読書は大切だ、とはよく言われることです。効率よく本を読み知識を吸収することは、知的な人間になる近道。速読や多読の重要性が強調され、セミナーやスクールも開かれていますね。ビジネスパーソンの方の中にも、忙しい仕事の合間を縫って読書に励んでいるという方は多いのではないでしょうか。
ではここで考えてみてください。読んだ本の中で、その本の内容を自分のものにし、成果をあげたものはありましたか。
こう聞かれると、答えに詰まる方は少なくないと思います。たくさんの本に触れるのはもちろん良いことですが、せっかく本を読むのなら、得た知識を自分の武器にしないともったいない気がしますよね。
今回は、年間3,000冊の本を読み、経営コンサルタントや人気ビジネス作家などとして活躍する中島孝志氏の著書『キラーリーディング 驚異の読書法』から、成果をあげる読書法「キラーリーディング」をご紹介します。
キラーワードを発掘しよう
中島氏は、自身の提唱するキラーリーディングについて、次のように述べています。
「キラーリーディング」とはたんなる速読や多読ではなく、情報のインプットから成果や結果というアウトプットを生むまでをシステマティックにマネジメントした「究極の読書法」です。どんな本を、どう読んで、どう整理し、どう活用して、どんなアウトプットを生み出すか?
(引用元:中島孝志のキーマンネットワーク|「キラー・リーディング」)
ひとことで言えば読書を成果につなげるための読書法がキラーリーディングというわけですが、具体的にはどのように進めていけばよいのか、その方法について見てみましょう。
本を読んでいると、「お、これは」というような言葉に出合うことがあります。ほかの文章とは一線を画していて、光っているような言葉のことです。このような言葉のことを、中島氏はキラーワードと呼んでいます。言葉でなく一節であれば、キラーフレーズです。
読書をすることの目的は、このキラーワードを発掘することにあります。このキラーワードが、新しいビジネスの着想をもたらしたり、企画書を作る手掛かりとなったりします。読書しながらキラーワードを効率よく見つけていく作業のことをキラーリーディングというのです。
このキラーワードは、すべての本の中にあるとは限らないのだそう。できるだけたくさんの本に当たっていくことによって、自分のクリエイティビティを刺激するキラーワードを見つけていきます。
キラーリーディングの3つのポイント
キラーリーディングをするにおいては、おさえておくべき大切なポイントが3つあります。
1つ目は「速読」。これは分かりやすいですね。だらだら読むのではなく、できるだけ早く読みましょう。これが、2つ目のポイントにもつながってきます。
2つ目は「多読」。読書量を求めることです。中島氏によれば、読書の量を追求すると質が向上していくのだそう。本の目利きがよくなったり、多くの本を読んだ中から知識の相乗効果が生まれたりするのです。結果的に速読のスピードも上昇してきます。多読には2つのパターンがあります。1つは、ある分野に絞ってその分野の本を徹底的に集中して読んでいくこと。2つ目は、いろいろな分野の本を広く読んでいくことです。興味や目的に応じた方法で多読を進めていきましょう。
3つ目は、「省読」。一冊の本の中で、「これは!」と思うキラーワード・キラーフレーズをポイントに絞り、関連する情報だけを読んでいく方法です。満遍なく読んでいると時間が足りません。拾い読みをすることで、読書効率を上げていきましょう。
本を1ページ目から読まない!
通常、本を読むときは、本文の1ページ目から読むものだとされていますが、読書効率を上げるためには、1ページ目から読むことが必ずしも良いとは限りません。なぜなら、本の冒頭部分は内容が薄いから。
大切な内容は、中盤や、結論を語る後半に書かれていることが多いもの。これは書き手の工夫であって、いきなりメインを持ってきて読み手に消化不良を起こさせないためなのですが、キラーリーディングでは関係ありません。最初からトップギアでキラーワードを探しに行きましょう。
キラーワードの探し方としては、目次を読むことや前書きを読むことが効果的です。目次を見てある程度の見当をつけると、自分に必要な内容を手早く探すことができます。また、前書きには本のエッセンスが書かれている場合が多いので、先に確認しておくと良いでしょう。
読書を成果につなげるための「読書カード」
最後に、キラーリーディングで手に入れた情報を活かし、成果をあげるために必要なもう1ステップを紹介します。
有効な方法のひとつに、読んだ本の内容を「カードでまとめる」というものがあります。適当な大きさのカードを用意して、一冊の本につき一枚のカードに、内容やキラーワード、意見などをまとめた読書カードを作っていきます。
同じ分野の読書カードを数枚まとめて見直せば、その分野に対する深い洞察や新たな発想が生まれることがあります。また、異なる分野のカードをまとめてみることでも、異分野の融合した、新しい発想のきっかけになるでしょう。
「京大式カード」というB6版の情報カードがあります。B6というサイズ感も、表は罫線、裏は白紙というレイアウトも、本の内容をまとめるのに適したもの。是非、使ってみてください。 →コレクト 情報カード B6 京大式 C-602(Amazon)
*** 本を読むときに大切なことは、その本が自分にどのような形で役に立つのかを意識することです。本を読んだら、自分のアウトプットにつなげることを考え、読書の成果をあげるようにこころがけましょう。
(参考) 中島孝志著(2012),『キラーリーディング 驚異の読書法』,ATパブリケーション. 株式会社アテンプト|京大カード 中島孝志のキーマンネットワーク|「キラー・リーディング」