怒りの悪循環から抜け出そう。「感情の言語化」があなたを救う。

職場や学校、日常生活で起こる“ちょっとした出来事”で、ついイライラしてしまうことは誰にでもありますよね。しかし、そのせいで集中できなくなり、仕事や勉強に支障をきたしてしまうのは考えものです。

それに、イライラのせいでミスが重なり、上司や先輩、先生などに容赦なく叱られてしまったら、ますます怒りが増幅してしまうかもしれません。その気持ちを抱えたまま寝てしまうことだってあるでしょう。そうなると、さらに良くない状況に陥ってしまいます。

このような怒りの悪循環を抜け出すには、的確な言葉でその感情を言い表すといいのだとか。その方法とコツを紹介します。

怒りによる「脳とからだ」の変化

自分にとって不快なことが起こると、脳の扁桃体が脅威を察知し、アドレナリンを分泌させます。すると、心拍数が上昇して血圧が上がり、呼吸も早くなります。また、骨格筋への血液が増え、発汗も起こります。

そして、このように、呼吸や循環、分泌などの活動を調節する自律神経系が非常事態になってしまうと、再び扁桃体がそれを感知し、さらにアドレナリンを分泌させるのだとか。そうすると、どんどん怒りの感情が増してしまうそうです。これは、早々に対処する必要がありますね。

それに、イライラは、人のちょっとした記憶を奪ってしまいます。

イライラしていると記憶が飛んでしまう?

心理カウンセラーの大嶋信頼氏によれば、小さなことにイライラする人の特徴のひとつとして、「記憶力はいいのに、携帯電話やカギ、手帳などを忘れることが多い」というものがあるそう。

その理由は、脳の「怒りを感じる部位」と、「記憶を整理する部位」が近隣しているから。

記憶力がいい人は、嫌なことをいつまでも覚えていやすいといいます。すると脳の「怒りを感じる部位」が常に帯電している状態になり、「記憶を整理する部位」にまで漏電してしまうのだとか。それで、ちょっとした記憶がすっぽり抜け落ちてしまうわけです。

脳の「怒りを感じる部位」は扁桃体、「記憶を整理する部位」は海馬を指していると考えられます。いずれにせよ、イライラしていていいことはありません。それに、怒りを抱えたまま眠りについてしまうと、さらに厄介なことが起こります。

怒りを抱えて寝ると「怒り」の記憶が抜けなくなる?

2016年11月に英科学誌 Nature Communications で発表された中国とアメリカの研究では、新しく形成された嫌な記憶を抱えたまま眠りにつくと、それが脳に深く刻み込まれてしまうため、後々その記憶を忘れ去ることが難しくなってしまう可能性を示しています。

研究者らは、2日間にわたって被験者の男子学生73人に特定の画像を見せ、好ましくない記憶を関連づけたそう。その後、再び画像を見せて、好ましくない記憶を「呼び起こす」あるいは「呼び起こさない」よう指示したとのこと。

実験は、記憶を関連づけたあと「当日」と「翌日」にも行われ、その間ずっと脳活動をスキャンしていたそうです。その結果、一晩眠ったあとのほうが、好ましくない記憶が長期記憶としてしっかり保存されている可能性が高いと判明したのだとか。

こうして記憶が定着してしまうと、嫌なことを思い出し続けて扁桃体が帯電し、漏電しては物忘れして、イライラしてはまた帯電し……、といった「怒りの悪循環」が始まってしまうわけです。

では、どうしたらいいでしょう。

怒りの感情を的確な言葉で表そう

大嶋氏によると、イライラしてばかりいる人は、怒りをうまく言葉にすることができないとのこと。「言葉にならない怒り」こそが、いちばんストレスになってしまうそうです。怒りは、「その怒りに合った適切な言葉」でしか発散できないと同氏は説明します。

怒りを管理・コントロールするための心理教育として注目を集めている「アンガーマネジメント」の第一人者・安藤俊介氏も、言語能力の高い人ほど、怒りの感情のコントロールが得意だと話しています。

でも、だからといって、言語力に自信がなくてもガックリする必要はありませんよ。

もちろん上手に表現できるに越したことはありませんが、「怒りに合った適切な言葉」は、自分がしっくりくる言葉であれば事足ります。怒りを言葉にしてみて、「そう、そう、そこに腹が立ったんだよねー」と、自分が納得できれば、いつのまにか冷静さを取り戻せるはずです。したがって、怒りやイライラが生じたら、ぜひ心の中で、自分にこう聞いてみてください。

「何に怒りを覚えた?」

まるであなたが心理カウンセラーになり、患者さんの話を聞くように、納得できるまで話を聞きましょう。

すると、たとえば「自分の担当ではないのに抜け落ちていた部分を指摘され、それをフォローしていたため帰りが遅くなった。今日は会社帰りに寄りたいところがあったのに」と掘り下げていくうち冷静になってきたり、どんなに考えても、なぜイライラしていたのか言葉にできなかったりする場合があります。

つまり、ときには問いかけることで、「イライラする理由もないのに、ただ神経が高ぶっていた」と気づくこともあるわけです。

*** 自分自身に問いかけて気づく行為は、マインドフルネスにも通じます。ぜひ、自分の中で腑に落ちるまで「怒り」を言葉で表現し、自分の中のもうひとりの自分が発散できるようにしてくださいね。

(参考) 大嶋信頼著(2017),『ちいさなことにイライラしなくなる本 イヤな気分を引きずらない技術』,マガジンハウス. 吉田昌生(2017),『脳パフォーマンスがあがるマインドフルネス瞑想法』,主婦の友社. リビング京都|まずはメカニズムを知ることから!うまくつき合いたい怒りの感情 国際ニュース:AFPBB News|「怒ったまま寝るな」に科学的信ぴょう性、記憶実験で示唆 ログミー|人はなぜ“キレる”のか? 怒りのコントロールと言語能力の関係性

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