大量に情報が飛び交う中、気を抜くとすぐに情報に踊らされて何かを間違って認識してしまいます。また、中には敢えて誤解をさせるような表現の仕方で情報の受け手を誘導するようなこともあります。
それに対応するために「メディアリテラシー」という力、つまり、その情報が正しいのかどうか見極める力が重要であるとされています。出される情報がそもそも誤りである場合には、どうしようもないこともありますが、ロジックにごまかしや誤りがないかどうかは論理的な思考で判断することができます。
今回は、そんな力の基礎、相関関係と因果関係について紹介します。
因果関係と相関関係とは
いんがかんけい【因果関係】 いくつかの事柄の関係において,一方が原因で他方が結果であるというつながりのあること。
Aという現象が起きたことでBという現象が起きる時、AとBは因果関係にあると言います。 A(原因)⇒B(結果)と一方通行の関係。
そうかんかんけい【相関関係】 ①一方が変われば他方も変わるというような関係。相関的な関係。
相関関係は2つの現象に関係性があることを示します。 しかし、関係性はあるものの因果関係(原因と結果)であるとは限りません。
例えば、夏に気温が上昇するとプールの客は増え、アイスの売り上げが伸びます。 逆に気温が下がるとプールは客が減り、アイスの売り上げも落ちます。 この時、気温とプールの客数、気温とアイスの売り上げは因果関係にあります。 一方、プールの客数とアイスの売り上げは相関関係にありますが、因果関係にはありません。 プールの客数が原因でアイスの売り上げが変動したわけではありませんから。
因果関係と相関関係の違いについてはよろしいでしょうか? このように似ているようで微妙に異なる2つですが、これを混同してしまうことでどのような弊害が起きるのか、次に紹介したいと思います。
疑似的な因果関係に騙される
例えば、「1日1杯のワインで寿命が延びる!」という記事があり、「ワインを毎日1杯飲んでいた人は全く飲まない人やたくさん飲む人に比べて長生きの人が多い。だからワインを1日1杯飲むと寿命が延びる」と紹介されていたとします。 この記事の内容は正しいでしょうか? 確かにこの時、ワインを飲む量と人の寿命には相関関係にありますが、因果関係にあるとは言えません。 何故なら、「毎日ワインを飲む余裕がある人はストレスが少なかった」「1杯で抑えるくらいに健康意識が高かった」など、寿命が延びる要因が他にあるかもしれないからです。 そうなると、この記事を信じて毎日ワインを飲んでも、長生きどころか無理したせいで早死なんてこともありえますよね。 こういった疑似的な因果関係を根拠したものは数多く存在します。
正しい情報を見抜くためのコツ
単なる相関関係が因果関係にすり替わっていることがあります。 そこに飛び石のように存在するはずの説明を考えて、矛盾が生じないかどうかが判断基準になります。
例えば、有名な「風が吹けば桶屋が儲かる」という論理では 大風で土ぼこりが立つ →土ぼこりが目に入って、盲人が増える →盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来) →三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される →ネコが減ればネズミが増える →ネズミは桶をかじる →桶の需要が増え桶屋が儲かる といったような5個の飛び石を通じて因果関係を説明しています。(もっとも、このことわざは無理やりですが)
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いかがでしょうか。 単なる相関関係を因果関係だと見誤ってしまうことはよくあることです。情報の解釈力は正しい決断のベースとなる重要な能力。入り口の情報が間違っていれば、効果的な決定は難しくなります。
論理の力を磨いて、情報を見極めていきましょう。