先が見えない、何をしたらいいのかわからない。
社会人、学生、主婦、どんな人にもあるだろう。少年マンガの主人公のように、一度決めたらすぐ行動、己の道は絶対譲らない…なんて言えたらどんなに格好いいことか。
でも現実の世界には、そんな人間はいない。あなたが悩むのは、決してあなたの意思が弱いからではない。あなたが恐る恐る下した決断も、決して間違ってはいない。
悩めるあなたの背中を押せたら、幸いだ。
ヒトは「悩むサル」である
「悩み」という状態を分析してみよう。 悩み、それは高度な行為だ。意中の人をデートに誘うか、否か。会社から独立するべきか、否か。
この能力は、ヒトにしかないものだと言われている。 大きな脳みそを手に入れた、我々ホモサピエンス。自分の行動に思いをはせ、悩むことはヒトに生まれた以上、誰しも経験するものだ。
そこに意思の弱さは関係ない。そういう脳を持って生まれてしまった以上、仕方のないことなのだ。悩みが全くないヒトなんて、ただのサルと何も変わらないのだから。
悩んだ時は、落ち着いて自分を見つめてみよう。「悩み」とは自分の考えに捕まった状態。そこから一歩引いて自分を見つめる「メタ認知」が必要だ。これは脳科学用語で「自分の思考を思考する」という意味。
他人に話したり、日記に書いたりするのが典型的な例だ。くよくよと考え続けるのではなく、とにかく行動してみることが必要なのかもしれない。
(参考:脳科学事典|メタ認知 )
人と違っても大丈夫。この世の中は「弱肉強食」ではない
自分の決断に自信を持てない人も多い。人と違ったり、周りから反対されたり。そのせいでくじけてしまった人は、どのくらいいるだろう。
でも、そんなことを気にするは必要ない。 それはあなたが下した、あなただけの決断だからだ。
人はよく「弱肉強食」という言葉を使う。自然界では強いものが生き残り、弱いものが淘汰されていくのだ、と。そういう人は決まって言う。人間だって同じ。間違った考えや少数意見も、結局淘汰される運命にある……。
はっきり言おう。それは間違いだ。 強い者が生き残るのではない。最もよく適応した者が生き残るのだ。
これを生物学では「適者生存」と呼ぶ。例えば、そうだ、ナメクジを思い出してほしい。正直言って彼らは弱い。湿った草陰で、ひっそり隠れて生きている。それでも、彼らはこの地球上で生き延びた勝者なのだ。
それは、彼らが独自の生き方を最大限発展させたから。はるか昔、巻貝だった彼らの祖先は、意を決して地上へと上がった。その独自の発展が、弱くても自然界に適応し、彼らを生かしたのだ。
一方で百獣の王ライオンも、巨大な体を誇るゾウも、絶滅の危機に瀕している。強かろうが弱かろうが関係ない。適応できるかできないか。それだけが生き残りを決める基準と言える。
(参考:吉村仁|強い者は生き残れない -環境から考える新しい進化論- 新潮選書 2009)
あなたの決断は、少数意見かもしれない。常識に反した「弱い」ものかもしれない。
でも、だからと言ってくじけてはいけない。それは同時に、あなただけが選ぶ「適した」ものかもしれないからだ。弱くても、諦めてはいけない。
***
悩んで悩んで、その結果あなたが下したその選択は、きっとあなたが望んでいたものだ。
悩んだ時、迷った時。とりあえず一歩前に踏み出してみてほしい。 そのことがきっと、あなたを強くするはずだ。
参考 脳科学事典|メタ認知
強い者は生き残れない -環境から考える新しい進化論|吉村仁|新潮選書 2009

