――日々、情報収集に明け暮れているが、うまく仕事に活かせていない気がする――

それは、もしかして、期限が短い最新情報ばかりを追いかけているせいかもしれません。まずは一息ついて、世界で最も成功した投資家といわれる、ウォーレン・バフェット氏に学んでみてはいかがでしょう。

同氏のスタイルを掘り下げ、価値ある情報収集のコツを探ります。

ウォーレン・バフェット氏の毎日

世界最大の投資持株会社、バークシャー・ハサウェイの筆頭株主であり、同社の会長兼CEOを務めるウォーレン・バフェット氏は、貪欲な読書家としても知られています。

『スノーボール ウォーレン・バフェット伝(上・中・下)』の作者である アリス・シュローダー氏によれば、バフェット氏は若いころからビジネスにつながりそうなものすべてを読みあさっていたのだとか。そして、興味がわいた会社に足を運んでは、対話しながら多くのことを学んだそうです。

バフェット氏は、日々のスケジュールのなかで何時間も新聞、雑誌、ニュースレターや、自身が所有する会社からの日次および月次レポートを読むとのこと。その“読む時間”に加え、読んで得た情報について“思考・消化する時間”も、しっかりとつくるのだそう。

また、同氏は毎年、まだ所有していない会社の年次報告も何百と読むそうです。そうやって準備されているからこそ、いざというとき焦る必要がなく、機会も逃さないとのこと。

アリス・シュローダー氏は、バフェット氏が70年以上にわたり蓄えた情報と、創りあげた知識の層を、「巨大な垂直ファイリングキャビネット」と表現しています。そのキャビネットこそが、同氏を最も成功した投資家に導いたわけです。

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ウォーレン・バフェット氏が注目する情報とは

株式投資理論の第一人者である足立眞一氏は、「バフェット氏の成功について分析することが、株式投資で成功する原理になる」と述べています。

その言葉を参考にすれば、“バフェット氏が価値を見出した「情報の種類」について分析することが、成功に近づく有用な情報を見出す原理になる”ともいえるでしょう。そんななか、作家のシェーン・パリッシュ氏が、バフェット氏の投資における「情報の種類」を詳しく調べたそう。すると、

――非常にゆっくりと変化する情報と企業に注目している――

と分かったそうです。

「期限切れの情報」ではなく「半減期の長い情報」を

シェーン・パリッシュ氏は、わたしたちの多くが「期限切れの情報」を消費しているが、バフェット氏は、「半減期の長い情報」を、自身の脳のキャビネットに収めているといいます。

「期限切れの情報」とは、来年あるいは来月には、もう気にしなくなるような情報のこと。つまり、長続きしない情報のことです。一般的にいえば、最近の話題や最新トレンドです。

一方、“半減期が長い”とは――たとえば薬なら、循環血液中に長時間とどまり、効果が長続きしやすいものを「半減期が長い薬」といいます。つまり、バフェット氏は、常にその長続きする情報に注目している、ということ。

たとえば、政治史・外交史・経済史・文化史・企業史などが分かりやすい例です。最新トレンド自体は長続きする情報に含まれませんが、トレンド史はこれに含まれます。

変化がゆるやかな情報であれば、じっくりと時間をかけ、知識を深めていける、とのこと。これは、東大・京大生が根強く支持する異例のロングセラー『思考の整理学』のなかで、外山滋比古氏が述べていることにも通じます。

思考の整理法としては、寝させるほど大切なことはない。思考を生み出すのにも、寝させるのが必須である。

(引用元:外山滋比古著(1986),『思考の整理学』,筑摩書房.)

バフェット氏は、長続きする情報を常にインプットして寝かせ、整理して合成し、創造し続けているのです。

期限切れの情報であるというサイン

ではここで、シェーン・パリッシュ氏が挙げた「期限切れの情報を扱っているサイン」を、かみ砕いていきましょう。

期限切れ情報サイン1:お金を払って仕入れた情報

お金を払って入手し、そのまま自分の「知識」めいたものにするのは楽ですが、自分自身で合成したものではないので奥行きがなく、後に応用がききません。しかし、それを消化して自分自身がインプットしていたものと合成し、知識を深めていけば、後々活かすことができるでしょう。

期限切れ情報サイン2:詳細さに欠け、容易に解釈できる

「何が起こったのか」という一般的なことを述べているだけで、「それがなぜ起こったのか、どのような条件下で、それが再び起こる可能性はあるか?」といった詳細さやニュアンスがないものを指します。たとえば容易に解釈できた情報を人に伝えた場合、「じゃあ、○○の場合はどうなるのかな?」と掘り下げた質問で返されると、全く答えられないという事態が起こります。

期限切れ情報サイン3:1ヵ月~1年経つと、もう 関連がなくなる

最近の話題やトレンドを知ることは、“世の中で何が起こっているか”を知ること。ビジネスパーソンには必要不可欠です。しかし、長続きする情報ではない可能性があると理解しておきましょう。そればかり追いかけていると、「あとで何も残らなかった……」なんてことになりかねません。

シェーン・パリッシュ氏は、継続的に“期限切れ”ではない詳細な情報をインプットし、深く考えることに時間を費やしていると、特定のパターンを見出すことができるので、世間の人々が見落としていることが分かる、といいます。これを長く続ければ続けるほど、多くのメリットがあるとのこと。

価値ある情報収集とは

これまでのことから、最新の話題やトレンドで世の中を把握しつつも、「半減期の長い情報」を常にインプットし、それらを寝かせ、自身の知識として合成させることが大切だと分かりました。

Quartzのレポーター、コリーヌ・パーティル氏によれば、バフェット氏はしばしば、【時間】を「最も価値のある資源」と呼ぶのだそう。バフェット氏ほどの大金持ちでも、時間を物理的に買うことはできないからです。

したがって、「価値ある情報」とは、半減期の長い情報×寝かせる時間(知識を深める時間)ということになります。

***
ウォーレン・バフェット氏に学ぶ「価値ある情報」について掘り下げていきました。総合的にまとめると――

【短期的情報】:ニュース・最近の話題・トレンドなど――世の中の状態を知ることに役立つ
【長期的情報】:政治史・外交史・経済史・文化史・詳細な文献・専門家との対話――知識を深めることに役立つ
【価値ある情報】:「長期的情報」×「時間」

――となります。読書するとき、新聞を読むとき、文献を読むとき、何かの資料を読むとき、誰かとビジネスにかかわる会話をするとき、その時間が、後に活かされる時間投資であるかどうか、ぜひ一度ご自身に問いかけてみてください。

(参考)
Quartz at Work|The Warren Buffett system for deciding what to read
Farnam Street — A Collection of Signal in a World Full of Noise.|Compounding Knowledge
幻冬舎ゴールドオンライン| | 富裕層向け資産防衛メディア|バフェットの言葉「株式投資はスノーボール」の真意とは?
Wikipedia|ウォーレン・バフェット
外山滋比古著(1986),『思考の整理学』,筑摩書房.