ミドル・リーダーという言葉をご存知でしょうか。 会社で言えば課長クラスに相当する、いわゆる「中間管理職」のこと。部下と上司の中継として、またはどちらの言い分も分かる板挟みとして、時に想像以上に負担を強いられることもあるミドル・リーダー。
今日は組織マネジメントの研究をご紹介しながら、ミドルリーダーがどんなことをしていくべきなのか考えてみましょう。
ミドルリーダーはつらいよ…
ミドルリーダーと呼ばれる中間管理職。 近年、そのミドルリーダーに焦点を当てた研究が盛んにおこなわれています。それによれば、ミドル・リーダーの負担が大きい理由は、組織の外側との接点となることが多いからなんだそうです。社内で上と下の橋渡しをするだけではなく、外部からの要望やクレームを一手に引き受けながら社内調整を行い要望通りのアウトプットができることを目指す……。 確かにかなり責任が重い仕事ですね。
さらに、ミドルという立場上、「異業種や複数の機能をとりまとめなければならない」「能力や専門性がバラバラな部下を統括しなければいけない」といった社内外での困難な状況も生まれます。ミドルリーダー研究では、そうした状況下でどのような対応が求められるのか注目されているのです。
リクルートの組織行動研究所と早稲田大学の共同研究では、全国の中間管理職200人以上に調査を実施。困難な局面に達した時、どのような対応をとるべきかをまとられています。
大切なのは明確な意思決定、二の手、三の手
専門も能力も、そして立場も様々な人の集まり対立しかねないような状況、ありますよね。 そんな中でリーダーとして意思決定を行う時には、自分の意見を明確に示すことが重要です。対立を避けようと曖昧にしたり、みんなの意見を取り入れようとするばかりでは、方向性が定まらない上に「しっかりしてない、ダメなリーダー」の烙印を押されます。さらに、進めて行く間に色々ズレや予想外のことが生じて、今の手段がベストではなくなってくる可能性も十分あります。
それに対処するために、常に頭の中に「次の一手」を用意しておきましょう。 「次の一手」を用意しておけば、多少ことがうまく進まなくても必要以上に焦ることもありません。「他にも手がある」という安心感が、堂々とした態度となり、周囲からの信頼も高まります。また、社内外あるいは複数の部署にまたがってのプロジェクトであれば、それぞれ立場が異なるため必ず不協和音が生じます。関係者や各部署からのそれぞれの反応を予測して対策を考えておきましょう。
ミドルリーダーに求められること
今までは一プレーヤーとして自分だけが成果を上げていれば良かったのが、ミドルリーダーになった途端「部署全体の数値目標」が自分のノルマとなってのしかかります。 そこで必要になるのが部下のマネジメント能力。「良い営業マンが必ずしも良い営業部長とは限らない」とはよく言われること。部署全体の売り上げを上げるためには、部下の育成が最も重要です。
管理職には主に二種類あります。部下を徹底的に管理したがる場合と、部下を自由に動かすタイプ。 自分自身がスキルが高いと、自分のやり方に絶対的な自信があるため前者になりがち、と言われています。しかし、管理するだけで人は伸びるのでしょうか。また、あなたが成果を出せた方法だったからと言って、他の人も同じ成果が出せる、と言い切れるのでしょうか。
*** 最近はマネジメント研修などを経ることなくいきなりリーダー職に就くことが多いので、戸惑う人が多いのも当然です。中間管理職にフォーカスした、ミドルリーダー研究が盛んに行われているので、慣れないリーダー職で悩んでいる人はまずはぜひこちらの理論から実践してみてください。
参考: 小方真, 谷口真美, and 宮澤俊彦. "これからのミドル・リーダーが直面する 「複雑性」 に関する研究 (F セッション [研究発表])." 経営行動科学学会年次大会: 発表論文集 16 (2013): 161-164. 小方真, and 谷口真美. "これからのミドル・リーダーに求められる役割・機能, 能力に関する研究 (セッション 8 研究発表)." 経営行動科学学会年次大会: 発表論文集 15 (2012): 195-200. キャリアパーク 中間管理職の役割と心得 in source 「中間管理職に求められる役割」