ネガティブ思考を脱却せよ! 心を軽くするための2つの心理学的方法

仕事でミスをしてしまったあと、「切り替えよう」「思い出さないようにしよう」と思っても、なかなか抜け出せなかったという経験はありませんか。もしくは、少し前に失敗してしまったことが思い出されてしまい、集中できないという経験もあるかもしれません。

切り替えようとしても、ふとしたときに思い出してしまうのは精神的にもよくありませんし、仕事も捗りません。そこで今回は、ミスを早く消化して集中力を取り戻す方法をお送りしていきます。

失敗を意識してしまう原因

スピーチのときにうまく話そうとすると、逆にうまく話せなくなってしまったという経験はありませんか。これは、意識しないようにすればするほど、逆に頭の中に残ってしまう「失敗経験」によるものです。過去に失敗してしまった経験のせいで「今回もうまくいかないのではないか」と思いこんでしまい、本来の自分の力が出せなくなってしまうのです。

また、時間に余裕ができたときなどは特に、過去の失敗や不運を思い出してしまい、その記憶がさらに脳へとインプットされていくため、悪いループにはまってしまうという場合もあります。

まずは失敗体験などを受け入れ、次につなげるという考えができるようになるのが理想ですね。

ネガティブ思考から脱却するための「ABCDE理論」

では、失敗経験を受け入れるにはどうすればいいのでしょうか。そのためには、失敗を考えないようにするのではなく、失敗と向きあう時間を設ければよいのです。

特に、物事の悪い面ばかりに着目してしまいがちな方は、臨床心理学の研究を行なっている米国のアルバート・エリス博士が提唱した認知療法のひとつ、ABCDE理論を活用することをおすすめします。物事を悪い面だけでなく、多面的にとらえられるようになりますよ。

「ABCDE」とは、それぞれ次のような意味を示します。

A:Activating event(出来事や外部からの刺激)→ 現実で起きたことであり、変えられない。

B:Belief(受け止め方、認知・解釈)→ 受け止め方は変えることができる。合理的なよい思考を目指す。考え方は、RB:Rational belief(合理的なよい思考)とIB:Irrational belief(非合理的な悪い思考)に分けられる。

C:Consequence(結果)→ B次第でよい方向にも悪い方向にも変わる。

D:Dispute(反論)→ 自分の思考をストレスを生みにくいよい思考へと切り替えるためにある。自分との対話・自問自答。Dialogue(自問自答)とすることもある。

E:Effect(効果や影響)→ Dによって得られる効果や影響。

つまり、受け止め方を変えることが自分の思考の分岐点であるということですね。実際に、上司に怒られてしまった場合を考えてみましょう。

A:上司に怒られた B:自分には能力がないのではないか、優れた結果を残せないのではないか C:職場に行きづらくなった、やる気が低下した D:上司が常に正確に仕事の評価をしてくれているわけではない。また、タイミングが悪かったかもしれないし、他の人が自分の仕事をきちんと評価してくれる可能性がある E:必要以上に他人の意見や評価に振り回される必要はなく、自己嫌悪に陥る必要はないという考え方ができるようになる

Bでネガティブな認知、解釈をしてしまったことで、Cで悪いループに陥りそうになります。そこで、DでBの認知や解釈をよいものにしていくのです。

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心を軽くする「エモーショナル・ディスクロージャー」

ABCDE理論と併せて行ないたいのが、エモーショナル・ディスクロージャーです。

誰かに愚痴などを聞いてもらってスッキリした、心が軽くなったという経験はありませんか。これが、自分を苦しめる体験を話したり書いたりすることで、強い感情を表現して気持ちを整理するというテクニック、エモーショナル・ディスクロージャーです。他人にネガティブな感情を吐き出すのではなく、ノートに書き出す方法でもかまいません。

エモーショナル・ディスクロージャーの実践例でも効果があがっています。アメリカで、1日20分、怒りや不満を口にしたグループAとそうでないグループBを比較した実験が行なわれました。その結果、1週間後の気持ちの明るさや安定感がグループAのほうが高かったのです。また、数ヵ月後に同グループの再就職率を比較したところ、グループAは53%、グループBでは14%であったという結果もあります。

また、心理学者ラムネイは、ストレス性の不眠で悩む大学生たちに、感情を吐き出す日記をつけさせる実験を行ないました。その結果、日記をつけなかった人たちよりその学期の成績がアップしたという結果が出たのです。

普段から感情を出したり意識したりすることで、かえって精神的にストレスを解消することにつながるということですね。夕食後の20分ほどを家族と話す時間にしたり、友人と話す機会を作ったり、寝る前に日記に書き出すなどして、感情を表すという場面を作るとよいでしょう。

(参考) 日経Gooday|気付けばネガティブ思考 脱却に役立つABCDE理論って NCBI|The Effects of Different Methods of Emotional Disclosure: Differentiating Post-Traumatic Growth from Stress Symptoms WISDOM|ABCDE理論 日経Gooday|物事を後ろ向きに考えてしまう癖を直したい

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