私たちには、講演会や目上の方々のお話、あるいはインタビュー記事やテレビなど、ためになる話を見聞きする機会はたくさんあります。しかし、せっかくインプットしたその情報、本当に自分のものになっていますか? 多くの場合はその場で感動して、聞き流して、それだけで終わってしまってはいないでしょうか。 今回は人から話を聞く場面を最大限に活用し、その情報によって自分の将来までも切り開く、とっておきの「聴き方」を紹介します。
アクティブリスニングで成功者の「聴く」技術を身に着ける
「アクティブリスニング」(active listening)をご存じでしょうか。これはカウンセリングにおけるコミュニケーション技法のひとつで、カウンセリングの父である米国の臨床心理学者カール・ロジャースが提唱した、聴くための技術のことです。 日本語でも「聞く」は意識せずとも耳に入ってくる状態、「聴く」はしっかり意識して耳を傾けている状態と使い分けていますが、アクティブリスニングはこの後者の技法の一つです。
アクティブリスニングにおいて、聞き手は相手の言葉をただ聞くだけではなく、話し手と共に感じたり、考えたりするプロセスを共有していきます。そうすることでお互いの距離感は縮まり、話し手はもっと話したいという気持ちになっていきます。世界のVIP1000人以上にインタビューをしてきた谷本有香さんは、アクティブリスニングの目的について下記のように述べています。
相手に気持ちよく話してもらいながら、こちらの考えもさりげなく伝え、信頼関係を築きながら、自分の目標を実現すること
[引用元:ダイヤモンド社書籍オンライン|アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術 世界のトップリーダーたちがさりげなく使っている「人たらし」のスキルとは?]
谷本さんが気づいたのは、世界で成功している人はみんな「聴く技術」に長けているということ。そして、谷本さん自身も自分の「聴く技術」を研鑽し、様々な人へのインタビューを成功させてきたのです。
2種類の「聴く」でアクティブリスニングを成功させる
引用の言葉にもあったように、相手の話を単に聞くだけでなく、それによって「自分の目的を達成する」ことも重要になってきます。そのためにも二種類の「聴く」を心がけてみましょう。 一つ目は受け身の態勢で相手の話に耳を傾ける「聴く」、そしてもう一つは問いかけによって相手の答えを引き出す「聴く」の2つです。これらは、心理学やコーチングで「傾聴」と呼ばれるものです。
傾聴は単に受け身で情報を受け取ることではなく、身振り手振りを交えたり前のめりになって大きく頷くなど、積極的に聴いていく方法です。これにより話し手は、「自分は受け入れられている」と感じて話しやすくなり、普段は言わないような深い話や本音を漏らすようになるのです。
フォローで、アクティブリスニングの効果を最大化する
谷本さんが、アクティブリスニングで得た情報をさらに発展させるために利用しているのが“フォロー”です。このフォローが、相手との一段上の信頼関係の基盤となるのです。フォローというと御礼のお手紙を出すことを思い浮かべるかもしれませんが、谷本さんのフォローは独特で、例えば「自分に宿題を残す」などを挙げています。
「今日のお話で出てきたお店、行ってみます」など、社交辞令的に伝える人は多いでしょう。しかし、谷本さんはこの言葉を自分の宿題として課し、実践、そして感想を相手に伝えるんだそう。こんなことをされて、嬉しくない相手はいないですよね。その次に会う機会があれば、もうぐっと距離が縮まっていることは想像にかたくありません。
これはすぐにでも真似したい方法です。会話に出た本を実際に読んでみたり、話の中で消化しきれなかった部分を自分で調べてみてたりして、話してくれた相手への感謝と共に感想を伝えてみましょう。このようにして築いた信頼関係が、また次のご縁も運んでくれるのです。
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いかがでしたか。アクティブリスニングを実践すれば、その場限りや社交辞令で終わったしまいがちな、セミナーや交流会での出会いがあなたの未来を広げてくれるはず。同じ機会を与えられても、それをいかすことができるか一瞬で過去のものにしてしまうかは、実はあなた自身なのですよ。
引用・参考サイト ダイヤモンド社書籍オンライン|アクティブリスニング なぜかうまくいく人の「聞く」技術 世界のトップリーダーたちがさりげなく使っている「人たらし」のスキルとは? 日本最大のHRネットワーク 日本の人事部|アクティブリスニング INTELLIGENT PARK|経営を支える基礎知識|【第3回】傾聴とアクティブリスニング 人見知りを克服するためのサイト!~コミュニケーション能力を鍛えるために~|アクティブリスニングをマスターして聞き上手になる方法 デジタル大辞泉|傾聴 manapedia|「聞く」と「聴く」の違いと使い分け