新商品の開発のために何か斬新なアイデアが欲しいという場面で、良いアイデアが全く生まれなかった、という経験はありませんか? おもしろいアイデアを出そうとすればするほど、焦るばかりで柔軟な発想ができなくなってしまいますよね。そこで今回は、なぜアイデアが生まれなくなってしまうのかということと、それを踏まえたアイデアを生み出す2つの方法を紹介します。

そもそも、なぜ良いアイデアは生まれないのか?

実は、アイデアが生まれないときには以下のような状態に陥っていることが多いのです。

・漠然とアイデアを出そうとしている

「何かおもしろくて斬新な商品アイデアがほしい」というぼんやりとした目標を立てるだけで、いきなりアイデアを生み出そうとすることは、雲をつかむような作業です。ターゲットや発想の方向性の軸をある程度設定したほうが、アイデアは生まれやすくなります。

・いきなりすごいアイデアを出そうとしている

世間を驚かせるようなアイデアが、いきなり最終的な形としてこの世に生まれ出てくることは稀です。様々なアイデアの元を組み合わせたり磨き上げたりすることで、ひとつの完成したアイデアとなるのです。グラフィックデザイナーの佐藤可士和氏は、打ち合わせの場でアイデアを生み出すことについて、以下のように述べています。

いきなり正解を持ってくる必要など全くありません。正解でなくてもいいのです。これはどうだろう、あれはどうですか、こんなのダメですか、こんなことしたら面白くないですか、といったとりとめのないイメージでまったく構いません。

(引用元:佐藤可士和(2014), 『佐藤可士和の打ち合わせ』, ダイヤモンド社.)

佐藤氏の言う「正解」は「良いアイデア」と置き換えることができます。いきなり良いアイデアを生み出そうとするのではなく、まずは「こういう方向性はどうだろう」というイメージをたくさん持ってから、それらひとつひとつに焦点を当ててみることが大切なのです。

・ひとりでアイデアを出そうとしている

アメリカの実業家のジェームズ・W・ヤング氏は、『アイデアのつくり方』という著書のなかで、「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ以外の何ものでもない」と述べています。この、要素同士の組み合わせ方は、人それぞれ考えが異なります。ですから、ひとりだけで考えるよりも多くの人と考える方が新しい発想は生まれやすいのです。たとえ、ひとりで考えなければならない場合でも、自分の中にある様々な視点から物事を見てみると、新しいアイデアが生まれやすくなります。

「英語を話したければ、とにかく話せ」は回り道。聞く力を優先させた、英語トレーナーの真意
人気記事

アイデアを出す2つの方法

上に書いたように、アイデアを生み出しやすくするには「発想の方向性を決める」「多くの視点から考える」ということが重要です。それらを踏まえて、2つのアイデア発想法を紹介します。

1. 掛け算式ネタだし法

これは「発想の方向性を決める」ために有効な発想法です。この方法では、アイデアの対象となる商品や概念にランダムな要素を組み合わせることで、強制的に新しいアイデアを生み出します。やり方は極めてシンプル。

A(商品)×B(要素)=C(アイデア)

の式に沿って、アイデアを生み出していけばよいのです。

例えば、雑貨メーカーに勤める人が新しいうちわの商品アイデアを考える場面を考えてみましょう。「うちわ」をA(商品=アイデアの対象)として、「アイスクリーム」をB(要素)とすると、式は以下のようになります。

(例)うちわ×アイスクリーム=

・アイスクリームの匂いつきのうちわ
・棒アイスのような持ち手のうちわ
・冷凍庫で冷やせるうちわ
……
……

漠然とした考えを要素同士を掛け合わせることでぐっと具体的にすることができるため、アイデアが生まれやすくなるのです。

2. オズボーンのチェックリスト

これは、かつてアメリカの広告代理店の副社長を勤めていたA・オズボーン氏が提唱した、「多くの視点から考える」ために有効な発想法です。この方法では以下の9つの視点からアイデアを考えます。

・他の使い道は?
・他に似たものは?
・変えてみたら?
・大きくしてみたら?
・小さくしてみたら?
・他のもので代用したら?
・入れ替えてみたら?
・逆にしてみたら?
・組み合わせてみたら?

例えば、「傘」に関するアイデアを、9つの視点に沿って考えてみます。

(例)「傘」に関する新しいアイデア

・たたんだときにオブジェのように見える傘(他の使い道は)
・杖のように自立する傘(他に似たものは)
・持ち手が二つある相合傘専用の傘(変えてみたら)
・傘のような見た目のテントの屋根(大きくしてみたら)
・傘のような見た目の鍋蓋(小さくしてみたら)
・紙でできた傘(他のもので代用したら)
・傘の表面ではなく、裏面にガラが付いた傘(入れ替えてみたら)
・晴れた日に使う傘(逆にしてみたら)
・音楽プレイヤー機能付きの傘(組み合わせてみたら)

このように、簡単に9つのアイデアが生まれました。用意された視点に対象を当てはめてみることで、ただ考えているだけでは出てこなかったアイデアも生まれやすくなります。

***
もしアイデアの発想に行き詰まってしまったら、自分が陥ってしまっている状況を確認するとともに、ぜひ今回紹介した方法を試してみてくださいね。

(参考)
ジャイロ総合コンサルティング|オズボーンのチェックリスト
STUDY HACKER|プロのアイデアマンに学べ! アイデアが無限に広がる『掛け算式ネタ出し法』のすごさ。
IDEASITY|ビジネスアイデアが出ない理由とアイデアを出す3つの方法
佐藤可士和(2014),『佐藤可士和の打ち合わせ』,ダイヤモンド社.