お前は視野が狭いんだよな。もっと周りをよく見ろ!
こんな風に言われた経験はありませんか? 周りが見えない、細かいところに気づけない。自分ではわかっていても、なかなか直せないのがホントのところですよね。
でも逆に、「視野が広い」と言われる人は確かにいます。周りによく気を使うことができて、よく目が届く人が。この差は一体なんなのでしょうか。
コツは、「視野」ではなく「視点」を意識すること。
今日は「視野が狭い」のを直すためのポイントをご紹介しましょう。
人は視野ではものを見られない
「視野が狭い」のを直すために。視野の仕組みをご紹介します。 まず初めに。実は、人間は視野でものを見ることはできません。
え?と思われた方。 いやいや、確かに自分は今視野の端に映る缶コーヒーを認識しているぞ、という方。 確かにそうです。
正確に言い直しましょう。視野に映るものは、脳内で補正がかかり「見える」ように感じているだけなのです。
眼球の中の「網膜」という部分には、視細胞があります。この視細胞で色や光、動きを感知しているのですが、この視細胞には「錐体細胞」と「桿体細胞」の二種類があるんです。前者は網膜の中心一点だけに、後者は網膜のほぼ全体に分布しています。
実は、色や輪郭を認識できるのは錐体細胞だけ。桿体細胞は、網膜のほぼ全域に分布しているのに、色を感知できません。光の強弱を認識するだけなのです。
ですから、今自分の見つめる「視点」の一点だけが錐体細胞によりはっきり認識されています。周辺視野は桿体細胞の管轄。モノクロでぼんやりとしか見えないはずなんですね。でも、それでは困る。脳内での補正により形状や色がはっきりわかるようになっているんです。
実際にやってみるとよくわかります。文字をまっすぐ見つめた時(視点でものを見たとき)ははっきり読めますね。でも文字から少し視点をずらした時(視野でものを見たとき)は、まったく読めなくなってしまいます。
私たちは「視野」ではなく「視点」でものを見ているんです。
視野を広げるのではなく、視点を動かすこと
では、よく「周りが見える」人は、私たちと何が違うのでしょうか? その違いは、「視点を動かすか否か」というところにあります。
人間は、視野ではものを見れません。周りがよく見える人は、何も視野の端に映ったものを見ているわけではないんです。
周りがよく見える人だって、まっすぐ前を見ながら「あ、今視野の端に映った前田部長のビールのコップが空いた。注ぎに行かなきゃ」と考えていません。
常に目をキョロキョロとさせ、動かした「視点」でものを見ているんですね。
「キョロキョロしていたら、前田部長のコップが空いたところが視点に入った!よし早速注ぎにいこう」という風に。
確かに、言われてみれば当たり前のことかも。でも、実際にそれができる人ってなかなかいません。目の前のものに視点を集中させてしまい、周りに視点を動かす暇がない、なんてよくあることですから。
ですから「視野が広い」と呼ばれる人の特徴は、周りに常に意識し、そちらに視点を向けるところにあるのです。
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「視野が広い/狭い」という認識は捨てましょう。 大事なのは「視野を動かすか否か」というところです。
常に目をキョロキョロと動かして、周りの見える大人になりましょう。