目標がいつも “机上の空論” になる人に欠けている2つの視点。

上司から「目標を決めて」と言われてとりあえず決めてみたものの、これが妥当なのかよくわからない。いつも目標を達成できずモヤモヤしている。そもそも、目標を立てることに意味なんてあるのだろうか……? そんな考えが頭のなかでグルグルと回っているビジネスパーソンの方に、

・目標設定の重要性を理解する ・いつも目標を達成できない人に欠けていること ・目標必達のコツ

という「目標必達のために大切なこと」を紹介します。

目標設定の重要性を理解する

実のところ、人間の最終目標は皆同じ。「自分にとっての幸福感、充実感を得ること」です。企業なら一様に「利益を得ること」でしょう。それが、その会社に関わる人々の幸せにつながり、社会に貢献する責任能力を高めるからです。

とてもシンプルかつ不動の最終目標ですが、「充実したい!」「利益を得たい!」という意識だけで、道に迷わない人(組織)はほとんどいません。

そうしたことから1950年代には、経営学者のピーター・ドラッカー氏が「目標による管理」を提唱し、マネジメントブームに火をつけました。上司が部下に自らの業務目標を設定させ、あとは本人の自主性に任せて、進捗や実行に関しては、部下自身が管理していく手法です。

その後ブーム自体は去りましたが、ドラッカー氏の本は読み継がれ、今も多大な影響を世界中のビジネスパーソンに与えています。この「目標による管理」は、本人が主体的を発揮させることから、大きな成果を得られやすいといいます。

いつも目標を達成できない人に欠けていること

とはいえ、目標を設定してみたものの、いつも達成できないと悩む人は少なくありません。その原因として考えられるのは、以下の2つが欠けていることです。

・具体性 ・現実味

この2つがなければ、どんなに目標を立てても、 “机上の空論”になってしまいます。 「デキる男になるぞ」と目標を立て、「よし、そのためにビシバシ仕事しよう」と計画しても、時間だけが過ぎて物事は一向に進みません。しかし、少しだけ踏み込んで「キャリアップしたい」と考えれば、そのために必要な行動が浮かんできます。たとえば「語学を身につける」「資格をとる」などです。

さらに、より実現可能な目標を立てるなら、ジョージ・T・ドラン(George T. Doran)氏が1981年に提唱した、「SMARTの法則」が役立つでしょう。

――「SMARTの法則」とは――

目標という概念において、この法則はドラッカー氏のマネジメントに関連しているとのこと。SMARTとは、以下内容の頭文字をとったものです。

● Specific(特定):より具体的に ● Measurable(測定可能):進歩の指標を定量化 ● Achievable(達成可能):達成可能なゴール ● Realistic(現実的):現実的な方法 ● Time-related(時間関連):期限の設定

より実現可能な目標を立てるための法則なので、「〇」が正で、「×」は誤です。

【Specific(より具体的に)】 〇キャリアップのため、IT系の資格をとる ×上司に認められる

【Measurable(進歩の指標を定量化)】 〇「情報処理技術者試験」に挑戦する ×一生懸命やる

【Achievable(達成可能なゴール)】 〇まずはスキルレベル2の「基本情報技術者試験」に合格する ×スキルレベル4にあたる「システム監査技術者試験」に合格してやる! (※ただし、虚勢ではなく達成が想像できるのであればハードルが高くても「〇」)

【Realistic(現実的な方法)】 〇毎日最低30分は勉強する ×毎日寝ないで勉強する

【Time-related(期限の設定)】 〇今年中に合格する ×できるだけ早いうちに合格する

次に、実現可能な目標を立てて実行していく際に役立つ、コツを3つ紹介します。

目標必達のためのコツ1:時間と場面を決めておく

社会心理学者で、コロンビア大学モチベーション・サイエンス・センター副所長ハイディ・グラント・ハルバーソン(Heidi Grant Halvorson)博士によれば、あらかじめ行動する「時間」「曜日」「場面」などを決めておくといいそう。行動するタイミングを逃さないようにと脳の働きが高まり、成功の確率も約3倍に跳ね上がるのだとか。複数の研究で明らかになっているそうです。

【例】「水曜日だけ20時まで開いているA図書館と、金曜日だけ20時まで開いているB図書館で、毎週会社帰りに閉館まで資格勉強」

目標必達のためのコツ2:進捗状況を正しく把握

ハルバーソン博士いわく、目標達成には、進捗状況を正しく把握することが必要とのこと。どの程度進んだのか、それがうまくいっているのかがわからないと、行動や戦略を実状に合わせて修正することができないからです。面倒だからとそのまま進めてしまうと、結局やり直す羽目になり、時間をムダにすることになるかもしれません。毎日、あるいは週に1回、進捗状況をチェックしましょう。

【例】「資格勉強の3割は進んだ気がする」→「過去問、問題集を解いてみる」→「あまり勉強の効果があらわれていない」→「参考書はこれでいいか・勉強のタイミングはこれでいいか見直す」

目標必達のためのコツ3:「無茶」と「過信」は禁物

どんなに意志力を鍛えても、限界はあるので「無茶」は禁物だとハルバーソン博士はいいます。また、誘惑が多い状況に身を置いてしまうことも「過信」なのだとか。ハルバーソン博士いわく、目標必達のため、すでに十分険しい道を歩んでいるのだから、さらに困難な状況にしないほうがいいとのこと。

【NG例1】「いい感じで勉強が進んでいるから、もうひとつ他の資格勉強もしようかな」 【NG例2】「もはや資格勉強の意志は強靭だから、セール中だし、好きなドラマのDVDを一式を買っといても勉強はサボらないだろう」

*** 「目標必達のために大切なこと」と、そのなかの「目標必達のコツ」を3つ紹介しました。“机上の空論”から離れ、目標を達成し続けるビジネスパーソンになってくださいね。

(参考) DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー|目標達成の極意:行動力が変わる9つのコツ | HBR.ORG翻訳リーダーシップ記事 カオナビ人事用語集|タイムマネジメントとは? コツ、方法、手順、研修例について Wikipedia|SMART criteria Wikipedia|目標による管理

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