一日は24時間。これは誰にとっても同じはず。
それなのに、限られた時間を効率よく使って質の高い仕事をたくさんこなせる人もいれば、残業に次ぐ残業をしたはずなのに思ったより仕事をこなせていなかった、という人もいますよね。
なぜこのような違いが生じるのでしょうか。時間を効率よく使える人たちの時間活用術を参考に考えてみましょう。
通勤時間を活用しよう
ある調査によると、都内に勤務するサラリーマンの平均通勤時間は、なんと片道58分だったそうです。往復で約2時間。けっこう長いですよね。毎日確実に消費されるこの2時間をどう過ごすかは、その日やその先の人生にとってかなり重要そうです。
本を読んだりスマートフォンでニュースサイトを閲覧したりといった方法で情報を集めることも重要ですが、朝の通勤時間にその日の仕事をどのようにこなすか具体的にイメージしておくと、一日のスタートダッシュがうまくいきますよ。また、歩いている時には、クリエイティブな考えを巡らせてみましょう。スタンフォード大学の研究によると、歩いていると普段思いつかないようなアイデアがふと湧いてくる、ということが起こりやすいようです。
メールの処理は夜と朝に分けよう
ようやく仕事場に着き、まずはメールのチェックと処理。メール対応だけでそこそこ時間を使ってしまい、慌てて仕事を始める……。こんなもったいない事態にはなっていませんか? 朝は比較的静かで集中しやすい時間帯なので、朝の時間を無駄に使ってしまうのは一番避けなければならないことです。
カルビー株式会社代表取締役会長兼CEOの松本晃さんは、メール処理をする時間を夜と朝の2つに分けているそうです。夜にメールをひと通り読んで重要度の高いものを処理しておき、夜に返信できなかったメールについて翌朝まで考えて、朝に処理する。このようにメール処理の時間を2つに分けることで、朝、メールに追われなくなります。
仕事を受け取った時にデッドラインを決めよう
メールに追われることはなくなった! よし、仕事を始めるぞ!
――と思ったものの、今日はどんな順番で具体的に何をするかが曖昧で、だらだらと仕事を始めてしまう……。このような非効率的な事態に陥らないためには、仕事を頼まれた際、すぐにデッドラインを決めてしまうことが重要だと、元トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社社長、吉越事務所代表の吉越浩一郎さんは言います。
仕事のデッドラインを決めることで、デッドラインから逆算し、今日具体的に何をしなければいけないかを決めることができます。特に、緊急度が高くない仕事にこそデッドラインを設けるべきだと吉越さんは主張します。緊急度が高くない仕事だからと言って放置しておくと、そのうち緊急性を要する仕事に変わってしまうからです。
緊急度が低い仕事こそ、デッドラインを設けてさっさと終わらせ、時間に余裕を持ちましょう。仕事が前倒しで終われば、早く仕事を終わらせることが快感になり、「やらされている感」が消えて仕事が楽しくなっていきます。そして仕事に対するモチベーションが上がり、仕事の効率はさらに上がっていきます。この「正のスパイラル」が重要なわけですね。
やるべき仕事を可視化しよう
具体的にどの仕事を片づけなければいけないかが見えてきても、重要でプレッシャーがかかる仕事ほど、なかなか手を付けにくいものですよね。
松本さんは、横軸を重要度、縦軸を緊急度にしたグラフに仕事を書き込むことで、仕事の全体像を可視化し、重要かつ緊急な仕事に着手する意識を高めていたそうです(STUDY HACKERの記事「どんなに複雑な問題も、因数分解で答が見える! マルチタスクと因数分解のススメ」でもこのグラフを紹介しています)。
頭の中でぼんやりと「これとこれは緊急で重要な仕事だから、早くやらなくては……」と考えるよりも、実際に書き出し、目に見える形にしてこそ、その仕事に対してのモチベーションが高まるということですね。
このような、グラフに仕事を書き込む方法以外にも、例えば、手帳に仕事を書き込む際、重要で緊急度が高いものには赤ペンを使うなどし、とにかくその仕事がほかの仕事に比べ重要かつ緊急であるということを自分自身に意識させる、というやり方もあります。そうすることで、仕事を先延ばしにしない意識が生まれるようです。
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仕事を効率よくこなせる人は、
1.通勤時間を含む朝の時間を浪費しない。
2.具体的に今日何をしなければいけないかを理解し、実行する。
という人たちのようです。当たり前のようで意外と難しいことですが、上記のような方法を活用し、効率よく時間を使えるようにしましょう。
(参考)
at home|「通勤」の実態調査 2014
Marily Oppezzo, Daniel L. Schwartz,“Give Your Ideas Some Legs: The Positive Effect of Walking on Creative Thinking”, Journal of Experimental Psychology: Learning, Memory, and Cognition, 2014, Vol. 40, No. 4, pp. 1142–1152.
「“生産性10倍”の時間術」, 日経ビジネスアソシエ, 2016年02月号, pp.27-35.