脳に最高な「早朝勉強」の質をもっと高める3つの工夫。朝に取り組むべきは〇〇だった!

朝に目覚めてからの3時間は、脳が最も効率よく働く「ゴールデンタイム」——こんな話をどこかで耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

上記は、脳科学者である茂木健一郎氏の言葉。茂木氏いわく、朝はたっぷりの睡眠をとって脳がリセットされた状態なのだそう。まさに脳を働かせるのに最適の時間帯なのです。また、夜と違い、残業・飲み会など仕事やプライベートの予定に左右されないのも朝時間のメリット。これらのことから、早起きして早朝勉強に取り組んでいる人も少なくないはずです。

でも、そんな人のなかには「思っているほどの効果が出ないな……」と悩まれている方もいるかもしれませんね。それはもしかしたら、早朝勉強の “本当のコツ” を実践していないことが原因かも。今回は、早朝勉強の質を高め、効果を実感できるようになる3つの工夫をご紹介します。

1. 朝は暗記物よりも「アウトプット」が向いている

勉強のプロセスには、大きく分けて、参考書を読み込んだり何かを暗記したりする「インプット」と、それを書き出したりまとめ直したりする「アウトプット」の2つが存在します。どちらか一方だけを行なえばいいというものではなく、両者のバランスをうまく取ることで記憶定着へとつながっていくのです。

そしてじつは、1日のどのタイミングでインプットの勉強をして、どのタイミングでアウトプットの勉強をするのが効率的なのか、非常に参考になる示唆が脳科学の知見から得られています。脳科学者で東京大学大学院薬学系研究科教授の池谷裕二氏はこう解説しています。

語学の勉強をした後にテストをして、勉強前に比べてどれだけ点数が上がるかを調べた実験があります。もちろん、勉強した直後にテストをすれば点数は上がります。しかし、勉強した後でいつものように睡眠を取ってもらって、翌朝にもう一度テストを行うと、勉強直後のテストよりさらに成績が上がることがわかりました

(中略)

実は睡眠には、脳に蓄えた知識を整理整頓して使える状態にする役割があることがわかっています。知識の量が変わるのではなく、知識の質が変わるわけです。

(引用元:プレジデント・オンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー ※太字は筆者が施した)

つまり、暗記物は就寝前の夜時間に取り組むのがいいということ。では、朝はどんな勉強が向いているのかというと、それがまさに「アウトプット」なのです

池谷氏は「問題に目を通してから眠ると、翌朝にひらめく確率が高い」と述べています。また、税理士であり生活習慣や時間管理に関する本を多く出版している山本憲明氏も、著書『働きながらどんな試験も合格できる!朝1時間勉強法』のなかで、「夜に試験に関する情報を頭に詰め込んでおくと、朝に問題がスラスラ解けるようになる」と書いています。

「早朝勉強の効率が悪い」と感じているのは、単に勉強内容がふさわしくないからかも。暗記物は夜に済ませ、ぜひ朝は、問題演習やまとめノート作成など「アウトプット型の勉強」を進めてみては? ノートの作り方については「勉強ノート術7選! 東大生・京大生おすすめ」をご参照ください。

2. 脳を働かせるための準備を忘れずに。目覚めたら必ず「日光」を浴びよう

せっかくの早朝勉強、頭がどこかぼんやりした状態のまま進めてしまっては、効果が半減してしまいます。できれば、しゃきっと脳を起こしてから始めたいものですよね。自立学習習慣などに重きを置き学習事業を展開している森大輔氏は、朝の勉強の際にすべきことについて、次のように述べています。

まず朝起きたら、軽く体を動かして頭と体をしっかり起こしましょう。朝日を浴びながら出来るとなお良いでしょう。朝日を浴びるとセロトニンという物質が生成され、より脳が活性化されます

(引用元:All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~ ※太字は筆者が施した)

脳を覚醒させる効果のある神経伝達物質セロトニンは、日光を浴びることで分泌が促進されます。例えば、朝起きたらカーテンを開ける、早朝の空気を吸いに外に出るなど、積極的に日の光を浴びるようにしてみてください。脳が働く準備をしてから朝の勉強に取り組むことで、確実に早朝勉強の質を高めることができますよ。

そして同様に、眠りの質も見落としてはなりません。重要なのは、睡眠へと誘う作用のある「メラトニン」。このホルモンが夜にしっかり分泌されないと、寝つきが悪くなったり眠りの質が低下したりするのです。これでは翌朝の勉強にも影響が出てしまいますよね。東邦大学医学部名誉教授であり脳生理学者の有田秀穂氏は、良い睡眠をとるために気をつけるべきこととして次のような点を挙げています。

スマホの画面から発せられるブルーライトを浴びると、眠りへといざなうメラトニンというホルモン(日没以後に合成されます)が壊されるという問題もあります。

せめて、「夕食後はパソコンやスマホを見ない」とするだけでも、効果は大きいと思います。

(引用元:ZUU online|ストレスに強くなる「朝と夜の過ごし方」とは? 有田秀穂(医学博士)

夜と起床直後の過ごし方に気をつけることで、自分の脳の生活リズムをしっかり整え、早朝勉強の時間をより有意義なものにしましょう。

3. 「ポモドーロ・テクニック」で集中力をキープ

早朝に限らず、勉強するにあたっては「どうやって集中力をキープするか」は永遠のテーマであり、誰しもがぶつかる壁ではないでしょうか。集中力に悩む皆さんにおすすめしたいのが「ポモドーロ・テクニック」です。

ポモドーロ・テクニックとは、イタリアの起業家で作家のフランチェスコ・シリロ氏が1992年に考案した時間管理術のこと。作業を短時間で区切り、その後休憩を入れたうえで、再び作業に取りかかる——これを繰り返していく時間管理術です。

このポモドーロ・テクニックでは、25分間の作業+5分間の休憩を “1ポモドーロ” とする時間配分が一般的です。例えば、朝6時から8時まで2時間の勉強時間を確保できる場合、こなせるのは4ポモドーロ。「早朝から2時間も勉強するなんて億劫だ……」と思ってしまいがちな人でも、25分間勉強すれば5分間ゆっくり休憩してもよいと考えれば、だいぶ気が楽になるのではないでしょうか。集中すれば25分という時間は短いですし、その間に四度も休憩が入るので、途中で飽きたりダレたりしてしまうことも防げます。

ただし、早朝という限られた時間であることや、人によっての集中力持続時間が異なることなどを考慮して、1ポモドーロ当たりの作業時間は自分自身と相談しながら決めてよいでしょう。大切なのは1ポモドーロ内でどこまで勉強を進めるかを決め、それを達成できるように努力することです。そうすることで、より集中力が高まりますよ。

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この記事で紹介したような工夫を取り入れることで、早朝勉強の質はぐんと上がります。意識高く朝から勉強に励んでいる人は、ぜひさらなる効率アップを狙っていきましょう。

(参考)
THE21オンライン|脳科学者が勧める「朝時間」の使い方
樺沢紫苑 (2018),『学びを結果に変えるアウトプット大全』,サンクチュアリ出版.
プレジデント・オンライン|「寝る前1時間」は勉強のゴールデンアワー
山本憲明 (2010),『働きながらどんな試験も合格できる!朝1時間勉強法』, 中経出版.
All About|「朝勉強」のススメ~朝は勉強のゴールデンタイム~
ZUU online|ストレスに強くなる「朝と夜の過ごし方」とは? 有田秀穂(医学博士)
リクナビNEXTジャーナル|生産性がグングン上がる!「ポモドーロ・テクニック」って知ってる?
プレジデントオンライン|"締め切り直前"に脅威の集中力が出るワケ

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