仕事にストレスはつきものです。ストレスは、抽象的な思考や集中力、ワーキングメモリーなどにかかわり、感情や衝動を抑制する、脳の「前頭前野」の支配力を弱めるといいます。ストレスが軽減すれば元の状態に戻りますが、慢性的なストレスにさらされると、前頭前野は萎縮してしまうのだそう。

そうならないためにも、ぜひ時おり「都市公園」や「公開空地」を訪問し、最低でも20分間ほど滞在してみてください。ストレスを軽減でき、幸福感が改善されるはずです。最新の研究成果とともに、普段何気なく目にしているパブリックスペースを掘り下げます。

都市公園への訪問はストレスを軽減する:米研究

アラバマ大学バーミンガム校・作業療法学科の研究者らは、20分ほど「都市公園」で過ごすことにより、「幸福感」が改善するという調査結果を発表しました。この内容は、2019年2月13日付で『International Journal of Environmental Health Research』にオンライン公開されています。

研究に参加した94人は、公園を訪問する直前と直後に主観的幸福(SWB)を評価する短いアンケートを記入し、公園訪問中は加速度計を装着して、身体活動レベルを追跡されたそう。その結果、公園訪問前後のSWBや、生活満足度スコアなどが、有意な改善を示したそうです。

20.5分の公園訪問で最も向上すると予測されたことから、研究者らは、少なくとも訪問者を20分間滞在させられる、魅力的な公園スペースの設計を推奨しています。

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ところで「都市公園」って何だ?

都市公園」は、大きく住区基幹公園、都市基幹公園、大規模公園、国営公園、緩衝緑地等の5つに分類されるのだそう。街にある小さな公園から、大規模なものまで当てはまります。

「都市公園」とはいうものの、都会にある公園というわけではありません。都市計画法に基づき、国または地方自治体が設置したすべての公園を指すそうです。

自然環境を守るため、都市計画などから保護され、自然をそのまま生かしてつくる「自然公園」とはまた異なります。

「都市公園」の場合、休憩所・売店・トイレ・管理事務所・運動場など、園内に設けることができる施設が具体的に示されており、遊び、運動、レクリエーション、イベント、防災等、さまざまな目的に向けて整備されているとのこと。

「都市公園」で幸福感が改善されたのは、自然があるというだけではなく、そうした心地よい賑わいも影響しているのかもしれません。

日本に「都市公園」はどれくらいある?

日本全国の公園の魅力を発信するWEBメディア「PARKFUL」によると、「都市公園」の数は全国で104,099ヶ所。総面積は約121,473ha(ヘクタール)あり、北海道がダントツで13,817ha。2位は兵庫県で6,710ha、3位は東京で5,765haです。

また、「都市公園」の数がもっとも多いのは東京都で、順位は以下の通りになります。

順位 都道府県
1位 東京都 7,949
2位 北海道 7,532
3位 神奈川県 7,312
4位 千葉県 6,313
5位 大阪府 6,167

※参考:PARKFUL|公園をもっと楽しく、もっと身近に。全国11万の公園情報からお気に入りを探そう!|そもそも「都市公園」って? (PARKFULは国交省H25年度末統計データを参考)

こうして数字にしてみると、けっこうな数、そして広さではありませんか? ちなみに都市公園の総面積121,473ha(ヘクタール)は、東京ドーム25,000個分以上になります。記憶をたどってみると、「そういえば、あそこもあったはず」と、意外にその存在を多く思い出せるのではないでしょうか。

「公開空地」も同じような役割?

前出の研究で対象とされたのは「都市公園」ですが、同じような役割をもつパブリックスペースに、「公開空地(オープンスペース)」があります。普段何気なく、一般に開放され、自由に通行できる空間を利用したことのある人は、決して少なくないでしょう。

「公開空地」は、オフィスビルやタワーマンションの周辺、複合施設などにあります。1970年代に日本初の超高層ビル街として建設された、東京・西新宿エリアで取り入れられたのが先駆けなのだそうです。

新宿三井ビルディングの足元に広がるサンクンガーデン(オープン地下道)、「55HIROBA」もそのひとつ。ビル利用者や周辺で働く方々はもちろん、休日にも多くの人が思い思いの時間を過ごしています。東京都品川区の「大森ベルポート」内のようなアトリウムタイプもあります。こちらでは、ストリート・バスケットボール「3×3」の試合が行われることがあります。

一般的な「公開空地」の場合、普段はテーブルやベンチが置かれていますが、定期的にコンサートやその他の催しなどが開かれます。また、「東京ミッドタウン」のような大規模複合施設では、開発面積の約4割が広大な緑地と「公開空地」で構成されており、四季折々のイベントが行われ、人々の憩いの場となっているそう。確かにその役割は、「都市公園」とよく似ています。それならば、同様の効果を生むと考えていいはず。

「都市公園」や「公開空地」を利用したストレス軽減法

仕事日なら、気候がいいときに、お昼休憩を近くの「都市公園」や「公開空地(オープンスペース)」で過ごしてみてはいかがでしょう。ストレスが軽減され、午後の仕事がグンと捗るはずです。

外回りの合間に、ちょっと休憩したり、書類を確認したり、あるいは「都市公園」を横切って目的地に行ったりすることもおすすめです。

「公開空地」の場合、周囲を飲食店が取り囲んでいる場合も多いので、使い勝手がいいのではないでしょうか。昼食と絡めれば、効果を生む20分の滞在時間は、すぐに経過してしまうはずです。

また、「ストレスがたまっているなぁ」と感じるとき、仕事帰りに同僚とちょっと寄り道する際には、ぜひ「公開空地」がある場所を選んでみてください。どの店に入ろうか? とウロウロしている間に、心地よく20分が経過するでしょう。

そして、もちろん気候のいい休日には、「都市公園」のイベントにお出かけください。本腰を入れて「公園に行くぞ!」と意気込まなくても、20分ほどイベントを眺めたり、ちょっとベンチに腰掛けたり、ブラブラ散歩をしたりするだけでも、きっと休み明けの仕事の生産性が、グンと高まるはずです。

もちろん、のんびり読書もおすすめですよ。

***
休憩や会社帰り、休日には、誰もが無料で使える「都市公園」や「公開空地」をうまく利用して、日々のストレスを軽減し、仕事のパフォーマンスを高めてくださいね。

(参考)
UAB – News|Urban parks could make you happier
Taylor & Francis Online|International Journal of Environmental Health Research|Factors associated with changes in subjective well-being immediately after urban park visit
PARKFUL|公園をもっと楽しく、もっと身近に。全国11万の公園情報からお気に入りを探そう!|そもそも「都市公園」って?
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