「独学で成果を出せない人」4つの致命的原因。重要なのは “何を学ばないか” を決めることだった。

AIやテクノロジーの発展により、学校で教わった知識が時代遅れな “不良資産” にもなりえる。いま、私たちは常に勉強し続けなくてはいけない時代を生きています

そこで必要になってくるのが、自分で勉強を進めていける「独学力」です。しかし独学は、勉強を継続する強制力がなかなか働かないため、途中で挫折してしまいがち。また、何をどう学ぶのかを自ら考える必要があるため、はたして本当に効果が表れるのか不安にもなるものです。

独学が続く人と続かない人。独学で成果を出せる人と出せない人。その違いはどこにあるのでしょうか。以下、なかなかうまくいかない人がやりがちな「間違った独学法」を4つ指摘します。反面教師として、ご自身の独学に役立ててください。

間違った独学法1:明確な目的を持っていない

ただ漠然と「知識を吸収したい」「教養を深めたい」という思いを抱きながら勉強している人も少なくないはず。しかし、これでは長続きしないでしょう。なぜならば、独学を継続させるインセンティブが非常に弱いから。仕事で疲れた、帰りがちょっと遅くなった……こんなときに「今日は勉強しなくてもいいか」と自分に激甘になってしまいます

早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問の野口悠紀雄氏は、次のように述べています。

継続のためには、もっと明確な目的を持つ必要があります。勉強をすることによって将来、大きな所得を得たいのか? 資格を取りたいのか? あるいは、いまの仕事に関する最新の情報を得ることなのか? それとも、自分の経験を多くの人に知らせることなのか? 目的は、明確で具体的なほうがよいのです。イメージとして描けるようなものがよいのです。

(引用元:プレジデント・オンライン|「大人の学び直し」に必要な3つの習慣

「MBAを取得して年収を300万円アップさせよう」「1年後に副業で月20万円稼げるようになろう」「知識を得て、会社での新規プロジェクトを成功させ、出世レースで先んじよう」など、利己的で生々しいものでもかまいません。明確で具体的な目的が、独学で起こりがちな挫折の確率を大きく低めてくれるでしょう

間違った独学法2:関心のない事柄だけを無理に勉強しようとしている

中学高校や大学時代に、嫌いな教科や興味のない分野の勉強がまったく捗らなかったという経験をされた方も多いはず。せっかくの独学で同じことをしようとしても、結局は二の舞を演じてしまいます。

カリフォルニア大学の心理学者であるCharan Ranganath博士は、実験で次のことを明らかにしました。19人の被験者たちにさまざまなクイズを出したところ、より強い知的好奇心を持っている被験者の脳内では多くのドーパミンが分泌されており、学習に関連する脳細胞どうしのつながりが強化されたのです。その結果、正答率も高かったとのこと——ここまでは感覚的にも理解できるでしょう。好きなことや興味があることに関する学習は、たしかに捗りますからね。

しかし、重要なのはここからです。この実験では、好奇心が強い被験者は、好奇心が惹かれる問題と好奇心が惹かれない問題が交互に出された場合、好奇心が惹かれないほうの問題の正答率も上昇するという結果になりました。学習のどこか一部で好奇心を持っているだけで、学習全体が捗るのです。

もちろん場合によっては、関心のない事柄の勉強(例:会社から取得するように命じられた資格など)を強いられることもあるかもしれませんが……自分が強い興味関心を持っている分野の勉強も、日々の独学のなかに織り交ぜてあげると、独学全体の効率も高まることが期待できるでしょう

間違った独学法3:情報を何でも吸収しようとしている

インターネットやスマートフォンの普及により、膨大な情報を簡単に手に入れられるようになりました。書店で分厚い本を購入しなくとも、インターネット上で検索をかければ大量の情報が自分のもとに降りてきます。一見すると独学にとても役立ちそうですが、ここに弊害があると指摘するのは、『知的戦闘力を高める 独学の技法』の著者である山口周氏です。

独学の時間は有限であるにもかかわらず、明らかに必要のない些末な知識を “とりあえず” 集めようとしたり、あっちこっちに独学の範囲を広げたりしてはいませんか? それは費用対効果が非常に低いNG行動です。山口氏は、「現代社会は情報がオーバーフローしている状態になっているため、“インプットの量” ではなく “インプットの密度” を重視するべきだ」と述べています。

独学において大事なのは「入れない情報を決める」という点です。 (中略) つまり、いたずらにインプットを増やすよりも、将来の知的生産につながる「スジのいいインプット」の純度をどれくらい高められるかがポイントとなるわけで、わかりやすくいえば「量よりも密度が重要になる」ということです。 だからこそ「テーマ」を設定し、そのテーマに沿ったインプットを意識することが重要なわけです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|情報氾濫時代に必要なのは、知識より「使いこなす力」

たとえば山口氏は「人文科学と経営科学の交差点で仕事をする」という大きな戦略を立てているため、逆に “政治的ゴシップ” の類いの不要な情報は完全に無視しているのだそう。「何を学ばないのか」を決めるのも重要な作戦なのです

間違った独学法4:時間ができたら勉強しようと思っている

学校のように授業やカリキュラムが決まっていないがゆえ、独学においては自分で勉強時間を用意する必要があります。しかし独学がうまくいかない人の多くは、もしかしたら「空いた時間を勉強に充てよう」と考えてしまっているのかもしれません。それで結局いつまでも時間を確保できないのならば、そもそも時間に対する戦略も変える必要があります。

「いろんな条件が揃ったら勉強する」という考えではダメですね。条件が揃わないことを理由に後回しにして、やらなくなるから。

(引用元:プレジデント・オンライン|厚切りジェイソン「年収2000万の勉強法」

こう指摘するのは、IT企業の副社長を務めながら芸人としても活躍する厚切りジェイソン氏。代わりに、待ち時間や移動時間といった “スキマ時間” に勉強を組み込んでしまったほうがよいと述べています。「30分だったら〇〇をする」「5分だったら△△をする」など、どんなときにどんな勉強をするのかをあらかじめ決めておくのです。

同様に、かつてマイクロソフト日本法人で代表取締役社長を務めていた成毛眞氏は、読書の時間を確保するために、あえてタクシーで通勤していたのだそう。

行き帰りのタクシーのなかでもずっと読んでいますよ。行き帰りタクシーにしているのも、本を読むためです。電車の乗り換えで読書を寸断されるぐらいだったら、5000円払って本を読んでいる時間を1時間取った方が得じゃないですか。毎日5000円、年間200日通勤するとして、たかだか100万円。時間だと、400時間か。400時間も本を読めば、200万円稼ぐのはそんなに難しくないと思うんだけど、みんなやらないんだよね。

(引用元:日経ビジネスオンライン|収入の半分は本に消えた ~インスパイア 成毛眞社長(後編)

独学する時間がないのは、事前に時間を確保していないからです。今の生活のどの時間を独学に充てられるかを、ぜひ考えてみましょう

*** 前出の野口悠紀雄氏は次のように述べています。

独学の大きな利点は、自分の事情に合った勉強ができることです。自分に必要なものだけを重点的に、また、自分の都合のよい時間に学ぶことができます。 (中略) 人間の本質は、勉強にあります。勉強こそ、人間の人間たる所以であり、勉強することは本能的に楽しいのです。「勉強したい」という本能に導かれて行う独学は、大変楽しいもので、おそらく、どんなことよりも楽しいでしょう。

(引用元:プレジデント・オンライン|「大人の学び直し」に必要な3つの習慣

「独学をしよう」という志自体はすばらしいものです。それを無駄にしないべく、ご自身の今の独学法を再考してみてはいかがでしょうか?

(参考) プレジデント・オンライン|大人の独学"三日坊主"を避ける4つの心得 npr|Curiosity: It Helps Us Learn, But Why? ダイヤモンド・オンライン|情報氾濫時代に必要なのは、知識より「使いこなす力」 ダイヤモンド・オンライン|独学には「学ばないこと」を決める戦略が必要だ プレジデント・オンライン|厚切りジェイソン「年収2000万の勉強法」 日経ビジネスオンライン|収入の半分は本に消えた ~インスパイア 成毛眞社長(後編) プレジデント・オンライン|「大人の学び直し」に必要な3つの習慣

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