そのイライラ本当に相手のせい? 成長を阻害する『自己欺瞞』の危険

Verrgerte junge Frau am Telefon

日々の生活の中で人に対してイライラすることは誰にでもあります。 人間関係のトラブルが原因でタスクの進行に支障が出たり、あるいは、それのストレスが原因で日々の生活や仕事に悪影響を及ぼしてしまったり。 往々にして人はその原因がトラブルの相手にあると思いがちです。「無能な奴がいるせいで、自分は被害者だ」と。 しかし、本当にそうなのでしょうか? 今回は人間関係にトラブルを生み出しタスクを妨げる、「自己欺瞞」というものを紹介します。

badge_columns_1001711トラブルの原因を見直してみよう

まず初めに筆者の話をしましょう。 私は大学の部活で遠征の手配をする係を担っているのですが、この手の仕事では連絡になかなか返信をしてくれない人が必ずいます。こういった人のせいで手配は進まず仕事を計画通り進められないこともしばしば。その都度私は他のタスクや生活に支障が出てことを「またあいつのせいで仕事に障害が出た」とその人を責めていました。

さて、この時、私の行動に問題はなかったのでしょうか? 確かに仕事が進まない直接的原因は他人にありましたが、すべての責任を押し付けられるでしょうか? 改めて振り返った時、私にはできることがあると気づきます。それは事前にリマインドすることであったり遅れがちな人に直接聞いておくことであったりと、後から催促するのと労力はあまり変わらないはずです。

また、これらのことが期限をただ待つ間に頭をよぎらなかったわけがありません。手間ではあるけれど行っていれば後になって仕事が遅れることもイライラすることもなかったのに、それにもかかわらず私は怠った。一体どうしてそうなったのでしょうか。

man sending kisses, red hearts coming flying out of open mouth

badge_columns_1001711自らを正当化する「自己欺瞞」とは

先の話で私がリマインダーを送るのを怠ったように、自分がすべきだと感じたことを怠ると人は無意識のうちに自己の正当化を行います。その手段は他人の欠点をあげて「あいつが怠惰で送ってこないのが悪い」と責任を押し付けたり、「忙しいからリマインダーを送る暇なんてなかった」と自分のいいように状況を解釈したりするなど。こうして避けられうるトラブルに対して事故を正当化することを「自分の小さな「箱」から脱出する方法」という本の中では「箱に入っている」という言葉を用いて自己欺瞞に陥っているとしています。 身に覚えのある方も多いのではないでしょうか?

失敗した人過度に叱ってしまいギクシャクした時、散らかった共同机を放っておいたら後から探し物が大変になった時、などなど人が自己欺瞞状態になるのは様々です。 自己欺瞞に陥ると他者は無能でやっかいな諸悪の根源で、一方、自分は頑張っているのに周りに苦労させられている被害者であると考えます。 このように他者に対して防御態勢を固めてしまっていることを「箱に入っている」と称し、現代人のほとんどは箱の中に閉じこもって生活しています。 箱の中の思考はエスカレートしていきいずれ自己を正当化するために相手が気に入らないことを行うのを望むようになります。それが自分にとって全くプラスでなくとも。

例えば先ほどの私の例であれば、仕事が遅れるとわかっているのに期限までに回答を送ってこないのを無意識に期待していて、その通りになったときに「ほら、やっぱりあいつはダメな奴だ」と責めます。そうして自分が被害者であるという快感を得ているのです。 箱に閉じこもった人同士の集団では本来の目的(円滑なタスク処理や業績アップなど)は失われ、他人が失敗することを期待することがメインとなってしまいます。これでは自分にとっても組織にとってもマイナスでしかありません。

badge_columns_1001711自己欺瞞にならない為に、一歩踏み込んでみよう

では、自己欺瞞に陥らないためにはどのようにしたら良いのでしょうか。 箱の中の人は他人のことを人ではなくモノと考えています。モノであるから何かしてあげる必要はなく、自分の思うように動かないのはその人に問題があるからだと考えるのです。 もし、同じ人として考えていれば、「あの人もきっと忙しいのだろう。リマインダー送っておくか」という発想にもなり得るのです。また、相手が同じように自己欺瞞に陥っていると気が付き不要な衝突を避けることが出来ます。 箱の外に出るために必要なのは具体的な行動ではなく、他人のことを一歩踏み込んで考えてあげること。たったそれだけなのです。

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いかがでしょうか。 価値観の異なる人が集まる集団の中でトラブルはつきものです。そんなときに原因を外に求めて思考停止してしまうのではなく、自分にできることをちょっと探してみましょう。手間に思えるその行為が問題を解決するだけでなく組織の、ひいては自らのためになります。 自分が「箱に入って」いないか、常に意識して生活してみてください。

参考書籍 「自分の小さな「箱」から脱出する方法」(2006) アービンジャー・インスティチュート著 大和書房

京都大学農学部森林科学科所属。岐阜県立岐阜高校卒業。高校時代は剣道部、大学では体操部に所属。大の神社好き。年間60社以上参拝している。

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