メンバーをうまくマネジメントして成果をあげる “優れたリーダー” と、チームを全然まとめられず結果を残せない “ダメなリーダー” には、どんな違いがあるのでしょうか。

時代や世代の移り変わりに伴い、求められる上司像も刻々と変化していきます。昔は正解とされていた行動も、今では時代遅れになってしまっている可能性だってあるのです。

上司としてのキャリアが長い方も、上司になったばかりで戸惑い気味な方も、これから人の上に立っていく若手ビジネスパーソンの方も、“デキる上司” と “デキない上司” の明暗を分ける、3つの「上司のNGな行動」を再確認してみましょう

NG行動1:部下に「上司の背中を見て学ぶ」ことを強要する

「俺の(私の)背中を見ながら学べ」と部下に強いる上司は、今の時代にはそぐわないようです人材教育コンサルタントとして活躍する、グローバルナレッジネットワーク株式会社(現:トレノケート株式会社)の田中淳子氏は、昔と今との “ビジネスのスピード” 違いを踏まえ、「仕事は盗むもの」という時代は終わったと述べています。

私が若手だった80年代から90年代初頭に若手として過ごした人の上司像は、「それほど親切に仕事を教えてくれなかった」「デキる先輩に仕事の相談に行こうものなら『人に聞くなんて10年早い!』と一喝された」というようなものではないだろうか。「仕事は盗んで覚えるもの。まずは自分なりに勉強してみろ!」と言われた人も大勢いるはずだ。

しかし、時代は変わった。今、そんなことを言っていたら、部下が育たないどころか会社が立ちゆかなくなるだろう。

(引用元:ITmedia|上司の背中を見たら人は育つのか?

田中氏は、2~30年前であれば「若手は5年で一人前になれればいい」と悠長なことを言っていられたものの、現在はすぐに即戦力になることを会社が求める時代に変わったため、部下を放置して自然と成長するのを待っているほどの余裕はないと指摘しています。

また、上司が何も語らず “あうん頼み” になってしまっている組織は危険だと語るのは、慶應義塾大学大学院教授の清水勝彦氏です。

当たり前のことですが、相手が何を考えているかわかっていなければコミュニケーションは成立しません。

(中略)20年連れ添った夫婦でも「あうんの呼吸」はそう簡単に行くものではありません。ましてや、組織の上司、部下においておやです。そこにあるのは 「大体こういうことだろう」という推定であり、そうした推定には必ずミスが何%(あるいは何十%!)かは含まれていますので、組織が大きくなればなるほ ど、意味の共有化は希薄にならざるを得ません。

したがって、「あうん」頼みの組織では、お互いに共有した「つもり」でも、実は個人や部門が十分に統合されず、組織力もうまく発揮できない。

(引用元:日経ビジネスオンライン|部下はなぜ上司の言うことが「わからない」のか

【結論】
自分の背中を見て部下が何かを感じ取ることを期待するのは時代に合わない。教えるべきこと、伝えるべきことは、面倒くさがらず丁寧に伝達するべし。

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NG行動2:自分の弱みを隠し、完全無欠な上司を演じようとする

「部下の前では完璧な上司でありたい」という願望から「部下に弱みを見せたら負けだ」と考えてしまう上司も、これからの時代では不適格かもしれません。

「自分の本音を言ったら、見下される」と思っている上司は多いです。「部下に弱みを見せたら負けですよ」という管理職にもよく出会います。上司と部下で、勝ち負けの勝負をしているのです。同じ組織のメンバーなのに、良い人間関係を築き、楽しく仕事をすることよりも、部下との勝負に勝ちたいと思う上司。こういう上司が、実はとても多いのです。

(中略)

自分の本音は教えたくない。でも、部下の本音は探りたい。探りたいけど分からないからビクビクしないとならない。内心でおびえているから、権力で部下を押さえ込もうとしている。こんな上司の下で働く部下は、かわいそうです。

(引用元:ダイヤモンド・オンライン|優れたリーダーは部下に弱みを見せる

こう語るのは、日本メンタルヘルス協会代表で心理カウンセラーの衛藤信之氏。衛藤氏は、これでは上司と部下との信頼関係を築くことはできず、職場に対人関係のストレスが蔓延してしまうと警鐘を鳴らしています。

裏を返せば、上司は自身の弱みを積極的にさらけ出すべきだということ。特に、「やるべき課題がうまく進んでいない場合」と「これまでにやったことのない課題にどう取り組めばよいかわからない場合」は非常に有効だと、行政経営デザインラボ代表の元吉由紀子氏は述べています。

元吉氏によれば、上司があえて弱みを見せることで、各人が自身の経験を生かして策を相談し合ったり実行を助け合ったりするようになるため、組織の “自助作用” が高まるのだそう。

【結論】
“完璧な上司” を演じる必要はない。上司があえて弱みをさらけ出すことで、組織の雰囲気はぐっと良くなる。

NG行動3:友だち感覚で部下に接する

とはいえ、「まるで友人であるかのように部下と接する」のは、少々行きすぎかもしれません

株式会社ジェイコム(現:ライクスタッフィング)にて取締役営業副本部長を歴任し、現在は識学の代表取締役社長を務める安藤広大氏は、「組織運営を進めていくうえで、上司と部下は絶対に対等であってはならない」と指摘しています。

上司は指揮命令者として、部下の不足を明確に指摘するという責任がある。部下はそれを認識し、不足を埋めることで成長する。そうやって、チームは勝利に近づくものだが、対等な関係ではこの個人やチームを成長させる働きが止まりやすい。

(引用元:プレジデント・オンライン|なぜ「友達」を部下にしてはいけないのか

上司というのは本来、「チームの目標達成に責任を負う」立場です。つまり、組織のルールを明確に決めたうえで、部下がそのルールをきちんと守れているかどうかを管理する必要があるということです。対して部下は、チームの一員として、上司が定めたルールを守り労働責任を果たすという役割があります。

しかし、上司と部下が、まるで友だちどうしのように対等な関係になってしまってはどうでしょう。その役割が曖昧になってしまうのはもちろん、上司は「今の居心地のいい雰囲気を壊すまい」と、部下を指摘しづらくなってしまいます。これでは、組織の進化が停止してしまうのも目に見えていますね。上司と部下の最低限の上下関係は、しっかりと維持しておく必要があるようです。

【結論】
部下と友だちのように接するのはNG。必要な指摘を躊躇なくできるように、最低限の上下関係は維持すべし。

***
「ダメ上司」になってしまわぬよう、ご説明した3つをぜひ頭の片隅に入れておきましょう。

(参考)
ITmedia|上司の背中を見たら人は育つのか?
日経ビジネスオンライン|部下はなぜ上司の言うことが「わからない」のか
ダイヤモンド・オンライン|優れたリーダーは部下に弱みを見せる
スコラ・コンサルト|「上司が弱みを見せる」ことで、引き出される組織力
プレジデント・オンライン|なぜ「友達」を部下にしてはいけないのか