勉強に集中できない、と悩んでいませんか? 勉強に集中できない原因は、学習環境や心身の状態などさまざまです。この記事ではあなたが勉強に集中できない原因を探り、勉強に集中する方法をご紹介します。
勉強に集中できる時間はどれくらい?
勉強に集中できる時間はどれくらいなのでしょうか。脳研究者の池谷裕二教授(東京大学)が、中学1年生10名に60分間の学習をさせ、脳波を計測したところ、勉強を始めてから40分後に「ガンマ波パワー」が大きく低下したそう。池谷教授によると、脳波のパターンの一種「ガンマ波」は集中力と関係しているため、勉強に対する被験者の集中力は40分程度しかもたなかった、ということになります。
皆さんも、勉強中にふと気づけば上の空だった……なんて経験があるはず。勉強への集中力は長く続かないと、自分の体験からもなんとなく想像できるのではないでしょうか。
しかし、勉強への集中力が続くはどうかは心持ちしだい、なのかもしれません。心理学者のベロニカ・ジョブ教授(ドレスデン工科大学)らが2010年に発表した研究では、60人の学生に「人間の意志力には限界があり、使うと消耗する」という記事を読ませてから複雑な課題をやらせ、課題のあとに注意機能を測定するテストを行いました。すると、「意志力の限界」を信じる学生は、複雑な課題のあとに受けたテスト結果が悪化した一方、意志力の限界を信じない学生のテスト結果は変化しなかったそうです。
勉強への集中がどれだけ長く続くかは、あなたしだい。本記事で紹介するさまざまな勉強集中法を、ぜひ実践してみてください。
勉強に集中できない理由
勉強を始めたばかりで集中力が切れた、大事なテスト勉強なのに集中できなくて困っている、という人がいるかもしれません。勉強に集中したいのにできない理由はどこにあるのでしょうか? 勉強への集中が続かない原因はさまざまですが、勉強に集中できない理由のうち、特に気づきにくいものを2つご紹介します。あなたは当てはまっていませんか?
睡眠時間が不足している
勉強に集中できない日は、睡眠が足りていないのかもしれませんね。睡眠時間が不足していると、心身の疲れが溜まったままなので、勉強に集中することができません。当たり前のことのようですが、「寝ている暇があれば集中して勉強しなければ」と自分を追い込んでしまう人は多いのではないでしょうか? 睡眠時間を削って勉強しても集中できず、効率的とはいえません。
米ペンシルベニア大学医学部などの研究チームが行った実験によると、被験者を睡眠時間別に「4時間」「6時間」「8時間」のグループに分けて認知機能などのテストを受けさせたところ、「8時間」のグループが最もミスしなかったのだそう。一方で「4時間」のグループは、徹夜したときと同程度の認知機能しか発揮しなかったそうです。
勉強に集中したいなら、充分な睡眠時間を確保することが欠かせません。忙しくても睡眠時間は削らず、ほかの時間を削りましょう。
不安を抱えている
勉強への集中力が切れたとき、あなたは現在や将来に関する不安を抱えており、頭のなかが不安でいっぱいなのかもしれません。不安やストレスにつきまとわれていると、脳の重要な機能「ワーキングメモリ」の容量が不安で占められ、勉強への集中に割ける余地がなくなってしまいます。ワーキングメモリとは、PCのハードディスクのようなものです。不安を取り除いて、ワーキングメモリの空き容量を増やしましょう。
不安を脳内から追い出すのに効果的な方法は、不安・悩みを言語化して書き出すことです。紙のノートやメモ用のアプリケーションを用意し、自分がとらわれている不安を思い切って言語化してみましょう。不安を直視したくないかもしれませんが、言語化の過程で不安を客観的に考えられるようになり、解決策が見つかる可能性があります。少なくとも、ワーキングメモリは解放されるため、目の前の勉強に集中しやすくなりますよ。
勉強に集中する方法
勉強に集中するため、充分な睡眠をとったり不安を頭から追い出したりしても、まだ勉強への集中力が戻らないこともあるでしょう。勉強に集中するには、いったいどうすればよいのでしょうか。主に心理学的なテクニックを取り入れた、勉強に集中する方法を4つご紹介します。
簡単なことから始める
勉強への集中力を持続する以前に、そもそも勉強を始めるのがおっくうだ……という人もいるかもしれませんね。まずは勉強への取りかかり方からです。
私たち人間のやる気は、脳内で分泌される神経伝達物質「ドーパミン」に左右されます。しかし、ドーパミンを分泌する脳の部位「側坐核」は、実際に行動を起こしているときしか活性化しません。つまり、勉強を始めないかぎり、側坐核はいつまでも「休止状態」であるため、ドーパミンは分泌されず、やる気も出ないのです。
勉強へのやる気を出すのに重要なのは、勉強を「とりあえず始める」こと。まず手をつける内容は、シンプルで簡単なことでかまいません。実践的な心理学を分かりやすく解説しているメンタリストDaiGo氏も、簡単なことから始めると「一定のリズム」が生まれると述べています。
参考書を音読する、単語帳をぱらぱらとめくる、簡単な計算問題を解く、一問一答形式の問題に取り組むなど、「とりあえず勉強を始める」のが効果的です。始めて5分も経つころには、勉強を続けるのが苦痛ではなくなっているはず。
ポモドーロ・テクニックを使う
勉強に集中するコツとして有名なのが、「ポモドーロ・テクニック」。ポモドーロ・テクニックとは、起業家で作家のフランチェスコ・シリロ氏が考案したタイムマネジメントの手法です。「25分間の作業+5分間の休憩」を1セットとし、4セットごとに30分間の休憩を取るというルール。
本記事の冒頭で、人間の集中力は長く続くものではない、とご説明しました。集中状態を長時間維持しづらい以上、勉強時間をほどよく区切って「集中」と「非集中」のメリハリをつけることが大切なのです。
ポモドーロ・テクニックという勉強集中法では、勉強時間が25分と短めに設定されています。たったの25分なら、勉強への集中力が続きそうですね。適度に休憩を挟むことで疲れが解消され、次の25分間も集中力を取り戻した状態で勉強に臨むことができます。「25分間でどれくらい進められるか」という意識することも、勉強に対する集中力の維持に貢献しそうです。
前述の池谷教授が中学生を対象に行なった実験では、15分の勉強時間の合間に休憩を挟んで、計45分間勉強に取り組んだグループは、休憩によって「ガンマ波パワー」が回復したために集中して勉強できたそう。「短時間学習+休憩」は、勉強に効果的な集中方法なのですね。
「ツァイガルニク効果」を利用する
勉強に集中する方法としては、休憩に入るとき、あえて「キリの悪いタイミング」で中断することもおすすめ。「今やっているページの問題を全部終えたら」「この章を読み終わってから」というキリのよいタイミングではなく、途中で切り上げるのです。中途半端にやめると、やめる直前まで取り組んでいた勉強内容が強く頭に残るため、休憩を挟んだらすぐに勉強を再開したくなるでしょう。
中断したタスクのほうが頭に残りやすい傾向は、心理学で「ツァイガルニク効果」と呼ばれています。すっかり終わった物事よりも、途中でやめざるをえなかったことのほうが気になってしまう経験、皆さんにもありますよね。このツァイガルニク効果を勉強への集中に役立てましょう。
ツァイガルニク効果は、上で紹介したポモドーロ・テクニックともうまく組み合わせられそうですね。勉強は内容ではなく時間で区切れば、集中しやすくなりますよ。
「フロー状態」を誘発させる
勉強への集中力をアップさせるには、取り組む勉強内容の難易度も考慮してください。米国の心理学者であるミハイ・チクセントミハイ氏が提唱した「フロー」という状態を知っていますか?
フローとは、人間が極度に集中している状態。疲労を感じず、状況を楽しみ、極めて優れたパフォーマンスを発揮することができます。フロー状態で勉強に取り組めたら、辛いはずのテスト勉強も楽しみつつサクサク進められることでしょう。
フロー状態に入るための条件として挙げられているのは「適切な難易度設定」です。つまり、自分の能力を少し超える「背伸びすればなんとか達成できる」程度の難易度が適切なのだとか。内容が簡単すぎてはやる気が出ませんし、あまりに難しすぎても、嫌になってしまいますよね。
今の自分のレベルより少し難しい問題に取り組むことで、フロー状態に入れるかもしれません。勉強への集中力を高めるため、ぜひ試してみてください。
勉強に集中できる音楽
勉強に集中するには、音楽の力を借りるという方法もあります。音楽が勉強への集中に役立つ理由と、勉強に集中できるおすすめの音楽をご紹介します。
音楽で集中できる理由
音楽が勉強への集中に役立つのには、ドーパミンが関係しています。好きな音楽を聞くとドーパミンが分泌され、ドーパミンは「側坐核(そくざかく)」という脳の部位に到達します。すると側坐核は興奮状態になり、やる気・集中力が生まれる、という仕組み。つまり、勉強に集中したいときは好きな音楽をBGMにすればよいのです。
しかし、好きな音楽なら何でも勉強への集中に役立つというわけではありません。音楽によってドーパミンが過剰に分泌されると、落ち着きを失ってしまうためです。また、歌詞のついている曲を聞くと、言語に関わる脳の部位「言語中枢」が、勉強の内容ではなく歌詞を理解するのに使われてしまうため、音楽が勉強への集中を妨げてしまいます。
なので、勉強に集中したいときは、ドーパミンを分泌させすぎないような落ち着いた音楽、しかも歌詞のない音楽を選びましょう。クラシック音楽や、ジャズ、アンビエントなどです。歌詞がついていても理解できない言語であれば言語中枢が機能しにくいので、洋楽でもOKですね。
環境音
勉強に集中したいときに利用できる音は、歌曲だけではありません。たとえば図書館などの静かすぎる場所で読書や勉強をしていて、妙に落ち着かない気分になったことはありませんか? 人間は、静かすぎる場所よりも、適度な環境音が発生する場所のほうが集中しやすいようです。
イリノイ大学でマーケティングなどを教えるラヴィ・メータ教授によると、創造的パフォーマンスが高まりやすいのは、静かすぎず騒がしすぎない、70デシベル前後の環境。70デシベルは、カフェ程度の適度な騒がしさです。雨音などの環境音のように、邪魔にならない程度の雑音も該当するそう。
実際にカフェに行かなくとも、カフェで録音された環境音はYouTubeに投稿されているので、勉強に集中するのに利用することができます。カフェの環境音を再生できるWebサイト「Coffitivity」や、雨音を再生できるWebサイト/アプリケーション(iOS/Android)の「Rainy Mood」なども利用してみてください。70デシベル程度の環境音は自宅にいながら無料で再現することができます。集中して勉強したいとき、雑音や環境音を取り入れてみてはいかがでしょうか?
勉強に集中できる食べ物・飲み物
食べ物・お菓子
勉強に集中したいなら、食べ物・お菓子の力を借りる方法もあります。勉強への集中におすすめしたいのが、「GABA(gamma-aminobutyric acid、ガンマアミノ酪酸)」が含まれている食品。GABAには脳の血流量を増加させ、脳を活性化させる働きがあります。
GABAは発芽玄米やジャガイモに多く含まれています。チョコレート製品の名称としても有名ですよね。普段の食事や間食などで、GABAを多く含む食べ物を選ぶようにすれば、勉強に集中しやすくなりそうです。
飲み物
勉強に集中しやすくなる飲み物、というと、コーヒーや紅茶などのカフェイン含有飲料を想像するかもしれませんね。もちろん、カフェインは勉強への集中力を向上させるのに効果的です。興奮作用があるため、「眠くて勉強に集中できない」という状況なら最適。
しかし、勉強に集中するためあえてオススメしたい飲み物は「水」。心理学者のカロライン・エドモンズ教授(イースト・ロンドン大学)らが2013年に発表した論文によると、37人の被験者に対し、認知テストをやらせる前に500mlの水を与えたところ、水を飲まなかった場合よりもテストにおける反応速度が速かったそう。水分を充分に摂取しているかどうかと認知機能には関係があるようです。
勉強に集中したかったら、とりあえず水を飲んでください。適度な水分補給は、心身の健康を維持するにも、集中して勉強するにも欠かせないのです。
勉強に集中できる部屋
勉強に集中したいなら、部屋の環境を整えることも重要です。勉強場所として最も一般的なのは、やはり自分の部屋でしょう。多くの時間を過ごすぶん、自室を勉強に集中しやすい最適な環境に整えたいものですよね。
机
勉強に集中するのに大事なのは机の状態です。あなたの机の上は、勉強に集中できるようきれいに片づいていますか? 本や参考書が積み上げられていたり、マンガや飾り物など、勉強への集中を妨げる余計なものが置かれていませんか?
たくさんのものが視界に入っていると人間はストレスを感じ、集中力が低下してしまいます。机の上にゴミやホコリを溜めないのはもちろんのこと、学習机に備えつけの本棚にマンガを置いたり、卓上に小物を飾ったりするのは、勉強に集中するという観点から好ましくありません。机に向かって座ったとき、集中しやすいよう、勉強に関係のあるものしか目に入らないようにしましょう。
照明
勉強に集中するには、部屋の照明を調整することも大事です。電機メーカーのパナソニックによれば、照明を工夫して「没入感」や「覚醒度」を向上させることによって、集中力が高まるそう。
そして心理学者の多湖輝氏によると、部屋全体の照明は暗くして、手元の照明だけ明るくするのが効果的なのだそう。手元に光を集めることで、意識も手元に向かいやすいとのこと。
部屋に色々なものが飾られていたり散乱したりしていて、気を取られてしまいやすい場合は、特に有効です。勉強に集中するには、天井の照明は暗め、デスクライトを明るめにしましょう。
勉強に集中できる場所
勉強に集中できる場所は、自室だけではありません。自宅の部屋でひとりで勉強していると「誰にも見られていない」わけですが、他人の視線がないことは勉強への集中というポイントにおいてメリットでもデメリットでもあります。誰にも監視されていないことで勉強に対する集中力が弱まり、勉強の途中でマンガを読みはじめたり寝てしまったりした経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
自分の部屋で勉強に集中できないときは、勉強に飽きてしまったのかもしれません。能力開発の第一人者とされる古市幸雄氏は、著書『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』の中で「『勉強に飽きる』というのは、脳からの重要なサイン」だと述べています。「これ以上情報を詰め込んでも、処理できないよ」と脳が主張しているのです。自室で勉強に集中できなくなったら、場所を変えてみてはいかがですか?
場所を変えてみる
別の場所での学習は効果的だ、と示唆する実験があります。記憶や認識を研究しているスティーヴン・スミス教授(テキサスA&M大学)は、16人の学生を2つのグループに分け、40個の単語を2回のセッションで覚えさせました。一方のグループは両方のセッションを同じ部屋で行い、もう一方のグループはセッションごとに部屋を変更しました。そしてセッション終了から3時間後、両方のグループに覚えている単語を書き出させてみたところ、同じ部屋で暗記したグループが覚えていた単語の平均は15.9個、違う部屋で暗記したグループだと24.4個だったのです。暗記する環境を変えると、より記憶に定着しやすかったというわけ。
環境を変えたほうが暗記の成績がよかったことについて、スミス教授は仮説を立てました。覚えようとした単語の記憶は環境の記憶とつながっており、環境の記憶が2種類あったほうが単語を思い出す際の手がかりが多いため、単語を多く思い出せた、という仮説です。
勉強場所を変えることは、集中力や記憶力の向上に役立ちそうです。では、普段と場所を変えようと思ったら、どこで勉強するのがよいのでしょうか。いくつかご紹介していきましょう。
勉強に集中できる場所4選
図書館
図書館のメリットは、静かで、無料で利用できること。周囲は読書や勉強をしている人ばかりなので、頑張っている人たちを見て自分も勉強の意欲が刺激されるかもしれません。自習室として勉強専用の部屋が設けられていることもあるので、図書館は集中して勉強する環境として申し分ないでしょう。
カフェ
カフェには適度な雑音があるため、少しくらいなら声を出しても周囲の迷惑になりません。暗記のために小さな声で読み上げながら勉強をしたいときに利用するのはいかがでしょう。コーヒーを注文すれば、カフェインの効果で眠気を遠ざけることができます。さらに、他人の視線を感じることで適度な緊張感が生じ、集中して勉強できますね。
リビング
家族と一緒に住んでいるのであれば、自宅のリビングで勉強するのもおすすめです。家族の視線がよい意味でプレッシャーとなり、ほどよい緊張感を持って勉強に集中することができますよ。
リビングではテレビの音声や家族の会話などが気になるかもしれませんが、脳科学者の茂木健一郎氏は「邪魔なノイズがある居間で勉強することで、前頭葉の集中回路に負荷をかけて鍛えることができる」と述べています。前頭葉とは、思考や注意を司る脳の部位です。リビングで集中して勉強できるようになれば、どんな場所でも集中できるかもしれませんね。
有料自習室
有料自習室も、集中して勉強するのにふさわしい場所です。周囲は熱心に勉強している人ばかりですし、「せっかく高いお金を払ったのだから」という意識が働いて、時間と場所を有効に活用しようと思えるはず。たまには、勉強のために整えられた特別な環境で勉強してみませんか。
勉強場所については、「おすすめ勉強場所を9個まとめてみた。社会人・学生のための『集中環境』の見つけ方。」もご覧ください。
勉強に集中しやすい色
勉強に集中するため、色の力を借りるのも有効です。勉強に集中しやすい色とは何でしょうか?
答えは、青。生体医工学を専門とする野村収作准教授(長岡技術科学大学)は、赤色・青色・無色透明という3種類の色眼鏡を被験者23人に着用させて30分間の計算課題を行なわせました。眼鏡のレンズの色によって成績は変わらなかったそうですが、青の色眼鏡だと課題に集中できたと感じた被験者が有意に多かったそうです。
また実験では、青の色眼鏡をかけていると、課題遂行中の急性ストレス反応が抑制されたそう。つまり、青色は人間に集中力を感じさせ、ストレスを軽減する効果があったのですね。
青色の色眼鏡をかけたまま勉強するのは非現実的だとしても、部屋のカーテンを青色に変えたり、勉強中の水分補給に青色のマグカップを使ったりなど、積極的に青色を取り入れてみましょう。青空が見える場所で勉強するのも、集中力の向上に寄与するかもしれません。
勉強への集中に役立つアロマ
勉強に集中するのに、アロマ(香り)が役立つことも。公益社団法人・日本アロマ環境協会理事長の熊谷千津氏らが2015年に発表した論文によると、小学6年生38名にペパーミント精油およびオレンジスイート精油を嗅がせたあとで百ます計算をさせたところ、計算ミスがペパーミントの場合で23.8%、オレンジスイートの場合で27.3%減少したそう。精油の香りと集中力には関連があるようですね。
アロマを勉強に利用するなら、アロマディフューザー(精油の香りを室内に拡散させる器具)を用意したり、精油を垂らしたハンカチを机の上に置いたりといった方法があります。好きなアロマを選び、集中して勉強に取り組みましょう。
勉強への集中とスマホの関係
勉強に集中するには、スマホを遠ざけることも大事。皆さんご存知のように、スマートフォンは勉強への集中を大いに妨げかねません。
認知機能などを研究するエイドリアン・ウォード助教授(テキサス大学オースティン校)らが2017年に発表した論文によると、スマートフォンの置き場所と認知機能には関係があります。実験では、548人の大学院生に、机の上・ポケット/カバンの中・別の部屋のいずれかにスマートフォンを置かせて認知機能を測るテストを行いました。その結果、スマートフォンを別の部屋に置いた人、ポケット/カバンに入れた人、机の上に置いた人の順にテストの成績がよかったそう。つまり、スマートフォンの存在を近くに感じている人ほど、成績が悪化したのです。
私たちは無意識のうちにスマートフォンの存在を気にしているようです。勉強中はスマートフォンの電源を切るだけでなく、スマホを遠いところに置き、スマホの存在を忘れ去りましょう。
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勉強に集中する方法をご紹介しました。あなたが勉強に集中できなかった原因を発見できましたか? 解決法は見つかったでしょうか。本記事に書かれていることをさっそく実践し、集中して勉強に取り組んでください。
(参考)
StudyHacker|アロマで集中力と記憶力アップ! 京大生オススメ『アロマ勉強法』
StudyHacker|仕事・勉強に集中できる音楽を選ぶ秘訣
StudyHacker|フロー状態で勉強が効果的? コツは “ちょっと高め” の目標設定
StudyHacker|おすすめ勉強場所を9個まとめてみた。社会人・学生のための「集中環境」の見つけ方。
StudyHacker|「やる気」なんか甘え。東大生が教える、やる気がなくても勉強をスタートする方法。
StudyHacker|ポモドーロ・テクニック
StudyHacker|「脳の活性化」の方法を徹底的に考えてみた。効果的な食べ物は、みんな知っている〇〇だった。
StudyHacker|寝る時間がない=仕事ができない!? 寝不足は「できる人」が持つ5大能力を奪う。——友野なお『できる大人の「やすみかた」』第4回
StudyHacker|あなたの集中力を奪う2つの “身近な” 悪習慣。今すぐ脳を救え!
StudyHackerこどもまなび☆ラボ|スキナーの「プログラム学習」まとめ。意外に知られていない基本知識
Smith, Steven and Arthur Glenberg. (1978), "Environmental context and human memory," Memory & Cognition, Vol. 6 (4), pp. 342-353.
Job, Veronika, Carol S. Dweck, and Gregory M. Walton. (2010), "Ego Depletion—Is It All in Your Head? Implicit Theories About Willpower Affect Self-Regulation," Psychological Science, Vol. 21 (11), pp. 1686-93.
Daily Mail Online|Having the radio on at work actually makes people MORE productive - background noise stimulates the mind
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J-STAGE|小学生の計算力と気分に与える精油の影響
朝日新聞デジタル|勉強時間は短い方が好成績?
神戸心理カウンセリングオフィス|脳科学から見た「やる気」の出し方
古市幸雄 (2007), 『「1日30分」を続けなさい!人生勝利の勉強法55』, マガジンハウス.
中島孝志 (2014), 『できる人はなぜ「集中力」がもの凄いのか?』, ゴマブックス株式会社.
メンタリストDaiGo (2016), 『自分を操る超集中力』, かんき出版.
多湖輝 (2014), 『多湖 輝先生の合格の心理学』, ゴマブックス.
ティナ・シーリグ著, 高遠裕子訳 (2016), 『スタンフォード大学 夢をかなえる集中講義』, CCCメディアハウス.
Coffitivity
Rainy Mood
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