「がんばろうと思ってるのになかなか勉強が続けられない」
多くの方が経験している悩みではないでしょうか。いくら継続が大切だと言われてもモチベーションを維持するのってなかなか難しいですよね。私も「今回こそは!」と思いつつ、結局途中で挫折してしまうことがよくありました。今回はそんな悩みを解決する鍵となる教育学の理論について説明したいと思います。
自己効力感
「自己効力感」というワードを聞いたことがあるでしょうか?この言葉は1977年にカナダ人心理学者のバンデューラが社会的学習理論の中で紹介されました。ざっくり言うと、人がある場面で「こうすればうまくいく!自分にはそれができる!」と思うことです。 日本教育工学会論文誌に掲載された論文によると、「自己効力感が高ければ高いほど、学習を持続することができる」のだそうです。 その理由は、「自己効力感が高いと、外発的動機付けをほとんど用いず内発的動機付けをよく用いるから」。ではこの二つの動機づけ、何が違うのでしょうか。
内発的動機付けと外発的動機付け
内発的動機付けというのは、自分の好奇心や関心によってもたらされるもので、外発的動機付けとは、義務や強制、賞罰によってもたらされるものです。たとえば、「なんか数学解くの楽しいかも!もっと難しい問題も解いてみたい」と思えるのが内発的動機付けで、「勉強しないとお母さんにおこられるし」とか、「いい成績とったらおこづかいもらえるからがんばろ!」というのは外発的動機付けです。同じ動機付けでも内発的動機付けを用いると勉強が続けやすくなるのに対して、外発的動機付けを用いると逆にその持続性は下がってしまいます。 つまり、 ①自己効力感が高まる→②内発的動機付けを用いる→③勉強が続く!ということ。 勉強を続かせる秘訣は自己効力感を高めることなんです。では、具体的にどうすれば自己効力感を高めることができるのでしょうか?
どうやったら高まる?
自己効力感を形成する代表的な要因として ・達成体験(自分が成功した体験) ・代理経験(誰かが成功したのを見た経験) ・言語的説得(言葉による励まし) が挙げられます。これらを利用して自己効力感を高めるためのおすすめの方法を3つ紹介します。簡単ですぐできるのでぜひ毎日の生活に取り入れてみてください!
●その日の目標を設定する。 自分が作った目標をしっかりと達成したという経験は何よりも自己効力感につながります。成功を体験するためには、長期的な目標より、ショートステップの目標を設定することが有効です。「今日は英語と数学を3時間ずつ勉強する」といった具体的で、実現可能な目標を毎日決めましょう。「自分ができる」という成功体験が積み重なれば自然と自己効力感が高まります。
●勉強を頑張っている友達と勉強する。 自分には無理、と思っていても友達が成功しているのを見ると、「意外と自分でもできるかも?」と思ったことありませんか?友達が努力し、成功するところを見ることで、自分の自己効力感を高めることができるんです。友達と勉強すれば、わからないことはすぐ聞けたりなどのメリットもあるので一石二鳥です。
●毎朝鏡に向かって「自分はできる!」と言い聞かせる。 言語的説得は、他者からの励ましに限りません。自分で自分を励ましちゃえばいいんです。言葉にすることで信じやすくなります。私は不安になったとき、「前回失敗した原因はちゃんとわかってるし、その対策もしたし・・・」とひたすら自分に言い聞かせていました。うさんくさいと思うかもしれませんが、意外と心を落ち着けることができるのでぜひお試しください。
*** いかがでしたか。子供の頃から「親に褒められたいor怒られたくない」「テストが良かったらこんなご褒美がもらえる!」という外発的動機付けで勉強を頑張ってきた人も多いでしょう。ところがこれでは勉強は持続しないようです。そろそろ勉強自体の魅力を探してみませんか。
参考: gooヘルスケア 自己効力感 Keyword Project+Psychology:心理学事典のブログ [外発的動機づけ(extrinsic motivation)と内発的動機づけ(internal motivation)]
伊藤 崇達 神藤貴昭「自己効力感, 不安, 自己 調整学習方略,学習の持続性に関する因果モデルの検証,認知的側面と動機づ け的側 面の自己調調整学習方略に着目 して」2003,日本教育工学会論文誌