「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」 この言葉をご存じだろうか。
これは、1964年の映画「メリー・ポピンズ」で使用された劇中歌の中に出てくる言葉である。 小学校の教科書等にも載っているので歌える人もいるかもしれない。
この単語、実はまったく意味はない。しかも非常に長い。 このような単語を覚えるのは非常に苦労しても良さそうなものだが、歌にのせて口ずさむと意外にもすぐに覚えることができ、かつ忘れにくいものとなる。
今回はこの、歌と記憶の不思議な関係に着目し、勉強への応用可能性について考えてみたい。
なぜ歌にのせると覚えやすく、忘れにくいのか
歌にのせて口ずさまれた言葉は、覚えやすく、忘れにくいものとなる。 その理由は、人間の記憶メカニズムにあった。
記憶は、全くなじみのない新しいことより、既知のことに関連することの方が定着しやすいことが知られている。 そのため、既に知っている歌のメロディーにのせて歌うことで、新情報は「関連情報」として処理され定着しやすくなるのだ。
ではなぜ、忘れにくくなるのか。 情報が脳内に定着し、忘れにくくなったものを「長期記憶」と呼ぶ。 この長期記憶をさらに見てみると、 ・宣言記憶 ・手続き記憶 の二種類がある。
ごくごく簡単に言うなら、宣言記憶とは言葉で説明できる記憶のこと。 一方の手続き記憶は言葉で説明できないが再現できる、いわゆる「身体が覚えている状態」のことを指す。
歌を特定のメロディーにのせて歌う、ということはこの手続き記憶に分類される。 泳いだり、自転車に乗ったり、スケートをしたり、ということと同じことなのだ。忘れにくいのも納得できよう。
替え歌暗記法のやり方
それでは実際の手順を紹介しよう。 まず、元となるメロディーを用意する。このメロディーは、よく知っているものにしよう。 既知の情報に関連して覚える、ということがこの方法の基本だから、メロディーはなじみ深くいつでも絶対に思い出せるようなものが良い。 童謡などがおすすめだ。
メロディーの次は歌詞。 有名なものでいえば、「アルプス一万尺」のメロディーにのせて中国の王朝名を覚えるというもの。
メロディー「アルプス一万尺、こやりのうーえで♪」 歌詞「殷 周 東周 春秋戦国 秦 前漢 新 後漢♪」
と、最後まであてはめていくのだ。
この歌詞は大学受験から時間がたった今でも、まだすらすらと思い出すことができる。
他にも、「どんぐりころころ」にあわせて古文助動詞を覚えたり、「世界にひとつだけの花」にあわせてドイツ語の定冠詞を覚えたりもしたが、そのどれもを今でもすぐに取り出すことができる。
替え歌暗記のメリット、簡単さをおわかりいただけただろうか。 なにも自分で思いつく必要はない。インターネットを検索してみると、たくさんの便利な替え歌を見つけることができる。 以下にいくつかの替え歌暗記動画を紹介しておくので参考にしてほしい。
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(参考) Wikipediaスーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス 実例 歌記憶術 記憶の玉手箱 wikipedia 手続き記憶