いつも、大変そうなプレゼンや課題を前にするとやる気をなくしてしまう、大一番の前に心が折れる……。どうして自分って、こんなにダメなんだろう。そう思った経験はありませんか? そんな人は、自分の「マインドセット」を疑ってみる必要があるかもしれません。
マインドセットというのは、考え方の基本的な枠組み、個々人の思考の傾向のこと。よく言われるネガティブシンキング、ポジティブシンキングなども、マインドセットにあたります。 このマインドセット、個人のパフォーマンスに大きな影響力を持っているのです。
成長型マインドセットと停滞型マインドセット
アメリカの心理学者キャロル・ドウェック氏によると、世の中には「成長型マインドセット」を持つ人と「停滞型マインドセット」を持つ人がいるそう。ドウェック氏は、この2種類のマインドセットが個人のパフォーマンスに与える影響について検証するため、とある実験をしました。こどもたちに能力以上の難しい課題を与えて、その反応を見るというものです。
成長型マインドセットをもったこどもたちは、挑戦することが楽しい、新しい物を知りたいという欲求を見せました。彼らは、自分たちの能力が「まだ」開発可能であると感じていたのです。 一方、停滞型マインドセットのこどもたちは、みじめだ、最悪だという反応を見せました。この停滞型マインドセットのこどもたちに「もしテストで失敗したらどうしますか?」との質問しました。すると「次のテストの際にはもっと勉強する」と答えた割合より、「カンニングをする」「自分より出来が悪い人を探す」という答えた割合のほうが高い、という結果が出ました。
停滞型マインドセットの人の特徴
停滞型マインドセットは、常に結果を求めたり、求められてしまう環境に置かれている人に多いと言われています。 例えばテストの成績を上げることばかり求められ続けた子供は、短期的承認(賞賛獲得欲求)を抱え続けることになります。その結果、その場で褒められる「今、この時」の報酬ばかりを追い求めるようになり、「そこから先」への視野が持てなくなってしまうのです。 この結果、現在から目標達成までの時間軸を勝手に短く設定する上に、「課題がすごく難しそうだ」「多すぎる」という、最初からネガティブな判断を自ら下し、やる気をなくしてしまうのです。
もしあなたが、冒頭に述べたように大一番の前に心が折れるタイプなら、この停滞型マインドセットを持っている可能性があります。 そうであれば、まずは自分が勝手に時間軸の短くし、そして課題を必要以上に難解である、だからできっこない、と捉えているということを自覚しなくてはいけません。結果について恐れたり、意識する必要はありません。 まずは自分の能力を過大評価するくらいの気持ちで、余裕をもって取り組んでいきましょう。結果は後からついてくるものです。
マインドセットは簡単に変えられる
成長型マインドセットと停滞型マインドセットは、持って生まれた先天的な能力ではありません。いつでも変えることができるものです。方法はカンタン。ちょっと言葉を変えるだけでいいのです。
その方法は……「無理、できない」に『まだ』を足すだけです。「まだ、無理」「まだ、できない」と言い換えるだけ。たったこの一言で、「今はまだできる能力がないだけ。将来はできるようになる」という意味合いに変わりました。 「これからできるようになる」というポジティブな言葉を口にすることで、マインドセット自体も変化していくのです。
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今までできなかったり弱気になってしまっていたのは、あなた自身の能力に問題があったわけではなく、単に停滞型マインドセットが自分を支配していたからかも、と思いませんか? スキルアップや成功にかかせない「成功型マインドセット」を手に入れて、今まで尻込みしていた課題にも果敢に挑戦していきましょう。
参考 コトバンク|マインドセット TED|必ずできる!未来を信じる「脳の力」 キャロル・ドウェックの知能観と学習の動機づけ PRESIDENT Online|必ずできる! うまくいく人の「マインドセット心理学」