェックしたあとでまとまった時間ができてからにしましょう。もちろん、本文を読むのには、ある程度の集中力も必要。しかし、インプットという作業の一部ではあるものの、移動中などスキマ時間にも深く考えることなくできる見出しのチェックには、やはり集中力など必要ないのです。

佐々木俊尚さん「大量インプットの意外なコツ」03

インプットするときは、「すぐに役に立つかどうか」を考えない

また、「インプットに集中力が必要だ」と思い込んでいることのほかに、「たくさんの情報を仕入れただけで満足してしまう」ことも多くの人に見られることです。

受験勉強のときに、参考書の重要な箇所にマーカーを引いただけで勉強したつもりになってしまうこととなんら変わりません。インプットした情報は、そのあとで活用してこそ、初めて意味が出てくるものです。

そうするには、ただたくさんの記事に目を通すのではなく、それぞれの記事がもっている「概念」をきちんととらえましょう

概念とは、「さまざまな情報がひとつの物語や順序によってまとめられ、ひとつの世界のようになっているもの」だと私は考えます。もっと簡単に言えば、「何を書こうとしたか」が概念です。それらをきちんととらえて頭に蓄積していけば、いつか役に立ってくれるときが来ます。

情報をインプットするとき、「すぐに役に立つかどうか」を考慮するのはあまりいいことではありません。長い時間をかけて、自分が属する業界、自分が専門としていたり興味があったりする分野の概念を蓄積していくのです。そうして蓄積された概念が、いまこのときに考えている内容と結びつき、新たなアイデアを生んでくれるようなこともあります。それこそが、インプットした概念が役に立ってくれた瞬間です。

佐々木俊尚さん「大量インプットの意外なコツ」04

【佐々木俊尚さん ほかのインタビュー記事はこちら】
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【プロフィール】
佐々木俊尚(ささき・としなお)
1961年12月5日生まれ、兵庫県出身。作家・ジャーナリスト。総務省情報通信白書編集委員。エフエム東京放送番組審議会委員。情報ネットワーク法学会員。早稲田大学政治経済学部政治学科中退後、1988年毎日新聞社に入社。脳腫瘍の大手術を受け闘病生活を送ったことをきっかけに、1999年に新聞記者を辞めてIT系出版社に移籍し、テクノロジー分野に取材の軸足を移す。その後、テクノロジーのみならず社会問題などについてもさまざまな執筆を行ない、テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルに至るまで縦横無尽に発信。日本のインターネット論壇における最強の論客のひとり。「ノマドワーキング」「キュレーション」などの言葉を日本社会に広めたことでも知られる。2010年代なかば頃から東京・長野・福井の三拠点生活を送り、コロナ以後に注目されてきている移動生活の先駆者でもある。『読む力 最新スキル大全』(東洋経済新報社)、『時間とテクノロジー』(光文社)、『広く弱くつながって生きる』(幻冬舎)、『多拠点生活のススメ』(幻冬舎)など著書多数。

【ライタープロフィール】
清家茂樹(せいけ・しげき)
1975年生まれ、愛媛県出身。出版社勤務を経て2012年に独立し、編集プロダクション・株式会社ESSを設立。ジャンルを問わずさまざまな雑誌・書籍の編集に携わる。

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